ISS シャドウ・プラズマ実験 #1


● (No.723) ISS シャドウ・プラズマ実験 #1 (2011年11月27日)
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ISS Shadow-Beacon Plasma Experiment




Space plasma experiment "Shadow" onboard International Space Station (ISS)
with participation of radio amateurs ... Main Page, Overview, Registration


"Shadow-Beacon" ... 影付きビーコンの概念 by JE1CVL

通常の化学推進剤システムでなく、電気スラスター(ET)「プラズマ」方式の推進効果
を確かめる実験のようです。ある意味壮大な実験で、「影の Beacon を送った地域と
そうでない地域との Beacon の到達時間の差を測って確かめようとするもの」と理解
しました。

人工衛星また宇宙船の推進力は、通常の化学推進剤による方法と電気スラスター(ET)
による方法とがあります。しかし、この電気スラスターはプラズマを発生させるので
このプラズマにより最悪衛星との無線通信が遮断されてしまう惧れがあります。どの
ような影響があるのかは、まだ解明されていません。プラズマの影響を何らかの形で
実証する必要があります。 ← 今回の「Shadow Beacon」は、これを確かめる実験。
ShadowBeacon はプラズマの影響を受けた Beacon、他の Beacon は影響を受けてない
Beacon。これを比較します。何を比較するかは「到達時間」の差だと思いますが、詳
しくは理解できていません。 いずれにしても、Beacon 比較である以上、受信時刻が
正確であることが必要です。PCを、インターネット時刻等に正確に同期させる必要が
あります。

「Plumes」 羽毛。もくもくと立ち昇る煙。『高度に電離した排気プルームにより、RF-
通信のデッドゾーンを作り出してしまう危険性がある』本当にまだまだ宇宙空間には
分からないことが多いようです。宇宙空間で車の点火プラグのように火花を散らすと
それは推進力に使えることが知られています。 電気推進、電子プラズマ、ET と表現
されます。ところが前述のように、宇宙空間でプラズマを発生させると、その周辺に
一種の電離層(排気プルーム)が出来、それが高周波通信の障害物になってしまう危険
性があるとのことです。 Space Plasma Experiment "SHADOW" は、その手がかりを調
べる実験のようです。宇宙空間で(ISSから)プラズマを発生させて、同時に Beacon
(145.825MHz)を発射して、その電波の不感地帯(Shadow)が起きるかどうかを調べよう
とするもののようです。 ET はたいへん有用な代わりに、衛星との通信の障害を発生
させてしまう代償をはらんでいることになり、研究の結果を見極めない限り実用段階
へは進めないということでしょう。

宇宙空間でプラズマを発生させると、その周辺が高密度の電離状態になり電波を遮断
する可能性があるとのことです。この実験はISSでプラズマを発生させ、地上からISS
の Digipeater へ Beacon を送って、帰ってくる Beacon の不感地帯(Shadow)が生じ
るかどうかを確かめようとする実験のようです。「どのように確かめるか」は解説す
ると長くなるのですが、ISSの FootPrint の一部分が Shadow となる可能性があり、
そこに位置したアマチュア局(実験参加局)にあっては、Beaconが受信出来ない状態と
なるはずです。そこで実験参加局は、GroundStation(GS)へそのパス中の Beacon受信
レポートを送り、「GSではそのレポートを比較して判断する」ということになると思
います。壮大な実験と言えますが、仕組みからお分かりのとおり参加局数が少なくて
は データ不足で実験が希薄になってしまうということでしょう。ISS の Digipeater
にアクセスした経験のある局はぜひ実験に参加されたらいかがでしょう。

宇宙にはまだ分からないことがいっぱいあり、「一つひとつ実証しながら 宇宙利用の
発展を目指す」ことが進められているのだと思います。宇宙空間でのプラズマによる
高密度の電離状態は衛星とのRF信号通信に障害を及ぼす可能性があり、今回その手が
かりを得ようとする実験が行われました。ISS昨晩(3Feb2013)22:27JST(TOKYO)のパス
で第一段階の実験が終わりました。私ほかの登録局が実験に参加しましたが、Degip-
eterを使った通信をしようとしていた局には「何だろう」という思いをさせてしまっ
たことでしょう。今回、国際的規模で行われた実験でもありましたので、何卒ご理解
をお願いいたします。

ISS へ向けての Beacon の送受信は AGWPE+UISS で行うわけですが、UISS の SetUP
のところに 「ISS Shadow Experiment Wizard」 があり、これは Beacon を一定間隔で
(2-9秒で設定できる) 1分間送信し、1分間休むという機能ですが、このような機能が
あらかじめUISSに搭載されていると言うことは、かなり前からこの実験の構想があっ
たことになります。また、送受信データファイルの「Save-Report機能」もそうです。
このような実験に、JA からも積極的に参加し、「まだ分からないこと」の解明に協力
できれば良いのではないかと思っています。





ISS Shadow-Beacon successfully

ISS SpEx Shadow-Beacon の送受信実験に、2011年11月27日の朝パスで JA0CAW局
が成功しました。下記がそのログです。最初、自局 (JE9PEL/1) はわけわからず
に闇雲に打ってました。実は、事前に当局にコールサイン等を申請をしておくと
ISS から自動的にコールサイン付きでビーコンが降って来るようです。

JA0CAW>CQ,RS0ISS-4* [11/27/11  08:13:39] <UI>:Hello ALL via ISS
JA0CAW>BEACON,RS0ISS-4* [11/27/11  08:16:31] <UI>:SpEx SHADOW 8:16:09 *JA* 27-11-2011/
JE9PEL>APRS,RS0ISS-4* [11/27/11  08:16:54] <UI R>::JA0CAW   :Hello via ISS
JA0CAW>BEACON,RS0ISS-4* [11/27/11  08:16:57] <UI>:SpEx SHADOW 8:16:35 *JA* 27-11-2011/
JE9PEL>APRS,RS0ISS-4* [11/27/11  08:17:19] <UI R>:OK SpEx
JA0CAW>BEACON,RS0ISS-4* [11/27/11  08:17:22] <UI>:SpEx SHADOW 8:17:01 *JA* 27-11-2011/
JE9PEL>APRS,RS0ISS-4* [11/27/11  08:18:33] <UI R>::SpEx SHADOW 1:???
RS0ISS-4>CQ,SGATE [11/27/11  08:18:36] <UI R>:>ARISS - International Space Station (BBS/APRS on)
JA0CAW>BEACON,RS0ISS-4* [11/27/11  08:18:55] <UI>:SpEx SHADOW 8:18:33 *JA* 27-11-2011/
JA0CAW>BEACON,RS0ISS-4* [11/27/11  08:19:08] <UI>:SpEx SHADOW 8:18:46 *JA* 27-11-2011/
JE9PEL>APRS,RS0ISS-4* [11/27/11  08:19:12] <UI R>:SpEx ?
JA0CAW>BEACON,RS0ISS-4* [11/27/11  08:19:21] <UI>:SpEx SHADOW 8:18:59 *JA* 27-11-2011/
JA0CAW>BEACON,RS0ISS-4* [11/27/11  08:19:34] <UI>:SpEx SHADOW 8:19:12 *JA* 27-11-2011/
JA0CAW>BEACON,RS0ISS-4* [11/27/11  08:19:47] <UI>:SpEx SHADOW 8:19:25 *JA* 27-11-2011/
JA0CAW>BEACON,RS0ISS-4* [11/27/11  08:20:00] <UI>:SpEx SHADOW 8:19:38 *JA* 27-11-2011/
RS0ISS-4>CQ,SGATE [11/27/11  08:20:37] <UI R>:>ARISS - International Space Station (BBS/APRS on)
JA0CAW>BEACON,RS0ISS-4* [11/27/11  09:49:23] <UI>:SpEx SHADOW 9:49:00 *JA* 27-11-2011/
JA0CAW>BEACON,RS0ISS-4* [11/27/11  09:51:21] <UI>:SpEx SHADOW 9:50:59 *JA* 27-11-2011/
JA0CAW>BEACON,RS0ISS-4* [11/27/11  09:52:52] <UI>:SpEx SHADOW 9:52:30 *JA* 27-11-2011/
JA0CAW>BEACON,RS0ISS-4* [11/27/11  09:53:02] <UI>:SpEx SHADOW 9:52:40 *JA* 27-11-2011/
JA0CAW>BEACON,RS0ISS-4* [11/27/11  09:55:04] <UI>:SpEx SHADOW 9:54:41 *JA* 27-11-2011/
JA0CAW>BEACON,RS0ISS-4* [11/27/11  09:55:13] <UI>:SpEx SHADOW 9:54:51 *JA* 27-11-2011/
JA0CAW>BEACON,RS0ISS-4* [11/27/11  09:56:44] <UI>:SpEx SHADOW 9:56:22 *JA* 27-11-2011/
JA0CAW>BEACON,RS0ISS-4* [11/27/11  09:56:54] <UI>:SpEx SHADOW 9:56:32 *JA* 27-11-2011/
JA0CAW>BEACON,RS0ISS-4* [11/27/11  09:57:04] <UI>:SpEx SHADOW 9:56:42 *JA* 27-11-2011/


Shadow Experiment Setup

(1) ISS当局 に登録申請。
(2) UISS → Setup → Shadow Experiment Wizard
(3) Beacon Interval → 3
(4) Country Code → JA
(5) ビーコン解除は、画面中央の赤いボタンをダブルクリック。
(6) レポート作成は、File → Save As Report → Reportsフォルダ自動保存





ISS Shadow-Beacon experiment postponed

ISSシャドウ・ビーコン実験に登録し、自局もやっと実験参加することになったと
思っていたところ、この実験は来年春以降に(無期限)延期となってしまいました。
新しい無線機が ISSに搭載される予定ということなので、それに期待しましょう。

This weekend's Plasma Thrust space experiment using Amateur Radio has been
postponed until after the delivery of a new rig next April.

On the AMSAT bulletin board Andy G0SFJ passes on the following information:

It was earlier announced that the timetable of SpEx "Shadow-beacon" sessions
on November 26-27, 2011 was reduced because the crew are newcomers and need
more time to gain experience. For the same reason previously announced
sessions on December 2-5, 2011 are cancelled.

Sergey Samburov RV3DR, the employee of space-rocket corporation "Energia"
who is responsible for amateur radio on ISS, explains that the onboard radio
was accidentally switched on standard simplex 145.825 MHz not the required
duplex 144.360 / 145.825 MHz digipeater mode because of the old age of the
onboard gear. It has been in use more than 10 years. Sometimes Sergey has
already observed malfunction like this.

A new radio is planned to be delivered to the ISS by cargo vehicle in April
and Mission Control Center (TsUP) plans to hold new SpEx "Shadow-beacon"
sessions in May-June 2012.

Again many thanks for those submitted reports and made other assistance!
The results of data processing will be presented on our site. We wait for
further cooperation!
http://knts.tsniimash.ru/Shadow/en/

Amateur Radio assistance requested: ISS Plasma Thrust Shadow Experiment
http://www.southgatearc.org/news/november2011/amateur_radio_assistance_requested.htm





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