『キューブサット物語』 読書感想文


● (No.439) 『キューブサット物語』 読書感想文 (2005年 5月19日)
 -------------------------------------------------------------

    キューブサット物語 −超小型手作り衛星、宇宙へ−
        川島レイ著  (株)エクスナレッジ \1400


この本は、キューブサット(XI-IV, CUTE-1) が打ち上げられるまでの、小型衛星
作製物語である。東大・東工大の学生たちの一人一人を追いながら、衛星作りか
ら実際にロシアからその自作した小型衛星を宇宙に飛ばすまでの、数々の苦労と
喜びを紹介している。

最初は衛星に素人であった学生が、目の前の課題を一つ一つ悩み解決していきな
がら、仲間と共に人間として成長していく様子が、臨場感あふれるタッチで描か
れている。この本をインターネットで購入して一気に一晩で読み上げてしまった。

たった 10cm 立方の中に、衛星としての機能を組み込み、宇宙に飛び出した後の
ための諸々の模擬実験の大変さが、よく伝わってくる。若者独特の行動力と情熱
と粘りで困難を克服していく様は、我々大人にとっても、生き方の参考になると
ころが多い。

打ち上げから2年が経とうとしているが、両衛星とも大変元気で、今も活躍して
いる。それは作製準備に相当の知識と技術をつぎ込んだ結果とも言えよう。この
本を読んでいると、それがよく伝わってくる。

普段、両衛星からのビーコン信号を何気なく受信しデコードしているが、この本
を読んでからは衛星により愛着がわいてくるようになった。単なる機械というよ
りも、学生たちの熱意と情熱が命としてこめられているような気がするのだ。

奇しくも 打ち上げ2年目の 2005年6月30日 に、次のキューブサットの打ち上げ
が予定されている。先人たちの残した衛星作りの知識と技術が受け継がれ、学生
たちは数年で自分たちの衛星を打ち上げるまでに成長した。その意思と熱意は、
これからも脈々と生き続けていくことであろう。


 トップ へ戻る.

 前のページ へ戻る.

 次のページ へ移る.

 ホームページ(目次) へ戻る.