RS-18 衛星内部温度


● (No.165) RS-18 衛星内部温度 (1999年2月1日)
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 昨年('98)11月11日 07:00JST(11/10 22:00UTC)頃、ロシアの宇宙ステーション
 MIRの宇宙飛行士によって放出された「RS-18(Sputnik-41)」は、バッテリーの
 寿命により、ちょうど1ヶ月後の12月11日に消滅しました。この間 衛星RS-18
 からは、英語・仏語・ロシア語で録音されたメッセージと、衛星の内部温度を
 表すオーディオトーンが送信されていました。


> 27-Nov.1998 JE9PEL/1 Wakita Wrote:
> 
>  本日(11/27) 16:43JST に、RS-18 を聞いてみました。この時間帯の日本の
>  2mはものすごいQRMですが、なんとか英語音声を確認することができまし
>  た。「インターナショナル.....スプートニク・プログラム」と言う男性の
>  太い声のアナウンスが一瞬聞こえてきました。その直後、違法通信者(?)の
>  「ん、何だ? 今のインターナショナルは?」という会話も聞こてきました。
> 
>  衛星とは関係ないのですが、本日(11/27) 夜空を見上げていて、木星が随分
>  月の近くにあることに気付いたので、「WinTrak V3.50」で確認したところ、
>  きょうと明日の夜に木星が最も月に近づくことがわかりました。今夜は月の
>  すぐ左側、明日の夜は月のすぐ右側に明るく輝く星があります。それが木星
>  です。もし天気が良ければ、夜空を眺めてみて下さい。


> 1-Dec.1998 JE9PEL/1 Wakita Wrote:
> 
>  1998年11月10日 22:00UTC頃、MIRから放出された「RS-18(Sputnik-41)」も
>  すでに3週間がたちました。 バッテリーの残存量もあと1週間ほどです。
> 
>  仏語・英語・ロシア語によるアナウンスを聞かれた局は多いと思いますが、
>  同時に送信されている「衛星内部温度テレメトリー」を表す約4秒間ほどの
>  連続ビープ音を解析された局はいますでしょうか? (FM 145.812MHz)
> 
>  なお「衛星内部温度テレメトリー」を解析する Windows95用プログラムは、
>  次の URLから入手することができます。
> 
>         http://www.geocities.com/capecanaveral/3161/hablic.htm
> 
>  オーディオ信号の「179〜1483Hz」の幅で測定した周波数を手入力すると、
>  自動的に対応する温度に変換されて出力されるプログラムのようです。
>  解析レポートを期待しております。 (昼間は混信のため実験不能)


 今年('99)になって、JAMSAT(日本アマチュア衛星通信協会) の運営するメーリ
 ングリスト(jamsat-bb@jamsat.or.jp)に、大谷芳充氏(JH4DHX/3)から投稿があ
 りました。この貴重な内容の記事について、大谷氏から転載許可を受けました
 ので、次に紹介します。問い合わせのある場合は大谷氏までお願い致します。


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 Date: Sat, 30 Jan 1999 16:51:57 +0900
 From: [MXL01506@nifty.ne.jp]
 Subject: [jamsat-bb:4142] RE^: RS-18 temperature
 
 脇田さん、皆さん

>>  少々遅くなってしまいましたが、昨年暮れに運用された RS-18号からの、
>>  衛星内部温度に対する温度ビーコンの受信解析結果を報告します。
>>  解析には、JAMSAT-Web.他で紹介された解析ソフト Cool Edit(Win 95)を
>>  使用しました。 RS-17 の際には、リサージュ描画にて観測しましたが、
>>  今回は前回に比べ、極めて簡単に作業が行えました。
>> 
>>  受信回数は非常に少ないものの、解析結果からみる限りではトーン周波数
>>  1200Hz〜1300Hzの範囲であり、衛星内温度が+20度〜+30度までの範囲内
>>  に保たれていることが推察できます。
>> 
>>  どなたか、受信解析されている方がいらっしゃいましたら、是非レポート
>>  をお願いします。なお、この結果については F6FAO:Gerard氏に報告済み
>>  です。
> 
> 下記のトーン周波数を『Sputnik 41 Telemetry Assistant : sput-ta.exe』
> を用いて、衛星内部温度に数値変換してみました。 (20.3度C〜27.7度C)
> この Windows用のプログラムは次のURLから入手可能です。なお、衛星RS-18
> のトーン周波数をどのようにして測定したのか(機器操作)を、大谷さんから
> 具体的に解説をいただけると参考になるかと思います。
> 
> 
>     sput-ta.exe (sput-ta.zip)
>     http://www.geocities.com/capecanaveral/3161/hablic.htm
> 
>                                    Satellite Temp.
>     DATE & TIME(UTC)   Tone Freq.  Celsius  Fahrenheit
>     '98 Nov.10 22:44    1204Hz      20.3     68.5
>         Nov.23 17:17    1237Hz      22.9     73.3
>         Nov.29 14:52    1263Hz      25.3     77.5
>         Nov.30 15:15    1220Hz      21.5     70.8
>         Dec. 5 13:46    1250Hz      24.1     75.3
>         Dec. 6 12:31    1287Hz      27.7     81.8


 脇田さんからの情報をもとに、私も上記変換プログラムを使用して衛星の内部
 温度を求めてみましたが、同様の結果が得られました。そこで、今回のトーン
 信号の測定方法について、順を追いながら簡単に説明しておきたいと思います。

 ■まず、受信機からの出力をパソコンの音声入力端子に接続します。
  この際の注意点として大事なことは、入力信号の大きさを適正な値に調整す
  ることです。過大入力となると波形が歪んでしまい正確な測定ができません。
  また、受信機の出力側とパソコンの入力側ではインピーダンスが違うので、
  本来はトランスを使って整合するなどの配慮が必要ですが、適正な入力レベ
  ルとなるようにパソコン側でモニターしながら出力側を調整すれば良いでし
  ょう。私の場合、簡単なアッテネータを組んで入力ラインに挿入しています。

 ■次に、Win95のオーディオ・レコーダーを起動します。
  衛星から送られてくるトーン信号を確認してから録音を開始します。この際
  には、トーン信号とともにノイズが混じることもありますので、トーン信号
  部分については全体を録音しておき、後でエディットして必要な部分のみを
  取り出します。 このデータに適当な名前をつけて、WAVファイルとして保存
  します。

 ■次に、波形処理ソフトである Cool Edit96 を起動します。
  このソフトは、以下のURLから入手可能です。

   http://www.syntrillium.com/cooledit/index.html

  ※このプログラムの詳細については、CQ誌98年8月号の 128ページに
   HS−CW関係の記事として触れられていますので、参考にして下さい。

  ソフトを起動すると、処理作業を選択する画面が表示されます。ここで先程
  保存したトーン信号を録音したWAVファイルを指定し「OPEN」にて開きます。
  そうすると、指定されたファイルの音声波形がディスプレイに表示されます。

 ■次に、「Play」ボタンを押下すると、同ファイルが音声信号として再生され
  ます。

 ■さらに、この状態でディスプレイ画面上部にある「Analyze」ボタンを押下
  すると、同信号の音声帯域におけるスペクトル解析画面が表示されます。

 ■この画面に示された山が、トーン周波数の成分を示しており、同時に画面下
  のボックス内に周波数が表示されます。なお、同解析には処理に必要なサン
  プリング数が指定できます。また、カーソル(マウス)で波形部分をポイント
  すると、その周波数が示されますので、非常に便利です。

 ■こうして得られたトーン周波数を、脇田さんから紹介のあった周波数−温度
  変換ソフトを用いて衛星内部温度に変換します。

 ■sput-ta.exe を起動すると、周波数の入力画面が表示されます。
  このソフトは非常にシンプルな画面構成となっており、プログラムを走らせ
  てから測定した周波数を入力すると、これに対応した摂氏と華氏の両表示に
  よる衛星内部温度として出力されます。非常に簡単な操作で目的が達成され
  るのが特長です。なお、概略の「トーン周波数対温度変換テーブル」が以下
  に示されています。

   http://www.jamsat.or.jp/oscar/rs18/rs18.html


 以上、簡単に RS-18号からのビーコン信号による衛星内部温度の受信解析方法
 についてレポートしましたが、何かの参考となれば幸いです。
 また、今回のプロジェクトの内容については、jamsatのH.P.に詳細に示されて
 いますので参照して下さい。

   http://www.jamsat.or.jp/oscar/rs18/messages.htm


                     JH4DHX/3大谷  Jan.30 '99
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