Two Vega-VV23 Payloads (ESTCube-2) Failed to Deploy


● (No.1145) Two Vega-VV23 Payloads (ESTCube-2) Failed to Deploy (2023年10月19日)
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(C)Arianespace
https://europeanspaceflight.com/two-vega-vv23-payloads-failed-to-deploy/

(訳 JE9PEL)
アリアンスペースが管理する 「VEGA VV23」 で軌道に運ばれた 12個のペイロード
のうち 2個は展開に失敗し、ロケットの上段に取り付けられたまま大気圏で燃え
尽きた可能性がある。(2023年10月16日)

「VEGA VV23」 は、10月9日 01:36UTCに、フランス領ギアナのギアナ宇宙センター
から打ち上げられた。このロケットはメインペイロードとして THEOS-2、および
FORMOSAT-7R/TRITON衛星を搭載し、二次ペイロードとして10個の小型衛星を搭載
した。

打ち上げが成功した後、アリアンスペースは、2個のメインペイロードと 10個の
二次ペイロードのうち 8個が展開されたことを確認するプレスリリースを発行し
た。しかし、打ち上げ提供者は、「最後の2個のキューブサットの分離はまだ確認
されていない」 と付け加えた。

この打ち上げには、「SAB Aerospace」 がAvio用に設計した小型宇宙船ミッション
サービス(SSMS)ディスペンサー(放出装置)が利用され、「SAB Launch Services」 
の支援を受けてアリアンスペースが運用している。

「European Spaceflight」 が確認した影響を受けたチームに アリアンスペースが
送った電子メールの中で、「打ち上げ提供者は、ESTCube-2, ANSER-Leader 2個の
キューブサットが、それぞれの配備(deployers) から分離できなかった可能性が
高い」 と説明した。

「先週日曜日の 「VEGA VV23」 打ち上げを受け、アリアンスペースは、現在貴社の
衛星 ESTCube-2, ANSER-Leader 2個が、残念ながらそれぞれの配備から分離され
ていないのではないかという強い疑いを抱いている」 と電子メールには書かれて
いた。アリアンスペースは続けて、その疑惑は 3つの事実に基づいていると説明
した。

・「deployer からキューブサットリリースを示す deployer のエンドスイッチ
 上のランチャーテレメトリが受信されなかった。これは単にエンドスイッチ
 の電気的故障であるか、または、キューブサットが解放されていないことを
 示す実際の兆候である可能性がある。」
・「NORADのデータは、打ち上げ後に、名目上の状況である12個ではなく、10個
 の物体が軌道上にあることを示している。」
・「あなた方のチームは長い努力にもかかわらず、打ち上げ以来 これらの衛星
 との接続を確立できなかった。」

ESTcube-2 はエストニア学生衛星財団によって建設され、使用済み衛星の廃棄に
使用できる革新的なプラズマブレーキをテストすることになっていた。

ANSER-Leader は、ANSER-Follower1 および ANSER-Follower2 とともにスペイン
航空宇宙技術研究所(INTA) の 「VEGA VV23」 で打ち上げられた 3個の ANSER衛星
のうちの 1つである。

これらの衛星は連携して、スペインの沼地や貯水池の水質を監視するように設計
されている。 2個の Follower衛星は、地上と直接通信できる 唯一の衛星である
Leader衛星に追従して編隊を維持することになっていた。ただし、Leader衛星と
Follower衛星の指定は定まったものではない。

INTAの広報担当者によると、3個の衛星はすべて 「地上と直接通信するよう 完全
に装備されプログラムされている」 という。 「近い将来、この『地上と通信する
ノードが 1つだけ』の方法で運用することが決定された場合、それらのいずれか
が Leader の役割を引き継ぐことができる。」  広報担当者はまた、「現時点では
残りの2個の「衛星」を、名目上運用している」 ことも確認した。

収集されるデータの価値という点では、ANSER-Leader の喪失は 重大な影響を及
ぼさない。INTAの広報担当者によると、Leader衛星は、「panchromatic camera」 
(APIS)を搭載し、Follower の2個の衛星は、「spectrometers」 分光計(CINCLUS) 
を搭載した。

「『本当の』科学は分光計 (水質の推定を可能にする クロロフィルやフィコシア
ニンなどの特定の化学マーカーの測定) を使って行われる」と広報担当者は説明
した。「APISの目的は、スペクトルの取得と同時に スペクトルを補完する雲画像
を提供することだったが、そのような画像は他のソースから簡単に入手できる。」

さらに、APISシステムは、すでに貴重なキューブサットミッションに搭載されて
飛行しているため、この技術はすでに飛行に適格である。

ANSERミッションの最後の要素は、受動的制御システムである。衛星には 推進力
は備わっておらず、代わりに大気圏上部の微量の空気を利用したフラップを展開
することで相対位置を制御している。衛星は、システムを研究、実装、検証する
ことが期待されていた。INTAによれば、「2個の衛星によるメカニズムをマスター
できれば、この点でもミッションを成功させるに十分すぎる進歩となるだろう。」

更新:この記事は、2023年10月17日に更新され、2個の ANSER-Follower衛星が、
   ANSER-Leader衛星なしでも運用可能であることが明確にされた。



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