WiSP Q&A #2


● (FUROKU.17) WiSP Q&A #2 (1995年 7月26日)
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  先日、某局より衛星デジタル受信についての質問のメールをいただきました。
  その質問内容が一般向けでもありましたので、ここにその回答を紹介します。

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 (1) 通信速度について

   ご存じのように、KO-23 などの高速デジタル衛星と、TNC との間の通信速度
   は、FSK 9600bps であるわけですが、TNC(-241 TASCO) と端末(RS-232C) の
   間の通信速度は、余裕を持たせるために、一般にその倍の 19200bps に設定
   します。TNC のコマンドで言えば、「aboud 19200」,「hboud 9600」と設定
   するわけです。これに併い、コンピュータの RS-232C通信速度を 19200 bps
   に設定しておきます。


   ※ Windows - メイン - コントロールパネル - シリアルポート - COM2 等。

   さらに、GSC 上でもきちんと設定しておかなければなりません。

   ※ 1. GSC - Setup - Communications - Config Name   (例  KO23.CFG)

                                     - Port - Speed   (例  19200)

     2. GSC - Setup - Satellite Setup - Communication (例  KO23.CFG)


   こうしておいて、後は GSC (MSPE) が立ち上げ時に自動的に、TNC に KISS 
   モードと FULLDUPLEX などの命令を出してくれます。 KISS モードへの移行
   は、MSPE の立ち上がる瞬間に TNC の STA と CON ランプが同時に 3回点滅
   することで確認ができます。


 (2) TNC の AFC モードの設定について

   衛星 FO-20 に対しては、地上パケット通信用の例えば DXTERM.EXE などの
   ソフト上で「AFC ON」とコマンド入力することによって、ドップラー効果に
   影響されて変動していく PSK 波を 自動的に無線機の側で追尾させることが
   できます。また、AO-16 等の衛星において、プロトコルの関係で、いわゆる
   通信ソフトの PB/PG を使用する場合には、同様に事前に AFC 設定を済ませ
   ておくか、あるいは付随する PG.TNC や PGDONE.TNC で設定することも可能
   です。(拙著.衛星通信入門 No.35,42 を参照)

   WiSP を用いて、衛星 AO-16 や LO-19 をアクセスしたことが 私にはないの
   すが、TrakBox や AutoTracker などの インターフェイスを使用することに
   よって、PSK (SSB) 波を含め、FM 波の周波数自動追尾が 必ず実現するはず
   です。なお、まだ私は未実験なのですが、最新の MSPE では、「MSPE.TNC」
   という付随するファイルによって、事前に TNC に 諸コマンドを送ることが
   できるようです。(拙著 No.62 を参照)

   なお、TS-790 と TNC-241 を接続する場合、AFC 機能を有効とするためには
   Up - Down 出力回路の設計の理由により、接続ケーブルを自作しなければな
   りません。他の機種の FT-736 等については、私はよくわかりませんので、
   その両方の回路図(取説書)を参照して下さい。(拙著 No.7 を参照)


 (3) 高速衛星 KO-23 等の受信について

   今、私は衛星自動追尾ソフトにより、アンテナの自動追尾(方位角仰角)は
   自動で運用していますが、KO-23, KO-25, UO-22 等の高速衛星に対する AFC
   に対しては、現在、AutoTracker を準備中で、その周波数の変動に対しては
   現在、手動で行っています。そのコツをつかんでしまえば、特に焦って操作
   することもありません。(拙著 No.58 を参照)

   指向性の強いビームアンテナを使用している場合には、最新の衛星軌道要素
   を WiSP 等のプログラムに入力してアンテナを正確に衛星に向ける必要があ
   ります。また、プリアンプをアンテナ直下に設置して受信能力を高めて運用
   することも必要です。

   こうすることで、衛星に対する仰角がほとんど0に近い、ロシア地方や中国
   内陸部を通過するような時でも、送信はともかく受信は毎回確実にほとんど
   100% に近くできています。条件の良い日本付近や太平洋上を通過する時も
   含め、一本調子の「ザーー」という FM 受信音が連続して聞こえ TNC(及び
   TMB-965)の DCD ランプが点灯し続けます。

   地上 RBBS に対する 9600bps 通信は、送受信の周波数が同じなので 無線機
   のメイン部のみを使用しているはずです。しかし、衛星通信に対しては、ご
   存知のように、アップリンク(送信)周波数とダウンリンク(受信)周波数
   が異なりますので、TS-790 に対する改造箇所も自ずと異なり、受信側に対
   しては、サブ部に改造を施すことになります。(FT-736 については不明)

   従って、衛星からの受信がうまくいかない理由としては、次のことが考えら
   れます。今一度、拙著の以下の No. を参照してみて下さい。


     1. 上記の WiSP の諸設定の不備。(No.49〜62)

     2. アンテナが正確に衛星に向いていない。(No.9)

     3. プリアンプの未設置、または不調。(No.6 の補足)

     4. 無線機側の本質的な改造ミス。(No.47)

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