TS-790S & TNC-241 のAFC接続


● (EISEI.7) TS-790S & TNC-241 のAFC接続 (1993年 8月1日)
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 FO-20は、地上から平均1500kmの高さのところを約112分で地球を楕円軌道で
 一周します。ちょっと計算してみると、半径は 約6370+1500=7870km、従って
 円周は約7870×2×3.14=49000kmとなり、秒速49000÷112÷60=7.3km/s、分速
 約400km/mの速さで宇宙空間を移動しています。 FO-20からのPSK波
 (435.910MHz) の周波数も音と同じようにドップラー効果の影響で、AOSから
 LOS(Acquisition Of Signal , Loss Of Signal:この用語については 後日
 解説)までに、+8KHzから -8KHzくらい周波数が変化します。これを自動的に追
 従させるのが「AFC機能」( Automatic Frequency Control)です。

 このAFC機能を有効にするためにTS-790S(KENWOOD)とTNC-241
 (TASCO)の接続ケーブルの改造を行いました。 用意した材料は次のとおりです。
 8芯シールドケーブルのものも作成しましたが、衛星通信の方式は通常、全二重
 (通常の地上パケット通信は半二重)で送受信が同時に行われ(注参照)、信号
 のかぶりの影響が出ますので、各芯ケーブルのものに作り直しました。


    【1芯シールドケーブル8本、各1m】
    【MIC端子用8ピンジャック】
    【SP端子用3.5φモノプラグ】
    【TNC側RADIO1端子用8ピンDINプラグ】


 完成ケーブルはTNC側から無線機側(MIC&SP)への二股ケーブルです。
 8芯のうち、6芯はMIC側へ接続し、2芯はSP側へ接続してあります。
 対応ピン番号は次のとおりです。図はいずれもコネクターを外部(接続部)から
 見たものです。TNC-241からの周波数UP-DOWN出力は受信機をLSB
 モードとした場合を前提に作られています。私はUSBモードにして受信してい
 ますので、マニュアルに記載のUP-DOWNピンとは逆に接続を(ハンダ付け)
 しています。下記のマイク端子側とTNC側の接続「3---6」、「4---7」に注意
 します。


  [MIC端子側]            [マイク端子側]  [TNC側]
      __  [イヤホン側]
     /7 1\             1 MIC ----------- 1 AFSK-OUT
     |6 8 2|   o1         2 PTT ----------- 3 PTT-OUT
     |5  3|   ロ2         3 DOWN ---------- 6 AFC-UP OUT
     \ 4 /   ||         4 UP ------------ 7 AFC-DOWN OUT
       ̄ ̄    ||         5 8V*       8 GND(コモン)*
       ||    //          6 AUDIO*     5 SQ-IN*
       ||   //           7 GND(MIC) ------ 2 GND(アース)
       ||  //            8 GND(アース) --- 2 GND(アース)
       || //           
       ||// 
       ||  (ケーブルを外部)    [イヤホン側]    [TNC側]
       ||  ( ← から見た図)
       ||               1 中心部 -------- 4 RX.IN
      __              2 外周部 -------- 2 GND(アース)
     /6 7\
     |1 8 3|                      (*:未使用)
     |4  5|
     \  2 /
       ̄ ̄
    [TNC側]


 このケーブルを使用して、そのまま地上の RBBS にも、何不自由なくアクセスが
 できます。FO-20とアクセスするときは、まず、通信ソフト DXTERM.EXE 上で
 「cmd:JAS」、「cmd:FU」、「cmd:AFC」の3つのコマンドを入力(return)します。
 「JAS」はJASモードのことで、アップリンクがマンチェスターコード化された
 AFSK/FM波、ダウンリンクがPSK波のモードになります。また 「FU」は
 Fullduplex のことで全二重を表します。そして「AFC」はAFC機能のことです。

 AFCのUP/DOWNの回路が正しく接続されていると、「ビーーン,ビーーン」
 というダウンリンクのPSKデジタル信号音をいったんキャッチした後、TNCの
 DCDの緑ランプが点灯すると、ドップラー効果により周波数がどんどん下がって
 きても、チューニングインジケーターの赤ランプが中央に点灯したまま、そのまま
 無線機に手を触れることなく自動的に周波数が下がって追従していきます。


 (注)半二重の設定では、TNCのDCD(AF信号が入力されると点灯する)の
    LEDが点灯している時には送信ができません。衛星通信はアップリンク
    周波数とダウンリンク周波数の周波数帯が異なりますので、衛星からの電
    波を受信している間にも衛星に対して電波を送信するため、全二重の設定
    にします。


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