JAMSATシンポジウム'95 草稿(No.1)


● (EISEI.53) JAMSAT シンポジウム 草稿(加筆)(1995年 3月19日)
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 平成 7年 3月19日(日)、「JAMSAT シンポジウム '95」 が東京の王子にて開催され
 成功裏に終了致しました。お世話を戴いた関係の方々に心より感謝申し上げます。
 今回、Phase3-D に関する講演の他に いくつかのポスターセッション(パネルディ
 スカッション)が実施されました。僭越ながら私の発表した 「デジタル衛星通信」
 の草稿に加筆して本編(53)〜(60)として紹介し、今回参加できなかった方々に参考
 にしていただくと同時に、衛星通信 "入門" としての総括と致したいと思います。
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 【(初心者のための)デジタル衛星通信】   JAMSATシンポジウム '95 (19-Mar)
                             JE9PEL/1 脇田美根夫 

                                  (No.1)

 1。デジタル衛星通信に必要な設備

  (1) 無線機 : 一般に、アップリンク周波数(地上局 ==> 衛星)とダウンリンク
    周波数(衛星 ==> 地上局)が異なるので、144MHz帯および430MHz帯 の SSB
    モードや FM モードを含むオールモード送受信機を必要とする。

     例 : TS-790 (KENWOOD), FT-736 (YAESU), IC-970 (ICOM)

  (2) アンテナ : 144MHz帯, 430MHz帯の偏波面(右円偏波、左円偏波) を切り替え
    できるアンテナが望ましい。そうでない場合は、偏波方向を水平偏波にして
    おくと良い。また、アンテナの指向性を鋭くし、利得を大きくするために、
    144MHz帯 では 8ele以上、430MHz帯 では 12ele以上 のクロス八木アンテナ
    が望ましい。

     例 : WHS-32N (MASPRO), ZQ-82 (LAMDA)

  (3) ローテーター : 144MHz帯, 430MHz帯 のアンテナの方位角、仰角を変化させ
    るために、それぞれのローテーターと、それに連動する自動追尾(軌道計算)
    ソフトウェアがあると極めて便利である。

     例 : KR400+KR500A+CS232+CX500+Satellite_Tracking_ProgramII(KENPRO)
         TrakBox + WiSP,  AutoTracker + WinTrak or RealTrak, etc.

  (4) アンプ : 衛星通信にプリアンプは必需品。アンテナの直下に設置すべし。

     例 : GPA-2020, GPA-720J (ANTEN)

  (5) コンピュータ : 衛星 FO-20 をアクセスするためには、PC98(NEC) 系の機種
    で良い。他の衛星 AO-16, DO-17, WO-18, LO-19, UO-22, KO-23, KO-25等に
    対しては、IBM PC/AT機(または、その互換機)系の機種(RS232C 通信速度
    19200bps が可能)が良い。しかし、FO-20 でも IBM系の DOS/V 機種でアク
    セス可能で、他の衛星でも、以下で述べる通信ソフトが、NEC 系の機種でも
    動作するように移植されているので、PC98 機でもアクセスが可能である。
    拡張性から言えば、IBM 系の機種が望ましい。

     例 : i80486DX2/66MHz + HDD (PC-DOS J6.3/V + WINDOWS v3.1)

  (6) TNC : 通常の AX.25 TNC が必要。衛星 AO16, FO-20 などでは、アップ
    リンクにはマンチェスターコード化された AFSK(FM) 波で送信し、そして
    ダウンリンクには PSK 波で受信する決まりになっているので、この機能に
    対応した PSK モデムを必要とする。 また、UO-22, KO-23, KO-25 などの
    高速(9600bps)衛星にアクセスするには、G3RUH/FSK モデムが必要で、かつ
    ダウンロードには TNC を KISS モードで動作させる必要がある。次の TNC
    とモデムは、これらを1台で実現している。

     例 : TNC-241 + TMB-965 (TASCO) (TNC-241 は最近のバージョンに限る)

  (7) 通信ソフト : 衛星 DO-17, FO-20 に対しては、地上で使用する通常の通信
    ソフトで良い。他の UO-22, KO-23 などの衛星に対してはブロードキャスト
    プロトコルに対応する通信ソフトを必要とする。その代表的なソフトとして
    IBM系機種の DOS 上で動作する「PB/PG」(by G0SUL / Jeff Ward) があり、
    これが JR3FRF/吉田氏により、PC98 系機種で動作するように移植されてい
    る。また JN2LHU/岡本氏により独自に開発されたソフト「TPB」などもある。

    最近では、WINDOWS 上で動作する「WiSP」(by ZL2TPO / Chris Jackson) と
    いうソフトがあり、今後の主流になるものと思われる。


    (補足) 『PB/PG』の他、デジタル衛星を運用するためのソフトウェアとして
       次のソフトが知られている。


       『TPB.EXE』    : この PB/PG を改良した送受信同時運用ソフト
                  本編 EISEI.25 参照。 (by JN2LHU 岡本氏)

       『???.EXE』    : さらに PB/PG を改良し、マウスの使用を可能
                  にしたソフトウェア。   (by JH7CKF 福田氏)

       『SATSKED.EXE』: PB/PG を改良したソフト。JAMSAT NL #150〜152,
                #168 を参照のこと。   (by WA2N / R.Wayne)

       『SATLINK.EXE』: PB/PG を改良したソフト。次の URL から入手可。
                         (by NZ3F / J.Buckwalter)
        http://www.amsat.org/amsat/ftp/software/PC/pacsat/sl951107.zip

                '95 11月、JN2LHU 岡本氏により PC98系に移植。
                        (NIFTY-Serve FHAMAD Lib.1)

       『WiSP』  : 以上のソフトは全て、DOS 対応のものであるが この
             『WiSP』は Windows対応の唯一のソフトである。
             本編 EISEI.49 以降、および FUROKU.6 以降で詳細に
             解説してある。入手方法については 本編 FUROKU.20
             を参照のこと。          (by G7UPN / C.Jackson)


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