第16回フィールドノート 5/4 第5回野外ミュージアム
「恐竜の時代の化石採集に出かけよう」(NPO法人企業ミュージアムの協会主催/現代マンガ資料館協力)も第5回目を迎えました。初夏の和泉山脈とウグイスの声が私たちを迎えました。
1 野外展示
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野外展示。写真はこどもたちの観覧のようすです。
さっそく読書に集中するこどもたちも見られました。
今年は、ラミネート加工したカラフルな地質時代年表を加え、よりビジュアルな展示ができました。
展示を軸に地元の人々との交流も生まれました。ハイキングなどで訪れた人々が時ならぬ展示にびっくりされるとともに、楽しんでいかれました。
本や資料を私どもが直接運ぶため、運搬できる量は限られ、手に取って欲しい本や化石は多いのですが、ほんの一部になってしまうのが、本当に残念です。たとえば、発掘現場で採集された中生代化石だけでなく、生命の流れを示すために、古生代、新生代の化石、そして石器時代資料なども展示できたら、と思うのですが、なかなかです。
なにしろ、アシスタントのHくんと私が運んだ採集ハンマーだけでも5本、そのうちひとつのハンマーの重さは、1,5sというもので、これにタガネがプラスされ、化石と本の運搬を加えると、なかなか厳しい重量です。Hくんご苦労さまでした。
2 野外展示と読書
今回は、こどもたちと大人の時間をわけました。さっそく本に飛びつくこどもたち。
自由にさわれる化石の展示とセットになった本の展示です。
ブックトーク(本の紹介方法のひとつ)もやりたいのですが、限られた時間で採集体験をポイントと考えたら、なかなか時間をとれません。
ブックトーク
こどもたちに本との出会いを・・・ということで、優れた活動を重ねている宇原郁世司書をはじめとする岡山市の学校司書さんたちは、ブックトーク劇場という言葉を使っておられるようです。劇場という言葉からブックトークの本質を洞察していただくことができるでしょう。
ブックトークそのものが、ひとつの創作であり、創造性を必要とする脚本という性格を持ち、さまざまな本は劇場における俳優とでもいえるでしょう。
本のリストを提示(ホームページも含めて)してブックトークとしたり、こんな本があります式の羅列的な紹介は劇場とはほど遠く、ブックトークではありません。誤解が少なくないようです。
参考になる本 (現代マンガ資料館お勧め本)
子どもたちの本の世界をひろげる 「たのしいブックトーク」
子どもと教育 94年11月別冊 あゆみ出版
※ ブックトークの本質、可能性がよくわかります。
3 チャレンジコース
見つかったノジュール
チャレンジコースは、急傾斜面にあり、思いっきり冒険する必要があるのですが、多くのこどもたちが加わりました。
地層のようすを観察後、保護者の皆さんとスタッフが崖面にへばりついてハンマーをふるい、地層のブロックをとりだしました。これをこどもたちが受け取り、こまかく割ることで化石を見つけるという段取りで採集を進めました。
発掘を始めて間もなく、大きなノジュール(写真)が見つかりました。地層中のノジュール、そしてノジュールに密集した化石を観察することができて、皆大感激。
マテ貝の祖先、アンモナイト、二枚貝、巻貝など、たくさんの化石が見つかりました。うれしそうなこどもたちのようすが印象的でした。
写真 ラグビーボール状のノジュールが三つに割れた状態です。中央部の断面を見て下さい。化石が密集している状態がよくわかります。真中の棒状のものはおそらくアンモナイト「バキュリテス」でしょう。
4 ペリプロミア
ペリプロミア
ピントがあまい写真になりましたが、絶滅した二枚貝「ペリプロミア」です。白亜紀末の大絶滅で、アンモナイトや恐竜と運命をともにしました。一部欠損してしまいました。完全な状態で採集することが難しい化石のひとつです。チャレンジコースでも一点見つかりましたが、バラバラになってしまいました。このような場合に備えて接着剤を準備していましたが、大変な忙しさで放置してしまいました。バラバラの状態でしたが、お子さんが大切に持ち帰ったとお母さんがおっしゃっていました。どうもすみません。
写真は下見時、私が採集したものです。
○それぞれに(個性的に)大変積極的なこどもたちが目立ちました。「積極的なお子さんですね」ということばが自然に出てしまうほどでした。
時と場を得たら、エネルギーの爆発が見られるように思いました。
展示された本に飛びついた子どもたち。もっと本を紹介できたら・・・・痛切に思いました。
○2回の下見など経過があるのですが、本ページに一本化しました。
雑感
私にとって久しぶりのフィールドでした。本当に時間がとれなくなりました。
採集本能全開ともいうべき五感の躍動は他に換えがたい貴重な時間なのですが、時間をとれずにぼやぼやしているうちに、暑い季節の到来です。