<山刀伐峠>
(なたぎりとうげ)山形県最上町、尾花沢市
旅行日 '97/8
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雨にたたられ堺田の封人の家に2泊した芭蕉は、五月十七日(陽暦7月3日)尾花沢へ向かい出発。封人の家の主からは「この先は山越えがあり道もはっきり分からないから、道案内の人間を付けた方がよい」との勧めを受け、「究竟(くっきょう)の若もの」に先導を頼むことになりました。ところでこの先山刀伐峠(なたぎりとうげ)は深い山のなか、山賊も出るという・・。
現在は、クルマで山刀伐トンネル入り口からダート道の旧道を上ってゆけば、峠頂のすぐそば(駐車場有り)まで行けます。私はある程度、手間ひま懸けないと納得できない性分なので、JR陸羽東線「羽前赤倉」駅から便数僅少の路線バスと自分の足とを使ってテクテク行ったのでありました。
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歩いて山刀伐峠を越えてみたい方のために
*羽前赤倉駅から一刎(ひとはね)まで(最上町営)
*市野々から尾花沢まで(尾花沢市営)
バス便数は少ないので、時刻等は必ず事前に確認して下さい。
使用地形図(25,000分の1):羽前赤倉、魚取沼、尾花沢
<追記>陸羽東線「羽前赤倉」駅は「赤倉温泉」駅と改称されました。
高山森々として、一鳥声きかず、木の下闇、茂りあひて、夜行くがごとし。雲端(うんたん)に土ふる心地して、篠の中、踏み分け踏み分け、水をわたり、岩につまづいて、肌につめたき汗を流して、最上の庄に出づ。
<現代語訳>高い山が森々として木が生い茂り、鳥の声ひとつ聞こえてこない。木の下は暗く枝葉が茂り合っていて、(まるで杜甫の詩句にいう)「雲の端から砂まじりの風が吹き下ろす」という言葉どおりの気持ちがして、小笹のなかを踏み分け踏み分け、流れを渡り、岩につまずき、冷や汗を流してようやく最上の庄にたどり着いたのであった。
芭蕉が「山賊が出はしまいか」と恐る恐る越えた道は、現在遊歩道として整備されています。山刀伐トンネル入口から遊歩道を歩いて40分。標高差にして140mほど。右写真『奥の細道』文学碑の建つ頂上にたどりつきました。
途中誰一人として出会うことはありません。そりゃそうですよねー。クルマなら真下を通る「山刀伐トンネル」(昭和52年開通)を三十秒ほどで抜けてしまうのですから。自分の酔狂さ加減が身にしみます・・。
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