<汐越の松>
(しおごしのまつ)福井県あわら市(旧・坂井郡芦原町)
旅行日 '99/10
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曽良と別れた芭蕉は、西行が詠んだとされる次の歌に心惹かれ、金沢在の門人、北枝(ほくし)とともに汐越の松を尋ねます。
夜もすがら 嵐に波を はこばせて 月をたれたる 汐越の松
<現代語訳>一晩じゅう山の風に波を打ち寄せさせて(波しぶきをかぶり、その梢からしたたり落ちる"しずく"に)月光をしたらせるように映している汐越の松よ。
実はこの歌、西行の作ではないのだそうです・・・。
私は『汐越の松』を訪ねるついでに旧北陸道の跡をたどってみたく、JR芦原温泉駅(昔の金津宿)から10kmばかり歩いていったのでありました。ゴルフ場(後述)の方が言うには歩いてくる人は滅多にいないとか(そりゃそうだろうな)
越前の境、吉崎の入江を舟に棹(さお)さして、汐越の松を尋ぬ。
吉崎は浄土真宗中興の祖、蓮如(れんにょ)上人ゆかりの地。何やらここでも西と東の本願寺が張り合っているよう・・。
もちろん現在では渡し舟なぞ無く、コンクリートの橋を渡りアスファルトの道を20分ほど歩くて行くと芦原ゴルフ倶楽部へ。クラブハウスに申し出ると、ゴルフ場の裏手にある汐越の松(・・・)まで案内して頂けます。
ゴルフ場の方の後をついてゆき(わざわざ時間を割いていただき、ありがとうございました)歩くこと5分ほど。眼下に日本海を見渡せる所までたどり着くと、ヒョロヒョロの松林の中に横たわる汐越の松の残骸がありました。脇にたつ碑がなければ、ただのゴミとされてしまうでしょうね。その昔、風流人どもが感興にふけった地。今の世、ゴルフに興じる人たちがいる。こんな時代の移り変わりを眼前にするのも「奥の細道」の旅の一興だったりする訳であります。
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