植物雑記
    vol.10 自作・採種器 '12年1月3日
              (ブログより転載)   

「携行型高性能○○器」

今回はちょっとした便利ツールのご紹介。
ちょっと前になりますが、新宿に行く用事があった折り、東急ハンズに寄ってこんなモノを買ってきました。
科学実験用品のコーナーに置いてあるような小物です。


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@透明プラ瓶
直径4−5cmくらいのもので、オレンジの蓋がついていますが、実はこれは要らない。
ネットで調べたら「スチロール容器」という名前で同様のものが売っています。本来何に使うモノかは、不明。
Aコルク栓
下側が少しだけ径が細くなっていて、横からみるとやや台形。プラ瓶と同じ売場に置いてありました。
上記プラ瓶の付属蓋をとって代わりに填めてみて、ちょうど半分くらいが埋まる直径です。ハンズでは、
試してみることが出来るのがありがたい。
B透明チューブ
これはDIYのお店でよく売ってますね。太さ5mmくらいのものと8mmくらいのものと2種類用意しました。

だいたいこれで、何を作ろうとしてるか、わかっちゃうかな?


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じつは、同じものを15年くらい前に作り長年愛用していたのですが、コルク栓がダメになったので
新調することにしたのです。驚いたのは、15年まえ材料を調達した東急ハンズには、いまもまったく同じものが
置いてあると言うこと。テクノロジーの進展からは取り残された世界ですね。
作ると言っても、不器用が手足を生やして歩いているような私が出来る細工です。たいしたことはない。
まずはコルク栓に電動ドライバーにくっつけたミニドリルで穴を穿つ。穴はふたつで、太・細それぞれのチューブを通します。
昔は手動のキリでやったので、別にこんな道具は要らないんだけど、せっかくあるので使ってみた次第。
うぃぃぃぃぃん。


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開いた穴が小さすぎるので、ボールペンか何かでグリグリ拡げて、2本のチューブがちょうど通るくらいにしました。チューブの長さは、40−50cmくらいで、コルク栓の内側に出る部分(つまりプラ瓶の中)は3cmくらい。
穴とチューブの間には隙間が出来るので、そこをシリコン径の接着剤をボドボド垂らして、シーリングします。
ちなみに使用したのはセメダインスーパーXというやつ。


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ベチョベチョ。
これが汚らしくはみ出すし、机には垂れるは手はねばねばになるはで、大苦戦。
カミさんに写真を撮ってもらったんだけど、不器用で見てられないって顔してましたね。


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できた!
所要時間30分。我ながら実に美しくない出来映え。でもなんとか使えるでしょう。
ここまでくれば、何に使うかは一目瞭然ですよね。
そう、こんな風に使います。


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サボテンや多肉植物などのための「種子採集器」です。
一方のチューブをタネがあるところにあてがって、もういっぽうのチューブを吸い込む。
すると、プラ瓶のなかにタネがたまる、という実に単純な仕掛けです。

実は、上の写真のようなケースでは、この道具はあまり有益ではありません。
本領を発揮するのは、サボテンのトゲトゲ密集ゾーンにこぼれた種子を採る際です。
経験ありませんか?果実が破れてタネがトゲの密林にこぼれ落ちて、救出不能になったこと・・・。
もちろん、サボテンの花籠・菊水やメセンなどの極く細かく飛散しやすい種子を集めるのにも使えます。
大小2種類のチューブは、トゲの密集度やタネのサイズなどで使い分けますが、構造的欠陥として、
地際の種を吸う際に砂が口のなかに入ったり、時には種そのものが飛び込んでくることもあります。
対策として、吸い口側のチューブにガーゼか何かでマスクしてやればいいんですが、どっちのチューブも種採りに使う場合はガマンするしかない。


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そもそもこの道具をつくったのは、沙漠の山歩きの携行品としてでした。
山野で魅力的な植物に出会ったら、タネくらいはお土産にしたいものですが、これがなかなか難しい。
植物の結実期間は短く、しかも時期もバラバラなので、ちょうど種が熟した果実がついていることなど滅多にありません。なのでだいたいは、トゲの隙間に引っかかったり綿毛の中に埋もれている数少ない残存種子を拾うことになるわけです。逆に言えば、そういうところを探すと、少々の種は得られることが多い。アリさんが運び残したやつですね。これを指で拾うことは不可能なので、こいつの出番となるのです。
完成なった、新・タネ採り器。今は、栽培場に置いてある。まあ、鉢植えの種が稔ったときが出番ですね。
でも、早くこれを持って野山にかけたいなぁ。







                   

        
              

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