Section Cheshire-Feres

透明でみずみずしくて、フルーツ味のジェリィのよう。二葉はほぼ合着し球状に育つものが多く、球体はほとんどが水分です。野生では、地中に身を埋め、ガラス状の窓から陽光を取り入れて育ちます。まさに花咲く宝石…およそ植物とは思えない不思議な魅力があります。このグループは概ね栽培容易で、成長期はたっぷり陽に当てて風通し良く育てれば丸々育ってくれます。
      achabense acutum burgeri hammeri
      maughanii phoeniceum ratum subterraneum
C..achabense SB1600 Achab

小さな小さなコノフィツムで、頂部の窓部分の径は1センチもありません。壺型の面白い形ですが、自生地では球体を全て地中に埋めて窓だけを出して育ちます。真似をしてみたら、栽培下では埋めても出てきてしまいます。小型ゆえ成長がとても遅いようですが、とても丈夫です。


C.acutum   East of Bitterfontein  (M.1410.3)

夜咲きで小型のマウガニーのような風貌ですが、花筒が長く伸びる独特の形の花は蝋細工のように美しいものです。香りはちょっとツンとします。栽培下でもとても丈夫で、オフタの類と一緒の扱いでよく陽にあてて育てています。


C.burgeri  SH 409   Aggeneys  with flower 

実はとても丈夫で育てやすいブルゲリですが、花付きは今ひとつのようで、同じサイズの個体でも咲いたり咲かなかったり。花は午後の短い時間しか全開しないようです。花径も大きく、大変目立つ花です。サボテンなみに陽にあてて、扁平に育つように心がけています。旧皮を剥かなければ、めったに日焼けもしません。成長期の灌水は、球体が萎びたらやる、という感じにしています。
C.burgeri  SH 409   Aggeneys  (in November)
C.burgeri  SH 409   Aggeneys  (in February)

上のふたつは同じ個体を11月と2月に写したもの。撮影のため旧皮は取り除いてありますが、ほんとにピカピカのつるつるで、植物には見えません。下写真のように赤く色づくとまもなく休眠で、ある日突然、溶けるように球体が軟らかくなり、休眠に入ります。はじめて栽培したときは、腐ったと思って捨ててしまいました。


C.hammeri SH2108  Nababiepseberge

ブルゲリと一見似ていますが、絹目のような表皮のテクスチュア、夜咲きの樺色花など、味わいはかなり異なる種です。より小型でブルゲリより性が弱いようで、成長期の移植で落としたことがあります。花は夜咲きコノによくある、ツンとする芳香(屎尿臭っぽくもある)で、上の写真のように「蝿」が呼び寄せられることも。



            <C.maughanii collection>


マウガニーは形、色、透明感と質感など、実にバラエティがあり、カラフルなジェリィのような瑞々しい球体はいくら眺めても見飽きることありません。以下に、各産地タイプの開花や休眠前の「紅葉」を撮影した写真を並べてみました。

             
C.maughanii (ssp. maughanii) Witsand, Namibia (M.1804)

古くから多く流通しているこのウィットサンド産は、マウガニーの魅力をバランス良く持っているタイプかと思います。丸々した球体、透明度の高い大きな窓。上の2枚は同じ個体で、休眠明けの秋口から赤紫色に染まるタイプですが、厳冬期〜春はさらに色が濃くなります。


C.maughanii 3 kn east of Pofadder  (M.1430.411)

こちらのタイプは丸々と育ち透明部位の面積が広く、成長期も赤みがさす個体が多い。しかし冬〜早春を迎えての「紅葉」は、Witsand産タイプのような濃紫色よりは桃色〜杏色に色づくことが多いようです。lこの個体も杏飴のようで美味しそうです。


C.maughanii maughanii  Nous-se-poort  (1430.42)

対をなす二葉がミッキーマウスの耳みたいに突出し、肌がつるつるスベスベした個体で、ゴムかビニールで出来た作りもののようです。あまり色の変化はないようで、この個体は、成長期は若緑色で厳冬期(下写真)には仄かにピンクに染まります。


C.maughanii Vioolskraalberg  (M.1430.45)

やや丈が高く育つタイプのようで、窓も小さめ。球体は青々しています。休眠前になってもあまり色が変わらないタイプのようです。マウガニーの夜咲き花は、みな少々ツンとする臭いを放ちます。これを芳香と感じるかどうかは、なかなか微妙なところ…。



C.maughanii (M.1803)  "gets brilliant red in winter"

メサ・ガーデンが産地表記なしで古くから頒布しているタイプで、カタログに書かれているとおり、1-2月にかけて美しい葡萄色に染まります。上の2枚は同じ個体。色づくとグミキャンディかなにかのようです。


Left: C.maughanii Witsand, Namibia (M.1804)  "Special Red"
Right: C.maughanii SB802 smorenskadu

ともに成長期の最初(秋口)から赤色に染まるタイプの個体。休眠期に旧皮のうえから良く陽にあて、また成長初期に水をやりすぎないことで赤みが増すようです。右のタイプはとても扁平に育ちます。



C.maughanii Witsand, Namibia (M.1804)  "Special Red"

上の写真の左の個体アップ。逆光で太陽に透かしているので、鮮やかな赤紫色ですが、順光で見ると黒紫色に見えるほどです。やや丈高く育ってしまうのが難ですが、赤みの強い個体を作出する親木にと思っています。


C.maughanii Witsand, Namibia (M.1804)  "Special Red"

上記の真っ赤な個体からの実生3年目。これは1月に写したものですが、赤みにはバラツキがあるのがわかります。ほとんど緑色のまま休眠にはいるものもあれば、初冬から赤味が差すものも。しかし親木のように秋口から赤い個体はありません。もっとも、実生6、7年過ぎてから赤みが増すという説もあるので、将来を楽しみに…。

C.maughanii aff latum SB1495 Jakkalswater(M.1798.78)  

コノフィツムの近縁種にratumがあり、latumとしばしば混同されています。こちらのlatumはマウガニーの亜種です。基本種にくらべ、頂部が扁平でより丈低く育ちます。この姿もratumの方と似ているのでなおややこしい。これはaffの扱いですから、ラツム(latum)に近い姿のマウガニー、という感じでしょうか。下の写真は休眠前で、果実が見えます。


C.maughanii ssp. latum Umdaus(TL) (M.1798.71)

タイプロカリティ(基準産地)のラツム(latum)。大きくなってもあまり立ち上がらないようです。なかには赤く染まる個体もあるようですが、我が家の個体は休眠間際まで青々しています。

C.maughanii ssp. armeniacum  North of A ughrabies (M.1801)

亜種、アルメニアクムは上記ラツムよりもさらに扁平、頂部が窪むように育つタイプのマウガニーです。こちらも杏色や濃紫色に色づくタイプなど色々あるそうですが、この個体は球体がほんのり赤く染まる程度です。休眠前には萎んでシワシワのぺちゃんこになり、それがまた味わい深い。


C.maughanii ssp. armeniacum Bontkoei (M.1801.1)

こちらの産地の個体は、窓がやや濁った感じで基本種ほど透明感がなく、表皮も気持ち厚みがあるように感じます。このタイプは前記タイプよりも肌の赤みは少ないようですが、夜咲きには珍しい黄花を咲かせます。



※今後、まだ続きます。






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