パキポディウム属の花 
Flower of Pachypodium
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 パキポディウム属は、塊茎多肉植物のなかでも、姿花とも素晴らしい特色を持つ一群です。多くはマダガスカルに産し、一部は南アフリカにも分布します。かつては山採り輸入球一辺倒でしたが、実はいずれの種も実生から美しく育てることが出来ます。私はこの類を15年くらい育てていますが、経験的にわかったことを以下、記します。
 マダガスカル産の種(ロスラツム、バロニー、ブレビカウレ等)は、最近新しいバラエティもいろいろ加わって華やかさを増しました。花も綺麗で良く咲きますし、壺や葉の形も様々でコレクションするのが楽しいグループです。いずれも寒さにはあまり強くなく、冬場も摂氏プラス5度は最低欲しいところで、10度を保てれば安心です。とくにバロニー、デカりーは寒さに弱いようです。マダガスカル産の種は夏生育型で、寒くなると落葉するので水を切りますが、実生子苗は月一度くらい軽く水を与えて萎れるのを防ぎます。関東では5〜10月上旬まで生育期で、可能なら日当たりの良い屋外に出します。この屋外雨ざらしというのが栽培上最大のポイントです。梅雨や秋の長雨で稀に根腐れを起こすことはありますが、塊茎は丸々と、ガッチリ丈低く詰まった姿に育ってくれます。反対に温室やハウス内では茎がヒョロヒョロ伸びてグラキリスなど違う種類のようになってしまいます。業者が流通させている苗は大半がハウス育成なので、野生株とはかなり違う姿ですが、小さい苗なら作り直せます。陽光燦々、屋外雨ざらしでガッシリつくった苗は野生株と変わらない、丈低い丸々した姿に育ちます。ブレビカウレなどの輸入株も、温室内では次第に茎が伸びてきますが、屋外栽培だと扁平のまま育ちます。もちろん、腐死のリスクは若干ありますが、この差は極めて顕著なので、せめて実生苗は外で育ててみて下さい。もちろん、いちばん良いのは梅雨と秋の長雨のあいだだけ、透明な雨よけをつくってやることでしょうが、私のところは完全露天。なので、ときに根腐れで落ちる株も出ますが、美しく育てるためのリスクだと思っています。
 南ア産のビスピノーサム、サキュレンツムなどはマダカスカル産同様の夏型ですが、有名な美種、光堂(P.namaquanum)は変わった成長パターンを示します。春の生育期に入るのが極めて遅く、6〜7月くらいから新葉を出します。そのまま夏秋を越え、温度が維持'(摂氏10度)できれば冬も葉を残したまま成長し続け、春3月頃に開花、その前後に落葉します。葉の出ている時期は水を与え続けます。冬寒くすると葉を落とし、生育サイクルが狂うのか開花しなくなります。同じような生育パターンを示すものに、ブドウ科キフォステンマ属のセイチアナ(Cyphostemma seitziana)があります。この光堂だけは生育期が冬ということもあり、周年温室内で栽培しています。



Pachypodium baronii windsorii

Pachypodium brevicaule

Pachypodium sp. "brevicaule white flower form"

Pachypodium decaryi

Pachypodium densiflorum

Pachypodium eburneum

Pachypodium inopinatum

Pachypodium makayense

Pachypodium namaquanum

Pachypodium rosulatum gracilius (下写真は、実生5年の屋外栽培苗)

Pachypodium succulentum