物語の概要:(図書館の紹介記事より。)
依頼人のもっとも大切なものを報酬に、大金をもたらす株取引の天才「黒女神」。助手は元銀行員。やがてふたりは、壮絶な経済バトルに巻き込まれていく。
〈受賞情報〉「このミステリーがすごい!」大賞(第14回)
読後感:
株取引をメインにした経済バトル。「雨の日に、傘を持っていない人に傘を貸したい」との信念で困っている人のために株取引で会社なり、人を助けていく。最初の方はその痛快さが余りに簡単に株取引で大きな額の入手ができるのでそんな簡単なものじゃないのに、こんな状態じゃ先はしれてるなあと思っていたら、あっさり裏切られることに。
まずは二礼茜という黒装束の女神が引き受ける条件が面白い。相手の本気度を試す報酬要求が面白みをかきたてる。老舗和菓子屋の場合は5億円の返済の為、種銭込みで3千万の報酬要求。社長は3人娘のための学費分を当てる決心で領収書も契約書もなしで契約成立。2ヶ月後実現するというなんだか夢のような話。
株にまつわる小説と言うことでどんな手法で記述するのだろうかと期待していたが、読み通して分かることはごく常識的な手法しか載っていなかった。それはまあ仕方のないこととして、話の展開は次第に茜と助手としての百瀬良太とのからみの面白さ、謎の上司秀島史秋の存在。さらにはヤクザの暴力団西城組の後継ぎがらみでの有働との間で依頼を受けるに至り、人間ドラマと共に緊張感が増してくる。
ラストには中国人の会社乗っ取りがらみと政治家の関わりが出てくるに至り、益々ヒートアップ。一方でブラック・ヴィーナスと言われる茜の経歴が明らかになると共に、最後の一日の勝負で盛り上がりも最高潮になる。
どんでん返しとまでは行かないが、茜の素性がちょっと意外で拍子抜けの感もなきにしもあらず。
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