印象に残る場面:
◇電器販売社長の平野が直貴に言う言葉:
「我々は君のことを差別しなきゃならないんだ。自分が罪を犯せば家族をも苦しめることになる。―――すべての犯罪者にそう思い知らせるためにもね」 ・・・
「君に対してどう接すればいいのか、皆が困ったんだよ。本当は関わり合いになりたくない。しかし露骨にそれを態度に示すのは道徳に反することだと思っている。だから必要以上に気を遣って接することになる。逆差別という言葉があるがまさにそれだ」 ・・・・
「(刑務所にはいるということで)君のお兄さんはいわば自殺をしたようなものだ、社会的な死を選んだわけだ。――― ・・・本当の死と違って、社会的な死からは生還できる。」
「その方法は一つしかない。こつこつと少しずつ社会性を取り戻していくんだ。他の人間との繋がりの糸を、一本ずつ増やしていくしかない。君を中心とした蜘蛛の巣のような繋がりが出来れば、誰も君を無視できなくなる。その第一歩を刻む場所がここだ」・・・
君に人の心を掴む力があることだけは知っている。それがなければ、こんなものが私の元に届いたりしない」
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