デーヴァダッタ02

2023年2月

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02/01/水
「デーヴァダッタ」と題するノートも2ページ目になった。『デーヴァダッタ』に関しては、中勘助の「提婆達多」と手塚治虫の「ブッダ」読んだ。参考にならなかった。中勘助は釈迦とデーヴァを同世代と設定している。手塚治虫は息子のラーフラの同世代という設定で、だから釈迦とデーヴァは親子ほども年が離れている。ぼくは中をとって、釈迦のデーヴァの年齢差を12歳と設定することにした。親子ほどではないが、これなら釈迦の妻のヤショーダラとは6歳くらいの年齢差なので、恋愛も成立する。ラーフラや阿難にとっては、兄貴分といった感じになる。デーヴァダッタは年上の異母姉のヤショーダラに恋心を抱いている。しかしフィアンセのシッダルタには何をやっても敵わない。その強烈なコンプレックスから、釈迦のことを生涯にわたって仇敵だと考えるようになる。まあ、そんな話になるだろう。『デーヴァダッタ』について考えているのはその程度のことだ。先月、『光と陰の紫式部』の初校ゲラを校正して担当編集者に渡した。まだ再校が出てくるだろうが、校正者のチェックが少なかったので、再校はそれほど手間をかけなくていいと見ている。いまは『善鸞』のプリントをチェックしている。全6章のうち2章が終わった。2章までは京都が舞台で、3章からは東国に話が移る。書き終えた感触では3章からおもしろくなるという感じでいたのだが、2章まで読んだところでは、ここまででも信じられないほどスリルがある。動きはまったくないのだが、哲学的、宗教的論争だけで、充分に楽しめるものになっている。まあ、これを楽しめる読者がどれほどいるかはわからないが、仏教信徒の半ば以上は浄土真宗なので、それだけ読者がいると考えたい。さて本日は、SARTRASの事務局とZOOMで打ち合わせ。わざわざ永田町の事務所まで行かなくていいというのはたいへんにありがたい。2月に入った。SARTRASもあと1試合だけになった。何を楽しみに生きていけばいいのか。去年はドラフト会議の前に雑誌が発売されたのだが、今年も雑誌が出るのだろうか。ドラフトの中継はあるのか。まあ、トレードの情報だけでもけっこう楽しめるとは思うのだが。2週間後のスーパーボウルまでにQBマホームズの足首は快復するのか(しないだろうな)。まあ、自分の仕事に集中したい。

02/02/木
『善鸞』のプリントを読む作業を続けている。3章に入って主人公は東国に下向している。鎌倉で日蓮の弟子と出会い、それから常陸の笠間時朝を訪ね、妻の生まれ故郷の小鶴に向かい、三村山の忍性を訪ねる前に、忍性の師の叡尊と会った時のことを回想する。それから忍性と対面するのだが、この叡尊と忍性は主人公に少なからぬ影響をもたらす。この作品は思想ドラマなので、多くの修行者との問答によってプロットが進行していく。この思想ドラマのおもしろさをどれだけの読者がわかってくれるのか。まあ、そんなことを考えてもしようがない。もはや高齢者なので、命のある限り書きたいものを書くしかない。このテーマは作品社からのオファーなので、デッドストックになることはないだろうと思っている。何が起こるかはわからない。オファーがあったのに出なかった作品もないわけではない。

02/03/金
節分だね。子どものころは豆まきをした。寝屋川という当時は田舎みたいなところに住んでいたので、玄関にイワシをつけたり、年の数だけ豆を食べたりした。正月や旧正月は根拠のない一年の始まりだが、立春の前日の節分は、冬至と春分の中間地点ということで、科学的なものだ。数え年だと正月に年をとるのだが、旧暦の正月は閏月の入り具合で前後するので、節分に年をとるという風習が生じたのだろう。で、ぼくは数え年で76歳ということだね。喜寿まであと一歩だ。今年のスーパーボウルはNカンファがホーム扱いになるためイーグルスが緑のユニフォームで、チーフスはビジター用の白になる。3年前の49ナーズ戦ではチーフスが赤で49ナーズが白だったように思う。今度は相手が緑なので、わかりやすいことは確かで、赤を着てもいいように思うのだが、トレビが白黒だった時代の名残でビジターが白と決められているのだろう。マホームズは足は悪化していないという情報があるけれども、ほんまかいなと思う。試合の途中では明らかに悪化していた。痛み止めの注射の効力が切れたということか。こういう時に、日本の鍼灸はけっこう効くのではと思われるのだが。チーフスのダウンしたレシーバー3人のうち、ハードマンは絶望、スミスシュスターとトニーは回復途上にあるとのこと。まあ、ベンガルズとの試合で100ヤード以上を稼いだスキャンティングがいるし、新人のスカイ・ムーアもいる。ランニングバックのパチェコやマッキノンもショートパスから前進するのがうまいので、レシーバー陣は大丈夫だろう。ディフェンス陣もバローをサックし、ミクソンのランを許さなかった。ただイーグルスのランニング陣は、QBのハーツも含めて異次元のラッシュをするので、これをチーフスのディフェンスが防げるか。ラインバックとセーフティーが新人ばかりで発展途上なので、大丈夫かと懸念される。結局のところ、マホームズの足がどの程度回復するのかがポイントになる。前の試合でパスは投げられていたが、動きながらのパスはほとんどなかった。めったにないファンブルもすぐに拾いにいけなかった。やはり足の負傷の影響が出ていた。アメリカにも鍼灸師はいるはずで、何とか回復してほしいと切に願う。

02/04/土
何事もなし。『善鸞』のプリントは第4章に入った。ここで親鸞の門弟第一の性信が出てくる。性信は凡庸な人物だ。善鸞の義絶を親鸞に強く要請したと思われる人だが、悪い人ではない。ただ凡庸というのはそれだけで厄介な存在となってしまう。この作品にはわりとユニークな人物が出てくるので、その中で性信は異色の凡庸さを具えている。こういう人物は読んでいてもおもしろくないのだが、善鸞が東国に来て所信演説のようなことをする場面なので、まあ、じっくりと盛り上げる方向に進みたいと思う。

02/05/日
性信の出番。紙が真っ赤になるくらい修正した。まだ紙の裏に書き込むほどの追加挿入ではない。何とか行間と余白に赤字で書き込むだけでつながった。気になるところは時間をかけて修正したい。全体の赤字を入力してからもう一度プリントでチェックした方がいいだろう。明日は月曜日だが、Footballはお休み。この休みの間にマホームズの足首が回復することを祈る。先週の月曜日は朝5時から試合を見て、夜はリアルな新年会があった。長い1日だった。明日もリアルな会議が午前と午後にある。午後の早い時間に終わるはずなので仕事はできると思う。

02/06/月
朝8時に起きる。先週は5時に起きた。Footballのためだ。朝早く起きることは苦痛ではない。本日は10時からREAL会議があるので、体調を調えるために早めに起きて、9時すぎに出発。SARTRASで打ち合わせ。首相官邸の隣にある永田町ビル。道路は封鎖されて厳重警戒体制。いったん自宅に戻ってから午後のREAL会議。ABSC準備会。今回から委員のメンバーになった。神保町の出版クラブなのでいつもの散歩コース。歩いて帰れるので楽だ。本日の仕事はこれで終わり。『善鸞』のプリントはじっくりと進めたいと思う。

02/07/火
来週の月曜日いよいよスーパーボウルだ。このあたりで昨年9月からのシーズンを振り返っておきたい。まずはAカンファから。このところ2年連続でスーパーボウルの覇者はNカンファだった。といってAカンファが低調だったわけではない。チーフスのマホームズ、ビルズのアレン、ベンガルズのバローと若手QBが覇を競っていて、プレーオフの段階でやや力を使い果たした感じでスーパーボウルに臨んだ結果だろう。逆にNカンファはバッカニアーズのブレイディー、ラムズのスタッフォード、それにパッカーズのロジャーズと、ベテランQBが引退への花道を飾ろうと頑張っている。そのNカンファからラッセル・ウィルソン、ライアンというベテランQBがAカンファに移籍した。これでAカンファは新旧のQBが厳しい競り合いを見せるものと思われたのだが、結果としてはベテランQBの惨敗だった。マホームズ、アレン、バローに加えて、ジャーガーズのトレバー・ローレンスが加わって、地区優勝を制した。ワイルドカードで出場したチームは若手QBばかりで、プレーオフ出場7チームの先発QBのうちマホームズが最年長ということになった。マホームズは5年目の若手QBだと思っていたのだが、他チームのQBはもっと若返っていたのだ。これに対してNカンファはブレイディーが負け越しながら地区優勝するなどベテランが奮闘した。バイキングスのカズンズもようやくチームをまとめきって勝ち上がってきた。49ナーズのガロポロも先発候補の2年目ランスの故障で急遽先発することになり、シーズン半ばまで頑張ったのだが、負傷によってドラフト最終選択のパーディーがシンデレラボーイとなって活躍した。イーグルスのハーツ、ジャイアンツのジャイアンツのダニエル・ジョーンズも若手といっていい。カウボーイズのプレスコットとシーホークスのスミスは中堅の選手だがまだ頑張っている。新人QBとして唯一人1巡で指名されたスティーラーズのピケットは途中から先発として出場して成果を残した。来シーズン最初から先発で出場すればプレーオフが見えてくる。ドルフィンズのタゴヴァイロアは怪我でリタイアしたが前半は快進撃だった。両チームともAカンファなので来シーズンのAカンファは熾烈な闘いになる。逆にNカンファはブレイディーが引退し、ロジャースに衰えが見える。セインツもファルコンズも先発QBの替え時だろう。4月末のドラフトが楽しみだ。さて、スーパーボウルはチーフス対イーグルスだが、これはマホームズの足の怪我が回復するかどうかにかかっている。完全回復は望めない。そこそこに回復していればいい勝負になるだろう。ぼくはチーフスのファンなので、結果は予想できない。チーフスに勝ってほしいと思うばかりだ。

02/08/水
『善鸞』のプリントのチェックは毎日少しずつ進んでいる。1章と2章の京を舞台とした父の親鸞とのやりとりはほぼ完璧ですらすらと読めたし、3章の東国に下向してから、日蓮の弟子や叡尊、忍性が出てくるところまでもわずかな直しで進行したのだが、親鸞の面授の門弟が出てくるところから、にわかに赤字が増え、前へ進まなくなった。このあたりは親鸞の思想の根幹に関わる部分なので慎重に進めないといけないが、親鸞の思想そのものが大きな矛盾をはらんでいる。唯円の「歎異抄」の「歎異」というのも、親鸞の面授の門弟たちの言説がそれぞれに異なっていることを歎いたもので、その異なるようになった原因は実は親鸞にある。だから東国に出向いた善鸞も、親鸞の言説の矛盾点にぶつかることになる。そのあたりのセリフのやりとりが、矛盾をはらんだままでどのように切り抜けていくのかというところに、根本的な問題がある。矛盾をかかえているというのは、メビウスの輪やエッシャーの永遠に流れる滝の絵のように、部分的に見れば問題がないように見えながら、全体を見ると大いに矛盾しているというのが、親鸞の思想なのだ。そこを善鸞は解決しなければならないのだが、そこに飛躍があってはならない。部分的に見ていくと連続しているように見えながら、結果としてはまったく新しい思想を善鸞は提出することになる。そのあたりは小説の仕掛けが必要になってくる。ということで作業は遅々として進まないのだが、そうこうするうちにSUPERBOWLが近づいてきた。予定ではプリントチェックは2週間くらいで終わって、のんびり試合を見られると思っていたのだが、そういうわけにもいかなくなった。ということで、これからの数日はスーパーボウルのことだけを考えることにする。今回のスーパーボウルは、ケルシー・ボウルと呼ばれているようだ。10年ほど前、49ナーズとレイブンズが対決した時に、双方のヘッドコーチが兄弟だったことから話題となったのだが、今回はイーグルスのオフェンスラインのセンターと、チーフスのタイトエンドがケルシー兄弟なのだ。イーグルスが兄でチーフスが弟だ。チーフスのケルシーはすでに歴史上最高のタイトエンドと称され、数々の記録を塗り替えている。チームの中心で、タッチダウンの数もチームで一番。文字どおりオフェンスの中心を担っている。これに対して兄の方かセンターという地味なポジションだが、QBにボールを渡す役目で、オフェンスというものはセンターがボールを後方にスナップするところから始まる。だから攻撃の要だといってもいい。ただボールを出すだけでなく、そのあとはQBめがけて殺到する敵のディフェンスラインからQBを守ったり、突進するランニングバックのために突破口を開いてやったり、ショートパスの場合はボールをもったレシーバーまたはランニングバックと並走して、敵のコーナーバックやセイフティーを跳ね飛ばす役目も担っている。縁の下の力持ちというのがまさにセンターなのだ。ケルシー兄はまさにその役目を担っている。兄弟の双方がオフェンスなので直接にぶつかりあうことはないのだが、Footballは攻撃によって点を取り合うゲームなので、兄弟の活躍によってどちらかが優勢になるということになる。今年のチーフスはディフェンスラインが攻撃的で、とくにタックルのクリス・ジョーンズのQBサックが傑出している。対面するオフェンスガード一人ではQBを守り切れないので、センターと二人でガードしないといけない。ケルシー兄とクリス・ジョーンズの対決が見ものだ。さらにチーフスのQBのマホームズが足を傷めているため、パスラッシュから逃げながらロングパスを投げるということができない。スナップを受けたらすぐにショートパスを投げることが多くなる。そのショートパスのターゲットとなるのはタイトエンドのケルシー弟だ。ということで、ケルシー兄弟がどれだけ活躍するかで、優劣が決まってしまうのではと考えられる。ケルシーボウルと言われるのはそのためだろう。Footballにはけっこう兄弟のプレーヤーが多い。スティーラーズにはオフェンスのフルバックとディフェンスのラインバックのワット兄弟がいる。もう1人ワット兄弟の長男がカージナルスにいたのだが今シーズンで引退することになった。マニング兄弟は2人ともスーパーボウルに2度勝ったことで名を残した。しかしこんなふうにチームの中心として兄弟が対決するのは珍しいケースだろう。ぼくはチーフスのファンなので弟の活躍を期待しているけれども、イーグルスのセンターからも目が離せない。センターというのは本当に地味なポジションなのだが、カンファ決勝戦でもケルシーの名が何度も呼ばれた。ここぞという時にセンターが活躍していた。ケルシー兄もなかなかのものだという気がした。対決が楽しみだ。

02/09/木
昨日は深川ギャザリアに行った。木場にあるショッピングモールだ。2週間に1度、ここに行く。車のバッテリー上がりを防ぐためだ。まあ、スーパーがあるから、自宅のある集合住宅の地下にあるいつものスーパーにはないものを購入することができる。100円ショップもあるし、ペットショップで犬や猫を見たりもする。昨日は100円ショップでメガネ型の拡大鏡を買った。すでにいくつも持っているのだが、何しろ100円のものなので、壊れやすい。耳にかけるツルの部分を折りたたむ仕組みが、耐久性に欠けるのだろう。だから折りたたまないようにしているのだが、それでも何かの拍子に壊れてしまう。それで予備を3つほど買った。さて、本日はSARTRASの分配委員会。いろいろと紛糾することがあって、聞いているだけで疲れる。なるべく聞かないようにしている。そんなことよりSUPERBOWLのことを考えていた方が楽しい。マホームズの足は順調に回復しているらしい。回復するといっても元の状態には戻らないだろう。痛いけれども無理をすれば走れるという状態になればいいのだが、痛みは我慢できるとして、パスを投げる時に足を踏んばるわけで、その踏んばりが正常な時と比べて少しでも狂えば、パスの正確性が損なわれることになる。ほんのわずかな狂いがインターセプトになることもある。ただ先週の試合でマホームズからレシーバーのスキャントリングに投げたタッチダウンパスは、きわめて正確なものだった。飛びついた相手のディフェンスの手の先を擦り抜けて、スキャントリングの胸のど真ん中にストライクという感じだった。後半に入っていて、すでに走るのは難しいと思われるほどの痛々しい状態だったので、それでもあの正確なパスが投げられるのであれば、まあ、大丈夫かなと思う。マホームズは走力があるのに、相手のパスラッシュから逃げながらパスを投げることがふだんは多いのだが、足が痛いので早めにパスを投げることになるのだろう。これはかえって怪我の功名といったことになるかもしれない。さて、スーパーボウルに出場する2チームを除いては、すでにシーズンオフに入っている。ということは、トレードについての戦略がすでに始まっていることになる。選手はチームと年限を区切って契約を結ぶ。1年だけの契約もあれば、5年先までの契約を結ぶこともある。たとえ5年の契約であっても、5年が経過すれば契約が終わることになる。どのチームも3分の1くらいの選手が契約切れになる。契約が切れた選手はフリーエージェントになるので、新たな契約を結び直すことになる。同じチームと契約することもあれば、違うチームに移籍することもある。また契約期間が終わっていない選手をトレードというかたちで移籍させることもある。つまり選手の大移動が始まるわけだ。Footballが日本将棋と似ているということはつねづね感じているのだが、将棋の場合は先手と後手の別はあるもののコマの数と性能は同じだ。一方でFootballの場合はコマは人間なので個性がある。能力が違っている。従って、契約やトレードによって戦力を揃えるというのは、戦略ゲームの第一歩だし、戦力を調えることで勝負がついてしまうこともある。チーフスとイーグルスも、戦力が調ったからこそ勝ち抜くことができたのだ。チーフスの場合はQBマホームズに最大級のギャラを払っている。そのため昨年はレシーバーのタイリーク・ヒルの求めに応じることができず、放出することになった。サラリーキャブによってギャラの総額が決まっているので、偉大なQBは必然的に、自分以外の戦力は劣った状態で勝負しないといけなくなる。チーフスは昨年、実績のあるディフェンスバックを大量に放出して、大半を新人と若手だけで構成した。大丈夫かという気がしたのだが、シーズンの途中から新人がすべて機能するようになった。これが勝ち抜けた原因だろう。イーグルスは逆に、ウェンツという中堅のQBを放出して、ハーツという新鋭にすべてを任せた。そのぶんレシーバーやディフェンスに有力な選手をトレードで補強した。というように、選手を構成することが戦略ゲームなので、これからの半年はそこに注目していくことになる。目立つところではレイダーズがベテランQBのカーを放出することに決めた。そしてカーにセインツに出向くことを認めた。本人とセインツの話がまとまれば、そこからトレードの交渉に入る。カーはまだ契約の年限が残っていて、その契約の中にはトレードを拒否する権利が記されている。それで本人がその気にならないとトレードは成立しない。ぼくはセインツもけっこう好きなのでカーの動向が気にかかっている。

02/10/金
SARTRAS共通目的委員会。あまたあるSARTRASの会議の中ではこれが最重要。これのためにSARTRASがあるといっても過言ではない。外部から招いた委員の方々の適切なご意見と判断を称賛したい。スーパーボウルまであと3日。ドキドキする。年間の表彰選手が発表された。マホームズがMVP。当然だ。獲得票数も圧倒的だった。2回目の受賞。それだけでもレジェンドだ。ブレイディーでも3回。ペイトン・マニングの5回にもいずれ到達するだろう。ニューヨーク・ジェッツがオフェンスとディフェンスの新人賞を獲得。それでもプレーオフに届かなかった。やはりFootballはQBで決まる。今年のドラフトでもQBに注目が集まるだろう。チーフスは目立たなかったが、先週の試合でキックオフリターンで50ヤード近くまで走ったレシーバーのスカイ・ムーアを始め、先発ランニングバックとなったパチェコもいるし、ディフェンスには5人も新人が入っている。大成功のドラフトだった。ベテランのラインバッカーとセーフティーをごっそり放出した時にはどうなることかと思ったのだが、ドラフトで新規採用した選手がここまで活躍すると、スカウトの炯眼と、ディフェンスコーチの鍛え方が優れていたのだろうと思う。昨年は負けたベンガルズのオフェンスを完璧に抑えきって、足を傷めたマホームズを支えた。マホームズのMVP受賞も新人たちの活躍の成果だろう。

02/11/土
SUPERBOWLまであと2日。仕事が手につかない。今シーズンのイーグルスは、ハーツが腕を痛めるまでは全勝街道を驀進した。ハーツのパスが正確さを増し、ワイドレシーバー陣もトレードで補強されたためパスが通るようになった。しかもハーツはもともとモバイルQBなので、いざとなれば走る。ランニングバックも2人いて、交替で走る。とにかくハーツとランニングバックのどちらが走るかわからないので、相手ディフェンスはラン攻撃に手厚く備えなければならず、そうするとパス守備が疎かになる。これをチーフス守備陣がどうやって抑えるのか。チーフスはジャガーズとベンガルズのラン攻撃をある程度は抑えていたが、QBに走られると弱かった。ローレンスもバローもモバイルQBではないので、10ヤード進めばそれ以上は無理をせずスライディングで身を守る。しかしハーツはそうではない。隙があればエンドゾーンまで走ってしまうだろう。チーフスのラインバックとセーフティーは経験不足の新人が多く、しかも小柄だ。ハーツに走られると対応できないのではと思われる。そこで頑張ってほしいのはディフェンスラインの4人だ。4人でハーツにプレッシャーをかけ続け、とくに早い段階でQBサックがほしい。連続でハーツにダメージを与えていく。これが唯一の可能性だと思う。攻撃の方では、2週間前に足を傷めたワイルドレシーバーたちは、ハードマンを除いては復帰できそうだ。その試合で最後まで頑張ったスキャントリングと、穴を埋めて活躍した新人のムーアに加えて、スミスシェスターとトニーが動ければ、交替で走ることができる。相手が引き気味に守れば、パチェコが走る。レッドゾーンに入れば、ベテランのマッキノンに交替する。いざとなればケルシー弟がいる。困った時のケルシー。マホームズはあまり走らず、足を後半まで温存した方がいい。そのためにパチェコに頑張ってほしい。パチェコはドラフトビリの49ナーズのQBパーディーの2人前で指名された。こちらもまさにシンデレラボーイだ。本来の先発のヒレアーも復帰できるようだが、先発はパチェコで行きたい。前半はあまり点が入らない気がする。どこでエンジンをかけてロングパスを通すか、とにかく前半はランニング中心の地上戦になるのではないか。3年前のチーフスが49ナーズに勝った試合では、ランニングバックのウィリアムズが活躍した。今回はパチェコに期待したい。

02/12/日
SUPERBOWL前日。予想をやってみよう。QBはモバイルQBのハーツと走れないマホームズ。ハーツは肩を傷めていたが、プレーオフでは遠投もできていた。ただもともとパスの精度は充分ではないのだが、レシーバー陣のレベルが高く確実にキャッチしてくれる。足の痛いマホームズはパスの精度が落ちている上に、イーグルスのパスラッシュが強く遠投は決まらないのではないか。レシーバー陣は怪我からは回復しているようだがスキャントリングとケルシー以外はあまり期待できない。ラン攻撃もイーグルスはランニングバックの2枚看板にハーツも走るので有利。チーフスはパチェコの驚異的な頑張りに期待するしかない。チーフスのパス守備はラインバックもセイフティーも新人ばかり。元気はあるが劣勢になった時の経験値が不足している。ディフェンスラインは互角だが、オフェンスラインはイーグルス有利。どこをとってもイーグルスが優勢だ。マホームズの怪我がなくてもレシーバー陣の差でイーグルス有利で、これに足の回復が遅れているようだとイーグルス圧勝も考えられる。これに対してチーフスが勝つ可能性はあるのか。マホームズが早めにケルシーにパスを投げてリズムをつかみ、前半互角で行ければ、チャンスはまだある。チーフスのディフェンスラインが何度かハーツをサックするような展開になればチャンスはさらに広がっていく。ただ後半、ディフェンスが疲れてしまうようだとそこで差がついてしまう。ベンガルズ戦で見せたような集中力が最後まで続けば、タイムアップまで先が見えない接戦になる可能性はある。とにかく接戦になってほしいという希望をもっている。ただチーフスが劣勢であることは確かなので、ファンとしては一縷の望みを抱きながらもわりと気楽に見ていられるかなと思っている。『光と陰の紫式部』の再校ゲラが届いた。まあ、明後日から見ればいいだろう。

02/13/月
いよいよSUPERBOWL。朝8時に起きてテレビの前。いちおう仕事の道具をテーブルに並べる。野球と同じようにFootballには途切れ目がありコマーシャルが入ったりダイジェストになったりするので、その間だけ仕事をするつもりだったが、怖くて見ていられない感じがすることもあり、プレーの最中に仕事に集中していたこともあった。善鸞が日蓮と対決する作品の山場で、ここは自分でも自信のあるシーンなので集中できる。イーグルスの攻撃から始まったのだが、チーフスのディフェンスが頑張りを見せるものの、ぎりぎりのところでファーストダウンを重ねられて結局タッチダウン。イーグルスのオフェンスは何をやってもうまくいく感じ。マホームズは出だしのところは快調ですぐに7点返す。イーグルスが7点とって、次のチーフスの攻撃が続かなかった。イーグルスにボールが渡り突き放されそうな感じだったが、ハーツがポロッとボールを落としたのを拾ってファンブルリターンで同点。ここは奇蹟が起こった。しかしその後はイーグルスの一方的な攻撃で、10点差で前半終了。マホームズも途中から痛みが出たようで、これはまずい展開だと思われた。幸いだったのはハーフタイムショーがあるので、その間、マホームズの足のリハビリが出来たようで、後半はまたしばらくは走れるようになっていた。後半はチーフスからの攻撃で、すぐに7点とって3点差。イーグルスの次の攻撃をフィールドゴールに抑えたディフェンスの踏ん張りでまだ6点差。そこでパチェコのランをおりまぜながら前進し、右から左に行くと見せかけてまた右に戻るトニーの移動攻撃で逆転。まだ1点だけのリードだったが、ディフェンスがしっかりハーツを抑えるようになって、今度は新人スカイ・ムーアが、右に行くと見せかけて左に行くという、さっきと反対のパターンでタッチダウン。同じことはやらないだろうという相手の思惑の逆を衝く攻撃だった。8点差になって少し気分が楽になったのだが、この8点をあっという間に取り戻されてしまった。同点で残り5分。ここで7点とっても相手は簡単に8点とってしまいそうなので、チーフスは時間を使い始めた。ランとショートパスで小刻みに前進して、相手に時間を与えない作戦。ここではパチェコのランが効果的だった。残り2分を切ったところで、マッキノンがまったくのフリーでパスを受ける場面があったのだが、さすがにベテランのランニングバックで、ゴールラインの2ヤード手前でスライディングでわざとタッチダウンをとらなかった。そこで7点とっても相手に時間を渡すと何が起こるかわからない。そこから2回ニーダウンして、残り8秒でキックを決めた。残り8秒ではヘイルメアリーも投げられない。それでもハーツは遠投したのだが、遙か手前に落下。ハーツは腕の痛みをこらえてプレーしていたことがわかった。ということで、劣勢を予想されたチーフスの見事な逆転勝利だった。仕事もかなり進んだのでよかった。

02/14/火
SUPERBOWLの余韻がまだ続いている。昨夜は録画を最初から見返して試合経過を確認した。つねづね言っていることだが、Footballは日本将棋に似ている。録画を見返すというのは棋譜をたどるようなものだ。将棋の駒は能力が規定されている。Footballの選手は人間だから能力に差があり好不調の波がある。チーフスのマホームズは足を傷めていた。出だしは快調でケルシーへのタッチダウンを決めたまではよかったが、その後はまったく前に進めなくなった。幸いだったのはSUPERBOWLなのでハーフタイムに長いショーがある。その間にマッサージとテーピングで足を回復させたのだろう。後半の2ミニッツ前の長いQBスクランブルのころは痛みが頂点に達していたはずだが、骨折ではないので、走り始めたあとは痛みは忘れていたはずだ。イーグルスのハーツは腕を傷めていた。それでも長大なロングパスを2本決めたが、いずれも体を大きくねじるようにして体の回転で投げていた。残り8秒から始まった最後の攻撃でヘイルメアリーパスを投げたのだが、ボールは力なくチーフス守備陣の遙か前に落下してゲームセットになった。前半にマホームズが決めたタッチダウンパスは1つだけだ。もう一つのタッチダウンはハーツのファンブルをディフェンスが拾ってリターンしたもの。このファンブルはハーツのミスではない。チーフスのラインバックのボルトンがサックを狙って目の前に迫っていた。慌ててボールを持ち替えようとした時にボールを落とした。そのボールが自分の足に当たり横に蹴り出すようなかたちになった。これは偶然による不運だった。QBをサックしたつもりのボルトンはその感触からハーツがボールを持っていないことに気づいて横に目を向けると、目の前にラッキーバウンドで跳ね上がったボールがあった。ボルトンはそのボールを両手で抱えて、あとはゴールラインを目指すだけだった。この失点がありながら、イーグルスは前半を10点リードで折り返した。マホームズの不調は明らかだった。この時点では勝利を確信したのではないだろうか。イーグルスに弱点があるとすれば、プレーオフの初戦の相手がジャイアンツで楽勝だったことだ。次は強敵の49ナーズだったが、これも相手QBへのサックが決まって、パーディーが右腕を負傷してボールが投げられなくなった。控えQBは出場した途端に脳震盪となった。それだけディフェンスの圧力が強かったのだが、2試合とも楽勝だったので、チーフスのディフェンスは接戦の緊張感を体験していなかった。チーフスはケルシーの他にタイトエンドをもう1人追加して、QBサックをガードした。足を傷めたマホームズに対してQBサックは1度もなかった。マホームズの球離れが早かったこともあって、後半はサックそのものを諦め、イーグルスのディフェンスは引き気味に守っていた。ロングパスは防げたがもともと足を踏ん張れないマホームズはロングパスを投げなかった。パチェコのランとショートパスで小刻みに前進した。マホームズ自身のランも2回あった。チーフスはマホームズが走ることを想定していないので2度とも楽々と走れた感じだった。後半の3つのタッチダウンはパチェコのランと、トニー、スカイ・ムーアへのパスだった。ナンバーワンターゲットのケルシー、ベンガルズとの試合で大活躍したスキャントリング、この試合で活躍したスミス・シェスターを使わず、スナップ前にポジションを移動させるめくらましの動きをするだけで、実際にパスが投げられることはない2人にタッチダウンパスを通した。トニーは足の速いレシーバーで、この試合でも一つパントリターンで60ヤード走ったのだが、タッチダウンの時は右端のポジションからスナップ前に左で走り込んだ。マンツーマンの相手ディフェンスが追いかけて移動したところ、途中で引き返して右に戻ると完全にフリーになっていた。マホームズは楽にパスを通した。結果的に勝利を決めた最後のタッチダウンは、同じことを左に位置してスカイ・ムーアがやったものだ。これで8点差がついたのだがまだ時間は8分くらいあった。まだ点の取り合いが続きそうだったが、ハーツは超ロングパスでエンドゾーンに迫り、あとは自分の脚でタッチダウンと2点コンバージョンを決めた。同点になって時間はまだ5分残っていた。そこからはパチェコのランとマホームズ自身のランで敵陣に入った。ここからはランとショートパスで時間を消費した。終了2分前のタイムアウトのあと、コールライン直前だがサードダウンで8ヤードという苦しい状態になった。この8ヤードを進めないと、フィールドゴールが決まっても、残りほぼ2分を残して相手の攻撃になる。しかしマホームズは冷静だった。8ヤード先にディフェンスが集まっているのを見てエンドゾーンにボールを投げ込んだ。スミス・シェスターをターゲットにしたパスだったが、インターセプトを避けるために遠くに投げ捨てた感じだった。相手の反則を見越していたのだろう。実際に相手ディフェンスがたまらずスミス・シェスターの腰に手をかけて反則をとられた。これでファーストダウンとなり、あとは時間を消費して、終了8秒前にフィールドゴールを決めた。この最後の5分の攻撃はまさに日本将棋のような理詰めの作戦だった。ふだんのマホームズなら3分くらいでタッチダウンできるところだが、相手に2分残すと、そこから8点とられる可能性がある。だから時間を消費してぎりぎりでフィールドゴールという戦略に変更したのだろう。その時間の消費にはパチェコとマッキノンというランニングバックの活躍で実現できたものだ。この2人のランニングバックはレギュラーシーズンでも大活躍した。タイリーク・ヒルを移籍させてレシーバー陣の技倆が低下したところを、この2人のランニングバックが補って、第一シードを獲得し、SUPERBOWLに到達した。昨日の試合でもランニングバックは奮闘した。それと、ベテランのラインバックとセーフティーを全員放出して、ドラフトで入った新人4人に任せた英断も見事な成果を挙げた。シーズン始めから新人たちは頑張っていたのだが、経験を積むことによって鉄壁の守備陣に変貌していった。彼らは新人なのでギャラが安い。マホームズとは長期契約を結んでいるので、来年もサラリーキャップの心配がない。ディフェンスの4人と、パチェコ、スカイ・ムーア、それにエッジのカーラフティスを加えた7人はあと3年は安いギャラで活躍を続けることになる。来年、再来年の連覇が期待できる。あとはベテランが多いディフェンスラインの補充を計ればいい。それと控えQBチャド・ペニーが引退を表明したので、ドラフトの3巡くらいで地味なQBを押さえておけばいいだろう。

02/15/水
まだSUPERBOWLの余韻。前日の日本テレビのスポーツニュースに、NFLのダイジェスト番組を担当しているオードリーの2人が出演していた。その時、春日さんがイーグルスのユニフォームを着ていたので、希望がわいてきた。この番組のファンなら知られたことだが、「春日の呪い」という言葉が定着している。番組ではオードリーの2人と女性アナウンサーがそれぞれ応援するチームのユニフォームを着ているのだが、春日が応援するとそのチームは必ず負けるというジンクスがある。Aカンファ準決勝のベンガルズ対ビルズの試合で、試合前のイントロで春日はビルズのユニフォームを着ていた。試合の序盤、ベンガルズが立て続けにタッチダウンを決めてビルズが劣勢になると、冷静なはずの実況アナウンサーまでが、「ビルズはどうしたのか。これも春日の呪いでしょうか」と絶叫していた。で、春日さんがイーグルスの緑のユニフォームを着ていたので、これはチーフスの勝ちだと誰もが思ったのではないか。実際にそのとおりになった。さて、昨夜の夜中はスローモーションで試合を見た。まだ前半だけだが、チーフスのオフェンスラインがマホームズをよく守っていた。オフェンスラインという名称にはなっているけれども、Footballの場合、オフェンスラインはQBを守るのが役目で、ディフェンンシブだ。逆にディフンスラインはQBを倒すため攻撃をしかける。オフェンスラインは5人、ディフェンスラインは4人だが、オフェンスのセンターはボールを出す役目があるので初動が遅れる。結局、両側の4人とディフェンスラインの4人が、相撲の立ち合いのようにぶつかりあう。ぶちかましや突っ張りはOKだが、腕や体をつかむのは反則。100キロから150キロくらいの巨漢がぶつかりあうのでまさに相撲。チーフスのディフェンスラインは数字的には全体1位なのだが、当日の試合ではQBサックがゼロだった。チーフスのディフェンスは1対1にぶつかりあいに耐えていた。やはりマホームズが足を傷めているということで、死にもの狂いの力が出たのだろう。Footballにはメンタルな要素もある。ふだんなら、ぶつかりあいに負けてもマホームズならするりし逃げてくれるという安心感があって、それが甘さになっていたのが、足の負傷で何としてでも守らないという気持になったのだろう。実際には2回、危ない場面があったのだが、その2回はマホームズが痛む足を引きずるようにして走ってヤードを稼いだ。ただQBサックを狙うのはラインだけではない。ラインバックの両サイドも外側から走り込んでQBを狙う。これを防ぐのがランニングバックとタイトエンドだ。とくにチーフスのラインバックは強烈で、49ナーズのパーディーが腕を負傷したほどだ。チーフスはパチェコのランが何度も出て、ラインバックが守備的になってしまった。さらにパスのターゲットで飛び出すことの多いケルシーとは別に、グレイというタイトエンドを起用して、QBを守った。タイトエンドを一人にすると、レシーバーが一人減ってしまうのだが、足を傷めて踏ん張れないマホームズは最初からロングパスを捨てていた。短いパスはパチェコとケルシーがキャッチしてから走る。ケルシーを2人のディフェンスで守ろうとすると、伏兵ともいえる無名のレシーバー、トニーとスカイ・ムーアがそれぞれタッチダウンを決めた。これは戦略の勝利だ。ボールのポゼッションも、獲得ヤードも、イーグルスの方が圧倒していたのに、結果はチーフスの勝ち。それも辛勝ではなく、残り5分のボールをもった段階から、時間を消費して最後にキックという作戦を立て、きっちりと作戦どおりに進行させた。これはチーフスのコーチ陣の勝利だ。と、Footballのことばかり考えているようだが、自分の仕事もしている。『善鸞』のプリントのチェックは最終章に入った。日蓮、北条時頼、叡尊との対話が効果的で、最終章への魅力的なアプローチになっている。さて、最終章がうまくいっているか。秘事の法門という謎めいた儀式が出てくるのでそれがうまくいっているかを確認したい。

02/16/木
SARTRAS理事会。何事もなし。一回だけ発言。夜中にスーパーボウルの録画を見ている。毎日見ている。いつまで見るのだろうか。カンファ決勝や準決勝の録画も残してある。まあ、9月に新たなシーズンが始まるまでは録画でも見るしかない。野球など他のスポーツには興味はない。相撲と高校野球は始まれば見る。相撲は横綱不在で大関も一人で、群雄割拠になっているところがかえっておもしろい。若隆景、若元春の兄弟を応援している。『善鸞』はいよいよ秘事の法門の場面。ここまでにも伏線となるエピソードを追加してきたので、スムーズに入れるのではと思うのだが、手探りで書いているところもあるので修正がたいへんだ。まあ、ここを乗り越えないといけない。エンディングには自信をもっている。

02/17/金
週末はのんびり過ごしたい。少し暖かくなってきた。居住している集合住宅は千代田区の小学校と公園の跡地に建っているので、建物の前が広場と公園になっている。そこに梅の木が白梅と紅梅と2本ずつあって満開になっている。前に住んでいた三宿の家では、ダイニングの窓から向かいの家の梅の木が見えていて楽しめた。いまの自宅は高層ビルの中層階にあって、目の下に公園があるのだが、真下なのでよく見えない。まあ、散歩の生き返りに花を見ることはできるし、べつに花など見なくてもいいのだが。『善鸞』はいま難しいところに差しかかっている。昨日は近くの本屋で雑誌を買った。この店は買う度にポイントカードは?と訊かれる。いつも「ない」と答えていたのだが、昨日は何となくカードを貰ってしまった。先日薬屋のカードを貰ったせいかもしれない。その時は書類を書かされたので貰わなければよかったと思ったが、今日はポイント10倍などと言われると、カードをもっていない人は損をしているようにも思われる。そのせいで本屋のカードをもらってしまったのだが、これはNETで手続きをしないとポイントが消えてしまうと威された。けっこう面倒だったが完了した。えらい手間だ。本はアマゾンで買うか、神保町で古書を買うので、御茶ノ水駅前にある本屋で買うのは雑誌だけで、歴史関係のムックみたいなものを資料として買うことがある。歴史好きの人は少なくないのだろう。雑誌が何種類も発行されている。歴史好きの人は歴史が好きなのだろう。ぼくが書いているのはフィクションなので、歴史好きの人の興味に応えることはできない。善鸞なんて誰も知らないし、資料もない。ただラストシーンは九代執権の浜出の一行の中に善鸞の姿があって、それを本願寺三世の覚如が目撃する場面になっている。これは知りようがあるので、まったくのフィクションというわけではない。この終わり方はなかなかいいと思っている。

02/18/土
『善鸞』のプリントチェックは懸案であった秘事法門の箇所を無事通過した。リアリティーがあるかどうかが懸案だったのだが、そこに到るまでに伏線を張っておいたので、秘儀の場面はとくに問題なく話が進行していた。うまく描けていると思う。ということで作品はほぼ完成なのだが、まだエピローグの部分が残っている。善鸞の墓となる怩見上げて善鸞自身がわらっているところで作品は終わっているのだが、エピローグとなる小さなエピソードを付けてある。これがない終わった感じがしない。資料となる絵詞集に、本願寺三世の覚如が、大伯父にあたる善鸞と出会う場面がある。ほとんどフィクションとして書かれているこの作品が、史実とつながる部分がここしかないので、このエピソードは欠かすことができない。ただ文体が変わってしまうので、とってつけたようなものになるかもしれない。そのあたりは明日はじっくりと考えてみたい。

02/19/日
本文から短いエピローグに移るところ。ここで視点が変わる。冒頭からずっと主人公善鸞に寄り添っていた視点が、いきなり親鸞の曾孫の覚如に移る。ここはいかにも唐突だ。この作品では、というかぼくの作品の多くでは、場面転換のおりに一行アキを用いる。だがここはふつうの一行アキでは唐突な印象を拭えない。読者が途惑っているとエピローグの速い展開についていけなくなる。3行ほどあけて、真ん中に×印を入れるとか、あれこれ考えてみたが、章を改めることにした。短い終章をつける。これでこの部分が短いエピローグだということがわかるだろう。これで作業は完了。エンディングは問題ない。完結で記憶に残るエンディングになっている。熱病で倒れた覚如を善鸞が治療するところもいい。まだ赤字入力の作業が残っているけれども、それは入力すればいいだけのことなので、これで第二次の草稿完了ということになる。赤字を入力したあとでまたプリントして最初から読み返す。もう赤字はほとんど入らないはず……。まあ、やってみないとわからない。ただ入力作業にはすぐにはとりかからない。『光と陰の紫式部』の再校ゲラを見ないといけない。これに1週間はかかるだろう。『文芸思潮』に頼まれた加賀乙彦さんの追悼文は第一次の草稿はできている。個人的なことばかり書いているのだが、他にも書く人がいるから、自分は自分のことだけを書けばいいだろう。まだFootballの録画を毎日見ている。今度はイーグルスの7番レディックと、イーグルスの77番ワイリーのぶつかりあいの場面だけをスローで見ていこうと思う。49ナーズのQBパーディーの利き腕を粉砕したレディックだ。これをオフェンスラインの穴と危惧されていたワイリーがどのように防ぐか。たぶん控えタイトエンドのノア・グレイが時々出場してアシストしているはずなのだが、とにかく結果としてはマホームズは一度もサックされなかった。なぜなのか、そこのところを検証しておきたい。昨日は将棋の渡辺対藤井の試合をずっと見ていた。藤井くんが不用意に敵陣に打ち込んだ飛車が逃げ場を失って、あわやというところで、かろうじて桂馬一枚を犠牲にして脱出して自陣の戻ったのが、結果としては藤井の王将のボディーガードとなって接戦に勝ちきることができた。それと敵の王将の斜めの遙か手前に角を打った藤井くんの着眼、角を打った時は平凡な手に見えたのだが、その斜め前にもう一枚角を打って、角のダブル攻撃になった。これで相手の王将は逃げ場を失った。いつでも前方の角が敵陣に成りこんで馬になる。その馬はもう一枚の援護射撃を受けている。この連続攻撃で敵陣の王将の周囲に守り駒が皆無になった。角2枚は死んでしまったのだが、その何もなくなった場面から27手詰め詰め将棋が成立することを藤井くんは読んでいたのだし、コンピュータの判定も99%の勝利という数字を出していたのだが、解説の2人は「これ、詰むんでしょうね」「藤井さんのやってることだから詰むのでしょう」などととぼけたことを言っていた。渡辺くんもよくわからないけど、たぶん詰まされるのだろうと思って敗北を認めたようだ。将棋にはこういう理詰めのおもしろさがあるのだが、同じような理詰めの戦略ゲームというところがFootballにはある。パーディーの腕を粉砕したエッジラッシャーがなぜマホームズの体に一度も触れることができなかったのか。これを解明するのは楽しい作業だ。

02/20/月
『善鸞』のプリントチェックの作業は終わった。赤字を入力しないといけないのだが、『光と陰の紫式部』の再校ゲラを見ないといけない。まず編集者のチェックを確認。付箋がついているところを見て、指摘に従うだけ。作業はすぐに終わった。あとは最初から通読すればいいだけだ。書いたのは3年前なので、作品を書いた時の記憶はない。なぜこの作品を書いたのかもわからないが、集英社新書の『源氏物語を反体制文学として読んでみる』を書いた時には、いずれ小説にするつもりで、創作ノートを書くような感じてこの新書を書いたのだと思う。実際にこの自著を参考にしながら書いていった。ただ書くにあたって、ふつうのリアリズムでは小説にならないと考えたことは確かだ。紫式部って、地味な人。性格が暗いということは「紫式部日記」読めばわかる。恋もしていない。理屈っぽい。こういうヒロインでは小説にならない。そのためあれこれ考えて、安倍晴明を登場させ、陰陽師と式神という設定を折り込んだ。式神が物語の進行役になってくれるので、テンポが速くなる。前半は軽いポップスのような感じで進行させて、後半の政治ドラマにつなげるというプランを最初からもっていて、そのプランどおりになった。よく書けていると思う。3年前の自分はもはや他人で、よくこんなものを書いたなという気もするのだが、『善鸞』を読み返してみても、よくこんなものを書いたという感じがする。そういうもので、書いている時のぼくは何かが憑依しているので、少し時間が経つと自分の書いたものとは思えなくなるのだろう。スーパーボウルから1週間が経過した。遠い過去のような気がする。毎日、録画を再生している。パーディーの腕に襲い掛かったレディックのパスラッシュをチーフスのオフェンスラインがどうやって守ったのかを確認してみたのだが、出だしのところは控えタイトエンドのノア・グレイがレディックの前で頑張っている。レディックは俊足のエッジラッシャーだが、体は大きくない。タイトエンドが相手だと簡単にはねのけられてしまう。ケルシーも出場しているので、タイトエンド2人体制だ。レシーバーのトニーまたはスカイ・ムーアが必ずラインの後ろを右往左往してポジションを替えている。ランニングバックもいるので、本来のレシーバーの位置にはワイドレシーバーが1人いるだけだ。主にスミスシェスターがその位置にいるので、カンファ決勝で大活躍したスキャントリングはほとんど出番がなかった。ということはチーフスは最初からロングパスを封印していたことになる。マホームズが足を負傷しているのでロングパスのコントロールが定まらないことを想定して、ランニングバックとショートパスで小刻みに前進する作戦を立てたのだろう。時にはパチェコとマッキノンを同時に出したり、ポジションチェンジしたレシーバーに直接手渡したり、あとはケルシーへのショートパスで、スミスシェスターはおとりとしてただ走り回っていただけだ。ケルシーにタッチダウンが通った時は、ラインのワイリーが1人でレディックを押さえていた。つねにタイトエンドを相手にしていたレディックは疲れていたのだろう。後半のレディックはパスラッシュを諦めたように見えた。ランとショートバスばかりだと、レディックの素速さをもってしてもマホームズには到達できない。そして、トニーとスカイ・ムーアをつねにうろうろさせていた効果が最後に活きた。トニーが右から左へ移動すると見せて途中で引き返してタッチダウン。その次にはスカイ・ムーアが左から右に行くふりをして元に戻るというまったく同じプレーで連続タッチダウンを決めた。まあ、そういう細かいところを見ていくと、Footballのおもしろさがわかってくる。

02/21/火
新宿でマッサージ。『光と陰の紫式部』の再校ゲラは半分くらのところ。ここまではうまくいっている。楽しく読めている。

02/22/水
松本零士さんの訃報に接してとくに何か感じるところはなかったのだが、20年ほど前、著作権の保護期間を世界標準の70年に延長する運動に関わっていた当時、永田町の議員会館に出向いて、関係議員の部屋を軒並訪問みたいなことをやっていた。その時、松本さんに来ていただいたことがあって、松本さんの顔を見るとどの議員もハッとして姿勢を正すようなところがあった。独特の風貌から不思議なオーラを発散する人だった。

02/23/木
今日は祝日らしい。天皇誕生日だそうだ。昭和生まれのぼくは天皇誕生日というと4月29日だと思ってしまう。そういえばこの前の天皇の誕生日を知らない。年末のあわただしい時で、休日のありがたみがなかった気がする。

02/24/金
まだ毎日、Footballの録画を見ている。カンファ決勝のベンガルズ戦ではワイドレシーバーのスキャントリングが活躍した。スーパーボウルではスミスシェスターが出ずっぱりだった。ふつうの布陣ではQBのうしろにランニングバック、オフェンスラインの左右にタイトエンドとスロットレシーバー、そしてその左右にワイドレシーバー2人が布陣する。しかしチーフスはワイドレシーバーを1人にして、タイトエンドを2人にしていた。だから2人のワイドレシーバーのうち1人しか出番がなく、スーパーボウルではスミスシェスターの方が調子がよかったのだろう。それからスロットレシーバーはトニーとスカイ・ムーアが交代で出て、必ずスナップ前にポジションチェンジのモーションをしていた。レシーバーがモーションを起こすと、マンツーマンの相手はあわてて移動しないといけない。ゾーンディフェンスの場合も、引き継ぎをやって少しずつずれないといけない。これをずっとやられていたので、イーグルスのディフェンスは神経が磨り減っていたと思われる。最後の最後で、モーションを起こして途中で元の位置に引き返す、という簡単なトリックについていけなかった。しかも右に位置したトニーがタッチダウンした直後に、そのトニーがパントリターンでエンドゾーン直前5ヤードに迫り、今度はスカイ・ムーアが左の位置から同じことをやった。この連続タッチダウンが勝利を決定づけた。そのあとイーグルスは8点とって同点にしたのだけれど、残り5分をチーフスはランニングを絡めて使い切って、8秒前に決勝フィールドゴールを決めた。その全体を通して、イーグルスのコーチ陣の無策が露呈していた。同じトリックに2度ひっかかるというのも無策だが、2分を切ったところではイーグルスにタッチダウンをとらせた方がよかった。2分近く時間があればまた8点とって逆転できる可能性は充分にあったが、タッチダウンを防ごうとしたディフェンスバックの反則でチーフスがファーストダウンとなり、その時点でようやくタッチダウンをとらせる作戦に切り替えたのだが、チーフスのマッキノンはボールをもってエンドゾーンまで行って、直前でわざとスライディングしてタッチダウンをとらなかった。ふつうの選手なら、スーパーボウルでタッチダウンを挙げる名誉に負けてしまっただろう。あとのインタビューでマッキノンは、この練習は何十回もやっていたから迷いはしなかった。言われたとおりやっただけなので何も考えていなかったのだが、あとでコーチや仲間から絶賛されて、ようやくこのプレーの意味の大きさを思い知った……といったことを語っていた。コーチングスタッフの勝利だ。もちろんここでタッチダウンをとってはいけないことは、ぼくのような素人でも知っていることなのだが。大昔、イーライ・マニングのジャイアンツがペイトリオッツに勝った試合では、ジャイアンツのランニングバックはボールをもってエンドゾーン直前まで走っていき、目の前にディフェンスがいないことに気づいて、ここでタッチダウンをとってはいけないことを思い出したのだけれど、あわてて反転したものの勢いが止められずに、エンドゾーンに尻餅をついてしまってタッチダウンになってしまったという場面があった。相手はブレイディーだったので、逆転されていればボーンヘッドと言われていただろうが、残り時間が短かったのでそのまま勝利できた。まあ、このプレーに関してはいろいろな想い出がある。さて本日から『善鸞』の赤字を入力。2章まで終わったが、この2章までの部分には赤字はあまり入っていない。ここから先が難事業となるので、明日からがたいへんだ。

02/25/土
『光と陰の紫式部』の再校ゲラは送付ずみ。そのことを担当者に連絡すると、4月の始めに見本を届けにいくので、『善鸞』の原稿はその時でいいとのことであった。また立て続けに本を出すわけにもいかないのだろう。ということで、『善鸞』の作業は急ぐ必要はないのだが、赤字入力の作業を始めた。2章まではほとんど赤字が入っていない。3章で善鸞が東国に下向してからは、手探りで書いているところがあるし、エンディングまで書き続ける過程でこちらの認識や解釈が変わったところもあるので、びっしりと赤字が入ることになる。これを入力するのは、新たに原稿を書くよりも集中力が必要だ。あと一回、プリントにして確認することにしているので、多少のミス入力があっていもあとで修正できるだろう。

02/26/日
朝から王将戦の中継を見てしまった。100回目のタイトルを狙うラストチャンスかもしれない羽生さんの気迫に、藤井くんは押されぎみで、前回の対戦では封じ手で大きなミスをした。今回は羽生さんの封じ手で、前例のない難解な局面に入っている。コンピュータの評価ではじりじりと藤井くんが優勢になっていたのだが、終盤に入って一挙に逆転する局面があった。このコンピュータの評価というのは、コンピュータが何億手も先を読んで得た結果をもとにしてパーセンテージを出している。そのコンピュータの最善の手筋を一つでも間違えれば一挙に評価は逆転する。だから指している本人も五里霧中の状態なのだと思う。藤井くんも人間だから、徐々にコンピュータの読みとは異なる緩手を指してしまい、評価が逆転した。そこから羽生さんが攻め続けていけば勝機は充分にあったのだろうが、羽生さんも人間なので手駒の銀を守りに使ってしまった。そこでまた評価は藤井くんに傾き、そのまま終局となった。羽生さんとしては残念な結果となったが、ここまではずっと先手勝利なので、次回は羽生さんにも勝機があるのだろう。そうなると最終戦までもつれることになる。さて、スーパーボウルが終わって2週間経過したけれども、まだ毎日録画を見ている。結局のところチーフスはマホームズの足の負傷があって、コーチの作戦でロングパスを捨てて、短いパスとランで攻めることにしたのが奏功したようだ。とくに最後の2つのタッチダウンは左右に短いパスを投げて成果を挙げた。マホームズを守るためにロングパスを受けるワイドレシーバーを1人減らし、タイトエンドを2人に増やしてQBサックを防いだ。さらにランニングバックを2人にする奇策もあった。後ろにパチェコ、前にマッキノンが入る布陣で、1度目は前のマッキノンに手渡して相手の意表を衝いた。2度目はマッキノンがフルバックのように突進してディフェンスラインに穴をあけ、そこをパチェコが駆け抜けて、これはタッチダウンになった。また前にも書いたけれども、スロットレシーバーのトニーとスカイ・ムーアを、ほとんどつねにラインの後ろに入れて頻繁に移動させたことが、最後の2度のタッチダウンの伏線になっていた。移動すると見せて元の位置に戻るという簡単なトリックに、イーグルスのディフェンスは立て続けにひっかかってしまった。イーグルスの側にそういう備えがなかったのだろう。コーチ陣の無策というしかない。チーフスはオフェンス・コーチとディフェンス・コーチが移籍することになった。チーフスはオフェンス・コーチのビエネミーがコマンダーズに移籍することになったが、ベテランのQBコーチが攻撃全般を担当することになったので問題はない。いまはコーチの移籍が毎日発表されている。選手の異同はこれからだ。ヘッドコーチの異同も頻繁にあるが、いずれも成績のよくなかったチームのコーチだから、有力チームの陣容には揺るぎがないはずだが、イーグルスの場合は両コーチともヘッドコーチとして引き抜かれたので仕方がない。3月に入れば、選手の移動が始まる。まずレイダーズの不動の先発QBカーの放出が決まった。ではレイダーズはどうするのか。何も決まっていない。レイダーズのように先発QBの決まっていないチームはたくさんある。コルツもライアンを放出しそうだし、ジェッツも先発QBが定まらずに苦戦した。コマンダーズもウェンツに見切りをつけるようだし、ハイニキもフリーエージェントになる。パッカーズのロジャーズも毎年もめている。セインツも先発が定まっていない。バッカニアーズはブレイディーが本当に引退しそうだ。パンサーズもダーノルドに見切りをつけそうだ。ざっと見ただけでも、QBのいないところが7〜8チームある。転職先を捜す実績のあるQBはカー、ライアン、ウェンツ、ガロポロ、それにロジャースなどだが、いずれも絶好調とはいえなかったQBだ。今年は大学新卒のQBが豊富だと言われているので、ドラフト上位のチームは新人を採るだろう。あるいはベテランを移籍させてドラフトの権利と交換するといったことも考えられる。ドラフト当日までには、ベテランQBの落ち着き先が見えてくる。ドラフトは4月末。FootballはQBで決まる。野球の場合は連戦なので、1人のエース投手がいるだけでは成績が維持できないが、Footballは週に1回だけなので、優秀なQBがいればそれだけで成績は上がる。チーフスが好例だ。レシーバーのヒルの移籍でタイトエンドのケルシー以外は、他チームに行けば3番手以下のレシーバーばかりだったが、マホームズは見事に投げ分けた。オフェンスラインもディフェンスバックも、ほとんどがルーキーと2年目の若手だった。Footballは連携プレーなので新人できも練習すればチームプレーに参加できる。ただQBは別。遠投力、走力だけでなく、自分が監督になったような戦術眼も必要なので、Footballのチームは、先発QBが主力で、他の選手はバックコーラスみたいなものだ。ベンガルズのバローもジャガーズのローレンスも、1年目はダメだったが、2年目からは地区優勝できた。マホームズも2年目から大活躍を始めた。そういう新人QBが数人入るようなら、来シーズン、さらにその次のシーズンで、勢力図は大きく変化していくだろう。そこがFootballのおもしろいところだ。

02/27/月
大阪府立大手前高校の同窓会。ぼくは落第しているので学年が一つ下なのだが、妻の付き添いでこの学年の同窓会に出るようになった。その妻は出席せず。まあ、入学年度は同じだし、この会は何度も実施されているので皆さんと顔なじみになっている。場所が二重橋前なので近くて助かった。5時半からの会で、8時過ぎには自宅に帰っていた。大手前高校は学区では最上位の高校なので、東大や京大の出身者が多い。従って大企業で長く勤務した人ばかりだ。ぼくもまあ、大学の教員をしていたので、自由業でぶらぶらしていたわけではない。二十名ほどが集まって、1人ずつスピーチしたら、それでほぼ終わってしまったが、皆さんの現在の状況がわかってよかった。ここに参加した人は、とにかく生きているし、病気で寝たきりになっているわけでもない。元気でいろいろなことをして楽しんでいるようだ。ぼくもとりあえず仕事は続けていられるので、ありがたいことだと思っている。

02/28/火
月末になった。『善鸞』の赤字入力作業。あとわずかだが、エンディングに近づくほどに赤字が増えていくので、やや疲れている。とくに急ぐ必要もないので、無理をせずに作業を進めたい。今月はスーパーボウルという大きなイベントがあった。チーフスが勝ってよかったが、そのことを別にしても、まれにみる緊迫した試合だったし、両チームの特色がよく出ていておもしかった。ほぼ毎日、録画を再生して勉強している。すべてのプレーの選手の配置と動きとをスローで再生している。これを続けていると、ヘッドコーチになれそうな気がする。日本のプロ野球のファンも、監督になったつもりで作戦を立てたり、投手のローテーションを考えたりするものだが、それと同じで、Footballもヘッドコーチやサブコーチの作戦と采配で選手が配置され、動いていくので、そういう作戦が見えてくれば、試合をより深く楽しむことができる。まあ、次のシーズンが始まるのは9月だから、それまではそんなことで楽しむしかない。自分の仕事は、『光と陰の紫式部』の再校が完了した。これで本が出る。『善鸞』もプリントに赤字を入れる作業が終わった。これで第二次の草稿が完了したことになる。まだ赤字の入力が残っているけれども、これは機械的な作業だからそのうち終わる。もう一度、プリントして読み返さないといけない。じっくり読み返してみたい。


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