仏教を深める創作ノート05

2015年02月

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02/01/日
2月に入った。入試のシーズンだが本日は何もない。日曜日にちゃんと休めるのはありがたい。妻と散歩に出かける。あてもなく歩き始めて、結果としては大手町の経団連ホールまで来て、日経新聞の前で無料のバスが駐まっていたのでそちらの方に向かうと出発してしまった。乗れていたらどこか別のところに行っていたはずだが、仕方がないのでさらに進むと、江戸城跡の方に行く道があったので、皇居の中をのんびりと散歩して、平河門から竹橋に出て、自宅に戻った。妻の万歩計が1万歩を記録した。いい散歩だった。入力作業も進める。さて、明日はスーパーボウルだ。ペイトリオッツが圧勝するか、シーホークスが辛勝するか。ぼくとしてはシーホークスを応援したい。

02/02/月
スーパーボウルの日。今シーズンのぼくの期待は、ブロンコス、ジャイアンツ、49ナーズ、スティーラーズだった。ジャイアンツが早々と脱落し、49ナーズも意外にふるわず、頼みの綱だったスティーラーズも、ランニングバックのベルの負傷で、望みは断たれた。マニングのブロンコスは問題なくスーパーボウルに出場するだろうと思っていたのだが、年齢からくる衰えと負傷で、途中退場となった。結局、ベテランQBのブレイディーのいるペイトリオッツと、2連覇を狙うシーホークスという対戦となった。カンファレンスの決勝で、ペイトリオッツは大勝、シーホークスは奇蹟の逆転だった。その経過から、ぼくはシーホークスを応援しようと思った。スーパーボウルでも奇蹟の逆転が起こってシーホークスの2連覇、という物語が、ぼくの頭の中で出来上がっていた。そして、最後の1分まで、ぼくが想い描いた筋書どおりに試合は進行した。4点差で負けてはいるが、シーホークスはあと1ヤードにまで迫っていた。セカンドダウンでタイムアウトも残っていたから、あと2回、フォースダウンギャンブルも入れればあと3回、ランプレイでトライですきる。シーホークスは強力なランニングバックと、走れるQBという、2つの武器をもっていたから、3回のラン攻撃で、逆転タッチダウンをとるのは、確実だと思われた。ところがシーホークスの監督は、安易なパス攻撃を選択した。相手の裏をかいて、鮮やかな逆転劇という、絵に描いたモチを夢想したのだろう。しかし相手も、ラン攻撃を3回止めるのは難しいと覚悟していたはずだ。考えられる唯一のチャンスは、相手がまさかのパスを仕掛けた時に、インターセプトをする。これしかないという状況だった。だから相手のセーフティーは、ラン攻撃の防御に回ることを拒否して、一か八かのインターセプトを狙っていた。その罠にはまって、奇蹟のインターセプト。そして今年のスーパーボウルは終わった。何年か前、カージナルスがスティーラーズに逆転負けした時よりも大きなショックを受けて、ぼくは再起不能状態になった。
それでも大学に行かないといけない。学科会に出席し、それから文藝家協会主催の図書館についてのシンポジウムに向かう。ぼくの役目は締めの挨拶だけなのだが、始まる前に会場に着けたので、パネリストの皆さんに挨拶できた。あとは最前列の席で話を聞いた。締めの挨拶だが、会場の皆さんに喜んでもらうために少しギャグめいた話をして締めくくった。役目は果たせたと思う。自宅に帰って少し仕事。スーパーボウルのショックがじわじわと胸に迫ってくる。ああ、footballというものを愛すると、失恋したようなショックを受けることもあるのだ。この傷はすぐには埋まらないだろう。

02/03/火
大学。大学院の修士論文提出者の公聴会。論文の内容をプレゼンテーションする。終わってから学生5人と飲み会。楽しい語らい。しかしこれで1日がつぶれた。

02/04/水
学部長会議の日。その前後に先生の研修の講座があって、これに出席しないと許してもらえないらしい。さらにさまざまな問題が山積して、メールを送ったり、書類を作成したり、あわただしい1日だった。自宅に帰って入力作業。頭の中が混乱して何が何だかわからないが、とにかく明日は休みだ。

02/05/木
本日は休み。雪がちらちら。でも積もるわけではない。散歩にも行かず。入力作業が少し進んだ。

02/06/金
ウィークデーなのに大学の入試がある。理系入試というらしい。去年は薬学部だけの入試だったのだが、今年は工学部ができた。薬学部は女子が多いのだが、工学部はやっぱり男子か。この工学部は前は環境学部といっていたのだが、名称を変えたのだ。それと数理工学とかいう学科を作った。人がさらに増えることになる。心配された雪は積もらなかったが、それでも電車の遅れで一名だけ別教室で受験。30分終了が遅れたが、無事に終わった。入試の日はふだんの1限より30分早く家を出る。長い1日。帰ると印刷屋から大量のゲラが届いていた。大学の創作集のゲラ。今年からPDFで送ってくれるので、自宅でも作業ができる。これで入稿したものはすべてゲラになった。ページが少し足りない。予備の原稿を急いで送らないといけないが、明日から土日なので、日曜の夜に送ればいいだろう。

02/07/土
妻の従弟来訪。東大から金融関係の仕事をした人だが早々とリタイアして悠々自適の生活のお方。いろいろとアドバイスをしてもらう。ぼくも早く悠々自適になりたいと思う反面、忙しい方が頭が冴えていい仕事ができるという気もする。往復の電車の中だけでしかメモがとれない日も多いのだが、昨日のような入試の待機の時は、他にすることもないので仕事が進む。コーヒーが飲み放題なのもありがたい。

02/08/日
本日も休み。明日の学科会は開かれないのでしばらく休みが続く。ありがたいことだ。が、まずは創作集の入稿。新規の作品2点。あとがき。これで入稿完了。あとはこの新規の2点がゲラになった段階でページ数を数えて目次にのノンブルを入れればすべての作業が終わる。成績の入力はすべて終わっているのだが、何か問題が起こった時のために登録はしていない。締切に遅れて宿題が届いたりした時のためにいちおう保留にしてあるのだが、明日の月曜が成績入力の締切なので、保留にしてあるものをすべて登録済みに変換する。こういう作業が自宅からできるのはありがたい。それからイーブックジャパンの連載。これで1日が終わる。

02/09/月
本日も休み。シラバスの入力。2年、3年、4年、大学院のゼミは以前と同じなので前年のものを使い回し。この使い回しする時の作業に毎年迷う。それと使い回しすると微妙な情報が間違っていることがある。教科書に指定した文庫本の値段が違っている。消費税アップのため。気づいた時はもう登録してしまっていた。いったん登録すると修正できなくなる。新規の講座が1つある。いままで1年がかりで講義していた小説論の講座が、2年生の必修になって「小説の歴史」というタイトルになった。学年全員だと教室に入りきれないので、前期と後期に分けて同じ話をする。ということで、去年は1年がかりだった話を、半期で語り終えなければならない。無駄話をする時間を削らないといけないし、外国文学にあまり時間をとれなくなった。とにかくおよその予定で日程表を作った。全員必修になったので、平安時代の物語の話から始めることにした。「竹取」「伊勢」「源氏」は物語の祖型の3つのパターンなので言及しないわけにはいかない。そのあと2年と3年のゼミに使う教科書を伝票みたいなエクセルに記入して売店に届ける締切が明日なのでこれも作ってしまう。この作業で1日がつぶれてしまったが、明日からは聖徳太子に突入できそうだ。 02/10/火
本日も休み。まず医者に行く。それから銀行。一番近い銀行に口座を開設する。本人が行かないといけないのだが、銀行についてはぼくの頭のメモリーの範囲外だ。聖徳太子が憑依しているので、銀行のことは何もわからない。妻に言われるままに書類に書き込む。それだけでけっこう疲れる。午後、住んでいる集合住宅の20階のロビーで双葉社の人と打ち合わせ。この出版社とは初めて仕事をする。仏教関係の新書を1つ出す。聖徳太子と親鸞の間に新書を1つ書きたいのでテーマを仏教にしてもらった。日本の仏教史みたいなものを語っていくうちに、憑依していた聖徳太子にご退場いただいて、親鸞と入れ替わってもらえればと思っている。とにかく今年は仏教の年にするので、このノートのタイトルはしばらくこのままで行く。自分の部屋に戻ると創作集の最後のゲラが届いていた。これで目次ができる。ゲラをプリントして、すべてを並べてページ数のノンブルを書き込んでいく。奇数になった作品が5点ある。奇数起こしの作品と組み合わせて4点は問題なし。あと1つは断章の間隔を広げて偶数ページの延ばす。その作業と校正で夕方までかかる。あと再校も見る。問題なし。やれやれ。これでようやく聖徳太子だ。

02/11/水
本日も休み。夕方、散歩に出て、水道橋まで歩いていく。水道橋の飯田橋寄りの出口の近くに、40年前に働いていた会社があったことを思い出して、そのあたりに行ってみると、周囲のようすはすっかり変わっているのに、会社が入っていたビルはそのままあった。大家さんが最上階に住んでるいる小さなビルの1階と2階に会社があった。平社員で1年、編集長で1年、属託で1年いた。3年間、当時自宅のあった吉祥寺から水道橋まで通った。人生で一番忙しい時期だった。40年前の自分と、いまの自分と、大きな違いがあるわけではない。当時の記憶もいろいろと残っている。飲み屋のようすがすっかり変わっているのだが、個性的な店がなくなって、どこにでもある居酒屋チェーンみたいな店ばかりになっている。そこへいくといま住んでいる淡路町、小川町のあたりは、おもしろい店が多い。藪蕎麦はいつ通っても列ができている。

02/12/木
大学。センター試験で応募した入学希望者の選考。得点順だから議論の余地はないのだが、いちおう書類に目を通す。それだけの仕事。プールでターンするみたいな速度で自宅に引き返す。銀行へ行く。一昨日、充分でなかった手続きを完了させる。創作集は目次も入稿してほぼ作業を終わっているのだが、武蔵野文学館紀要の原稿3本を仕上げないといけない。そのうち1本は昨日送った。あと2本。だがしばらく聖徳太子から遠ざかっているので、少しは先に進んでいきたい。

02/13/金
本日は休み。マッサージに行っただけ。本日から妻がいない。食べ物と酒を買って戻る。ひたすらパソコンに向かう。まだ大学の仕事をしている。近鉄の宣伝雑誌の3回連載の最終回。菅原道真がなぜ神さまになったかを書く。

02/14/土
夕方、コーラスの練習に出かける。電車の中は仕事が捗るので、まだ東京駅に出向いて、高尾行き特快の車輌の右端に座る。それから八王子までの1時間くらいに大量のメモを書く。八王子で横浜線に乗り換え、片倉へ。2時間の練習の後、めじろ台に移動して宴会。気分より自宅に戻る。

02/15/日
本日と明日と、2日連続で入試。朝、6時半に起きる。妻がいないので一人で起きないといけないが、昨夜は宴会から帰ってすぐに寝たので快適に目覚める。入試本部に待機。昨年のこの入試の日は大雪で開始が大幅に遅れ、帰宅時間も遅れた。本日はいい天気。午後は風が強くなった。帰ろうとするとバス停にまだ受験生が残っていたので武藏境まで歩く。北風に背を押されて快適な散歩。快速電車が混んでいたので三鷹で東西線に乗り換えて仕事。待機中の本部でも大量のメモを書いた。雑文の締切が月末に集中しているので、そのためのメモ。本日は軽く飲んで寝る。

02/16/月
2日続きの入試。何事もなく待機を終え、本日は教授会、大学院の会議、学科会と、会議が連続する。さらに先生方と飲み会。朝、6時半に起きたので1日が長い。深夜に自宅に帰り着くと妻が帰っていた。やれやれ。これで日常が戻る。

02/17/火
本日は大学は休み。夕方のペンクラブの言論表現委員会だけ。入力作業を続ける。編集を担当している創作集の作業がすべて終わった。武蔵野文学館の紀要の仕事が残っている。昨年11月のシンポジウムと、講演会のまとめ。それと自分の原稿。とりあえずシンポジウムと講演会のまとめが終わった。

02/18/水
大学。学長に会って文学部の将来のことについて話す。こういう仕事も学部長の役目だ。入試課の担当者と打ち合わせ。それから学部長会議。やれやれ。とにかく今日も1日が終わった。

02/19/木
自宅で作業。なさねばならぬことがたくさんある。大学の紀要の原稿。団塊の世代論20枚、他に書評と、エッセー、それからいつものイーブックジャパンの連載。このほとんどはすでにメモがあるので入力するだけでいいのだが、入力にとれる時間は限られている。優先順位を考えてみると、困難なものから始めた方がいいので、結局、聖徳太子をやることにした。雑文は締切が迫ってからでいい。慧慈と上宮王の2回目の対話が終わった。あと1回、最後の別れでの会話がある。そこで八千頌般若波羅蜜経が必要なので、昨日、研究室を探して前後2列に本を積んであるところの奥から筑摩の「仏典U」を発見し、必要なところをコピーしてきた。そこに行くまでにまだメモが2冊ぶんはある。とにかく入力していきたい。夕方、文藝家協会に出向いて著作権管理団体との協議。それからメンデルスゾーン協会に回る。軽く飲んで帰る。明日はまた大学。しかも午前中なので早めに寝る。

02/20/金
大学。日曜と月曜の入試の合格者について確認する。その後、転部希望者の面接。それで本日の業務は終わり。自宅に帰ってひたすら入力。行き帰りの電車でもメモを書いたが、もうエンディングに近いところなので、ストーリーの流れがよく見えていない。断片的なメモをどんどん書いていって、入力の段階で前後を調整し、一度プリントしてから、流れをつける、という段取りで行きたい。明日は仕事場に移動する。短期間だが必要なものはもっていかないといけない。イーブックジャパンの芥川賞作品の連載のために、研究室から芥川賞全集の一冊をもって帰ってきた。これを仕事場に持っていかないといけない。

02/21/土
本日は仕事場に移動。2年前にマンションに転居した時、駐車場と自転車置き場を確保した。抽選ということだったのだが、都心の交通の要所にあるので、抽選は場所決めだけで、確保できなかった人はなかったようだ。いまでも時々、空きスペースの募集がある。車は仕事場に行く時に必要だし、妻が時おり、イケアなどに行く時に使う程度だ。自転車はまったく使わない。ということで、自転車を仕事場にもっていくことにした。ワゴン車なので何とか積み込むことができた。午前11時半に出発。午後4時半に仕事場に到着。とりあえず掃除をしてからパソコンをつなぐ。無事に接続できる。しまった。マウスとメガネを忘れた。ワイヤレスのマウス用の予備の電池はもってきたのに、本体を入れ忘れた。予備の有線マウスがあるので問題はない。パソコン用のメガネはまあ、なくてもいい。

02/22/日
日曜日。この仕事場を建ててくれた大工さん来る。正月に壊れていたトイレのシャワーが直っていた。この仕事場で快適に暮らせるのはこの人のおかげである。で、いっしょに寿司屋に行く。大工さんも妻も運転するので、ぼくだけビール3杯飲む。あとはひたすら入力作業。書評を一つ片づける。日曜日だがメールで送ってしまう。メールというもののおかげでどこにいても仕事ができる。昔は紙に書いた原稿をポストまで入れに行かなければならなかった。この別荘地のポストは1日に1回しか集配がないので、浜松駅前の郵便局まで行ったこともある。いまでもこのあたりは、郵便局前のポストでも、レターパックの大型封筒が入らない。以前、ポストの前で途方にくれていたら、たまたま集配の人が来てもっていってくれたことがある。さて、明日はNTTの人が来る。以前に家で光ファイバーを入れた時は、接続ソフトがまだ初期の段階で不具合があって困ることがあった。個人的にルーターを接続したので問題は解消されたが、そのルーターの接続でもけっこう手間がかかった。この仕事場はADSLが入っていて、これは個人購入のルーターで接続している。今回、どういうことになるのか、やってみないとわからない。2年前に転居した時、光電話にしたのだが、この時は各部屋にあらかじめ配線があって、配電盤の隣に装置をとりつけるようになっていた。それで工事の人が設置して、電話はセットしてくれたのだが、ネットの方はCDロムを入れて自分で情報を打ち込まないといけなかった。自分でできたはずだが2年前のことなので詳細は忘れたが、けっこう時間がかかった記憶がある。何かがひっかかってうまくいかなかった気がする。そのうまくいかなかった問題をどのように解決したかも忘れてしまった。まあ、明日、やってみないとわからない。本日は朝は雨だったが、昼食に出かけるころにはやんでいた。それほど寒くないので助かっている。マンションに住んでいると寒いということがないので、体がなまっている。夕方、妻がケータイの充電器がないと言い出した。仕事場にはいつも一つが電源にささっているのだが、なぜかなくなっている。前回、帰る時にもって帰ったのか。あと2日はここにいるし、明日の工事の人はぼくのケータイに電話をかけてくるので、充電できないと困る。というのでコンビニに買いに行った。何とコンビニにあるのはスマホの充電器ばかり。かろうじて1つだけ電池で充電するタイプがあったので購入。とにかくそれで妻のケータイを充電。電池がすぐになくなりそうだが、よく見ると電池パックからはずすとUSBのプラグになっているので、ぼくのケータイはパソコンに差してみたら充電を始めた。それにしても世の中にスマホが普及していることがわかった。ガラケーを使っているのはコンビニに行かない老人ばかりなのか。

02/23/月
この時期に仕事場に来たのは、仕事場のネット環境をADSLから光ファイバーに変えるためで、めったにここに来ないのでネットそのものはどうでもいいのだが、光電話の方が経費が安いので、工事をしてもらうことにした。工事は1時間くらいかかった。設定そのものは簡単なようでいて、いろいろわからないこともあったが、これでいいかな、という感じで進めて、何とか接続できるようになった。これで問題はなくなった。ネットにつなげてみたが、少し早くなったか、気のせいか、という程度だ。さて、締切のある雑文が順次片づけている。「聖徳太子」も少し進める。7章が終わった。全体が10章なので70%までの入力が終わったということだ。メモはまだたくさんあるが、ある時期からは流れがつかめなくなっている。エンディングに近くなると、意識的に短い断章を列ねてエンディングに近い感じを演出する。メモの方がそういう段階に入っているのだが、入力している7章、8章はまだストーリーが流れている。とにかくメモをすべて入力して一度プリントして流れをつかみたい。

03/24/火
朝、首を痛める。仕事場に来て、打ち込みをしすぎて肩が凝っていたのだろう。それを見て妻がもう東京に帰ろうと言い出した。夕方、移動。道路はすいていたが夜の運転になったので妻に負担をかけた。確かに仕事のしすぎだ。もう少し生活にゆとりがほしい。

03/25/水
予定では本日が移動日。昨日移動したので空白の1日。妻の指示で下北沢の銀行へ行く。借りていた金庫を解約するため。三宿に27年間住んでいた。下北沢は散歩の範囲。ここをメインの銀行にしていた。振込先を急に変えるわけにはいかないので口座は残しておくが、ここへ来ることはもうないだろう。27年間、時々散歩の足を伸ばした街。いろいろな想い出がある。三省堂書店とか、ユニクロとか、さまざまなレストランや中華料理店に足を運んだ。御茶ノ水に転居してもうすぐ2年。神保町から神田、秋葉原、時には上野や日本橋までが散歩の範囲になった。下北沢はいいところだが、若者の街だったなと思う。少し無理をして歩いていた。上野や日本橋には老人の姿もあって、落ち着く感じがする。

03/26/木
大学。久しぶりの感じがする。仕事場に行き帰りを含めて5日間をとったので、5連休だったわけだ。本日は短い会議だけ。それでまた4連休だ。ようやく春休みらしくなってきた。それでもメールではいろんな課題が飛び込んでくるのだが、ネットのおかげで自宅でも、浜松の仕事場でも処理できるのがありがたい。本日、帰りの電車の中で、ラストシーンが書けた気がした。その少し前のあたりがほとんどイメージできていないので暫定的なラストシーンだし、この作品は「あとがき」も重要だと考えている。聖徳太子は子孫が全滅したことで悲劇のヒーローというイメージをまとっている。小説は主人公の死をもって終わるので、そこまでは作品の中では言及できない。あるいは『菅原道真』の時のように死後のエピソードも短く書いた方がいいのか。あと一ヵ月あるのでじっくり考えてみたい。いまはとりあえず、入力を進めたい。

03/27/金
本日は夕方に文藝家協会で出版社の著作権担当者との定期協議に出席。これだけの仕事だし、昨年まで議論が続けた新しい契約書の問題はすでに解決しているので、ただの雑談という感じだが、それでも初めて聞く情報が飛び交って、なかなか面白い会議になった。マイナンバーというのがけっこう大変な問題になりそうだということがわかってきた。この番号がないと印税や原稿料が受け取れないということになると、密入国者とか、逃亡中の犯罪者とかは、仕事ができなくなる。ベトナム戦争のころは、脱走米兵を支援する運動があった。ボートピープルなどというのもあった。こういう少数者の言論はどうなるのだろうか。ルポライターが取材をして謝礼を払おうとしても、受取人の番号を提示しないと必要経費にならない、などということも起こるのではないか。まあ、自分は大学から給与をもらっているので、番号で国家に管理されるわけだが、そういう管理を嫌って、配布された番号のメモを棄ててしまう作家が続出して混乱が起こるのではないかと心配になってくる。

03/28/土
上宮王(聖徳太子)と菩岐々美が出会う場面。ようやくヒロインらしきキャラクターが出てきた。正妻は刀自古だが、これは蘇我馬子の娘なので上宮王は距離を置いている。生母、上宮王、そして菩岐々美は、ほぼ同時に死ぬ。流行性の熱病だと思われるのだが、それだけ親密に暮らしていたと思われる。もう後半になっているのに、やっとヒロインが出てくるというのは、寂しい気もするが、ここまでは鞍作鳥や調子麿、迹見赤檮など、男の友情を描くことで物語が展開される。高麗僧慧慈との友情も中心のテーマになっている。全体にホモっぽい話になってしまうのは仕方がない。聖徳太子とはそういう人なのだ。午後、床屋に行く。老婆ばかりのいる店。あなたの髪はやわらかいと褒められた。妻にその話をすると、シャンプーが上等なのだと言われた。何気なく使っていたのだが、そうだったのか。わが父は、いまのぼくと同じ年齢で亡くなったのだが、その時はほとんど禿げ上がっていた。いまの自分はまだ大丈夫だ。そのことを天に感謝したい。妻と三省堂あたりを散歩。これで今月も終わり。『聖徳太子』の入力が遅れたまま、残りが一ヵ月になった。しかしまだメモは残っているし、エンディングに近くなるにすれて、断章を短くして、事項を列挙していくような手法にするので、いつもエンディングに一気になだれこむという感じになる。その瞬間がいつ来るのか楽しみだ。



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