クモの同定依頼に関して

谷 川 明 男


研究目的であれば喜んで同定に協力させていただきます.もちろんすべての分類群について私が正しく同定できるわけではありません.私の手に負えないものはそのグループの専門家へ転送いたします.どうぞお気軽にご依頼ください.まずはメールにてご連絡ください(dp7a-tnkw@j.asahi-net.or.jp:送信の際はアットマークを半角に変えてください). 標本の送付先についてお知らせいたします.

標本の同定を依頼するときには次の点に十分注意してください.これはあくまで私の主張ですが,ほかの研究者の方の意見も大同小異だと思います.ここに述べたことのほとんどは私のオリジナルではなく,亡き八木沼先生が述べておられたこととほぼ一致します.

なお,以下の記述は研究目的の標本同定の場合です.調査会社などからの業務としての標本同定の依頼につきましては,その旨直接ご連絡ください.

 

1)固定は75%のエチルアルコールで行ってください.

ホルマリンだけは絶対に使わないでください.ホルマリン固定の標本は見ずに捨てます.私も命が惜しいですから.

2)一度にたくさん送らないでください.

標本ビンの束を見ただけでいやになります.亡き八木沼先生もおっしゃっていたことですが,このような依頼は心情的に最後に回されます.一度にたくさん送られるよりも,すこしずつ何回も送られるほうがはるかに気が楽です.わからないクモがあったらたくさんたまる前に送ってください.

3)ソーティングは自分で行ってください.

1つのビンには1個体だけ入れてください.同じ種の標本が複数個体入っている場合はまだましですが,複数種が混在しているなどというのは言語道断です.ただし,“自分では同じ種だと思うが確認してほしい”というような依頼目的であればまったく問題ありません.

4)同じ種を複数個体,あるいは何本も送らないでください.

自分でもできる限りの同定の努力をし,同じか違うかくらいの判断をしてください.ただし,前項でも述べたように,自分では同じあるいは違うと思うが確認してほしいといった依頼であればかまいません.

5)標本の返送を要求しないでください.

同定は大変な作業です.同定するだけで貴重な研究時間を削られ,返事を書く時間をとられます.その上,標本返送の手間をかけるのは勘弁して下さい.特別な事情がある場合以外は返送を要求しないでください.また,事情がある場合にもどんな事情があるのか具体的にお知らせください.もちろん私あるいは被依頼者と依頼者(あなた)とのあいだに,研究物の交換をしているなどの同僚関係,あるいは個人的な“人間関係”ができている場合にはこの限りではありません.

6)何度も同じ種の同定を依頼しないですむようにしてください.

同定を依頼する前にはその標本に関して自分でもできるだけの研究をし,特徴をよく捉えておいてください.同じ種の標本が複数あれば同じ番号や記号を付けておくとか,スケッチを残すなどして,一度依頼すれば次からは自力で同定できるだけの努力をしてください.もちろん,自分では同じあるいはちがうと思うが確認してほしいという内容の依頼であればかまいません.

 

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