ACJ特集:
Dioエンジン+NOS!
※このページ作成には、下記のサイトを参考にさせていただきました。

AVO/モーテックジャパン/Nos代理店

NOSネタは2回目ですが!
 以前にもご紹介しました、スクーターにNOSを搭載してしまったというマシン。今度はDIOエンジンでコレをやってしまったという方が現れました! 2003年の6月、千葉で行われた「HYPER−INT CUP」にエントリーされていたこのマシンと、制作者の方に伺ったお話をもとに「NOSってどうやるの?」ってのを今回は特集しちゃいます〜

まずはその、Takiさんのマシンです!
車体はご覧のようにスカッシュ!小型サイズで愛嬌あるスタイルの、あのスカッシュを大改造しちゃってるんですねw

因みにこのマシンは、既にモトチ誌上でも紹介されているため。ご存知の方も多いかもしれませんね。

まず目につくのはやっぱり、ハンドル基部についているメーター&スイッチ、それとその下、ステムの位置に取り付けられたNOSと書かれたタンクでしょうかね!

こもマシンにはそれらの他、ショートホイールベースを補うためか、ステアリングダンパーも付けられているし、キャブレターも大型なのがわかりますね。

マフラーも一見地味ですが、台湾製の大排気量仕様のものを採用しています。「絶対性能面ではショップで丹念に製作されたスペシャルチャンバーには劣るかもしれないけれど、ストリートではなかなか使えそう」と言っていました。
確かにこのマフラーなら、ほんとに外観上わかりませんねw 派手で格好の良いスポーツマフラーも良いですが、こういう感覚のマフラーが欲しいと思っている方も結構いらっしゃるのでは???

他にもこのマシンには、特にエンジンに関して台湾製の多くのパーツが使われています。このパーツの選択の広さが、このAF18Eエンジンの楽しさのひとつと言えるのではないでしょうか。

NOSについて。
さてここからは、注目のNOSについて見て行きたいと思います。
このNOSシステムには、稼働させるためにある程度の補機が必要になってくるんですけどね。それらのレイアウトにいろいろな工夫をしてみるのも個性が出て良いかもしれません。(稼働可能にするだけでも大変なことなんですがw)

NOSシステムの概要は亜酸化窒素を混合気と一緒に送り込み、その亜酸化窒素が含む酸素によって(空気より酸素の割合が少し高いそうです)より多くの燃料を燃やし、多くのエネルギーを取り出す効果を得るものです。

燃焼には燃料と、空気中に含まれる酸素が使われます。普通エンジンが吸い込む空気には約20%の酸素が含まれていて、燃焼に使えるのもそれだけしかありません。
しかしここに亜酸化窒素を、しかも霧の状態で(液状)で混ぜることで酸素の割合が増えます。実際、機械式の過吸機はより沢山の空気を吸い込むことで、沢山の酸素を得ようとしているので。方法は違えど同じ事をしようとしている訳ですね。

(因みに、過吸機を使わないで多くの酸素・燃料を放り込んで多くのエネルギーを取り出すには、もっと単純な方法・・・つまりエンジンの排気量を大きくすることでもできます。すなわち酸素をより多く得ることは、疑似的に排気量を大きくすることでもあるわけです)

過吸を機械的に行うのがいわゆるターボチャージャーやスーパーチャージャーですが、機械的に複雑なことをしなくても(またはできなくても)過吸できるようにするシステム、これがNOSの正体なのですね。

しかしNOSを使用するにあたっては、亜酸化窒素とガソリンの割合を理想的な値にしなければなりません。この制御を如何にして実現するか。ここに難しさがあるんです。

こっから難しいですよー(汗々

NOSをOFFにしてるとき。
これは、通常のNAエンジンと同じです。キャブレターを介して、エンジンが吸う空気に対して適した量のガソリンを霧にして混ぜ込むという動きです。
このときは、普通にキャブレターのセッティングをします。

NOSをONにしたとき。
このときインジェクターを通じて亜酸化窒素を放り込めばいいのですが、亜酸化窒素と同時にガソリンも投入して調整してやる必要があります。そしてこれらをどのくらいの量放り込むか・・・

まずは「スロットルを全開、エンジンがある程度の回転数になっている時にだけ、NOSをONにする」ということにします。スロットル開度や回転数による制御も行うほうが理想的なのですが、かなり難しい制御が必要になってくるのでやりません。Takiさんの場合は、走行中条件が揃ったときにライダーがNOSのスイッチを操作することで、こういった条件を実現しています。(ホーンスイッチを転用しているそうですよw)

次に、条件が揃った時に「どれだけの量の亜酸化窒素と燃料を放り込むかの調整」をしなければなりません。単純に考えれば、上の条件が揃ったときのことだけ考えて決めれば良いのですが・・・

燃料の調整法は、単純にインジェクターの出口口径をメインジェットのように交換して決めます。亜酸化窒素も基本的に同じ事なんですが、ちょっと他の条件も考えないといけなくなります。なぜなら、燃料は燃料ポンプによって一定の圧力で供給されるので、出口を調整すればいいだけなんですが。亜酸化窒素の方は封じ込められているガスが出ていこうとする圧力をそのまま使っているからなのです。そのガスの圧力はまわりの気温によって変化するので、気温による条件も考慮しなくてはならないのです。これが結構変化するそうで。ただでさえキャブレター調整でも気温とか考えなければいけないのに、もうひとつややこしいことが増えちゃってるって訳ですね。
亜酸化窒素の圧力をレギュレーターのようなもので安定させればこの点はなんとかなりそうなものなんですが、Takiさんによるとそういったレギュレーターが無いんだそうで。他には断熱材でタンクを被うとかという方法も考えられますが。このスカッシュの場合はまだそこまでできなかったようです。

とは言うものの。NOSシステム自体は、セッティングの難しさはあるようですが。機械式の過吸ができないようなものでも過吸できるという利点もあるわけで。また、機械式の過吸にプラスして使うということもできるようですし。上手に活かすこともできるかもしれませんね。


(左)インパネ(?)まわり/(右)NOSタンク
タコメーターの他、各補機類のためのスイッチが並びます。自動車用の奴のようですが、アルミの箱とあいまって競技車らしいカッコよさバツグンですねー!
下側にある青いメーターが、亜酸化窒素の圧力計です。
ガスタンクの頭にちょこんとついてるR2−D2がワンポイント(笑

ピカピカしたタンクが、いかにもってカンジでそそります!
もう1ランク小さな製品もあるそうなんですが、こちらのほうが見栄え良くつけれるのでチョイスしたそうですよ。


(左)NOS及び燃料の電磁バルブ
/(右)燃料供給ポンプ
それぞれをON・OFFする電磁バルブです。NOSのスイッチを入れることで経路を開きます。

燃料はポンプで加圧しないとインジェクターで噴射できないので。燃料ポンプを装備しています。

(左)インテークマニホールドに装備されたインジェクター
青・赤の2本がそれぞれ亜酸化窒素と燃料です(赤が燃料、青が亜酸化窒素だと思います。間違えないように補機類までコーディネイトされているようです)。

インジェクターの埋め込み自体はタップを立ててしまえば良いそうなのですが、実はこのタップが特殊なものなのだそうで。Takiさんはこのために専用工具を入手したそうです。

小柄でカワイイスカッシュに、AF18EだけでなくNOSを装備してしまったビックリのこのマシン。
実はSS1/32の規定ではNOSを使うとOPENクラス相当のエンジンになってしまうのですが、OPENクラスでは車両とエンジンが同一モデルでないといけないという事になっていた(03年6月時点)ため、残念ながらNOSを使うことが出来なかったようです。惜しいですね。

しかし機能だけでなく、各部の造りにはセンスもあってとても良いカンジになってますよ。
このビックリミニマシンの実力は如何に!?(* ^ー゚) /