Card:低コストクリーチャー


 これまでは主にクリーチャーの質の重要性について触れました。ST50、HP60を一つの基準として、ブック内のクリーチャーの質を高めることでアイテムの枚数を減らし、ブックの達成スピードを速めることができます。しかし、質の高いクリーチャーはコストがかかります。平均してみれば70G~90G程度になり、クリーチャーを配置するために相応の魔力を支払わねばなりません。
 カルドセプトのクリーチャーは多種多様です。高いコストで呼び出すクリーチャーがいる一方で、極めて低い召喚魔力で呼び出せるクリーチャーも数多く存在します。質が重要であれば、これらの安いクリーチャーに出番は無いのか?――そんなことはありません。殆んどのクリーチャーは有用に使えるのです。
 ここでは低コスト(0G~30G)のクリーチャーに注目し、これらの利点と欠点を明らかにします。

 広いマップか、狭いマップか

 クリーチャーに質(相応の戦闘力)が求められるのは何故でしょうか?答えは簡単「戦闘するから」です。では「そもそも戦闘が発生しない、しにくい環境」であればどうでしょう。この環境では闇雲にクリーチャーの質を高めても意味がありません。クリーチャーが戦わないのですから。
 マップは土地がとりやすい「広いマップ」と、土地が取りにくい「狭いマップ」に大雑把に分けられます。広いマップは土地が取り易いので戦闘が発生しにくく、狭いマップは土地が取り難いため戦闘が発生しやすいのです。「サンタナ村」や「コロッセウム1」では戦闘が多発するのに対して、「エツメル山の隠者の館」や「月祈の塔カニンガン」では戦闘が起きにくい、とイメージして貰えば分かりやすいでしょうか。
 低コストのクリーチャーは広いマップで活躍します。戦闘が発生しにくいので、クリーチャーの質を落として魔力を貯えやすくすれば、素早く達成できるのです。

 安い=早い

 代表的なカード

 低コストクリーチャーの弱点として戦闘に極端に弱いです。しかし、ただ打たれ弱いだけでは勝負に絡めません。そこで、比較的戦闘力の高い低コストクリーチャーを紹介します。

 バルダンダース    無属性クリーチャー  レアリティ:N
 ST:0 HP:30 コスト:10  配置制限:なし アイテム制限:なし
 戦闘中、ランダムに別のクリーチャーに変身する

 一部のセプターに愛されて止まぬクリーチャーです。一見すると冗談のような能力ですし、試合後に話のネタにされることも事実。しかし、なかなかに侮れぬ性能を持っています。一つは配置制限、アイテム制限が無いこと。もう一つはランダム故に高コストのクリーチャーに侵略されにくいこと。また、常に試合をひっくり返す可能性を秘めていること、です。
 ただし、モーフィング地形が多いマップの場合は、無属性クリーチャーを配置すると無属性の土地に変わってしまうため、やや使いづらいでしょう。

 ゴブリン    無属性クリーチャー  レアリティ:N
 ST:20 HP:30 コスト:0  配置制限:なし アイテム制限:なし

 前作からあったカードですが、様々なサポートカードの追加によって、評価が変わりました。
 先ずは【レッドキャップ】が挙げられます。これは配置すれば全ての【ゴブリン】にST&HP+20の応援を行うクリーチャーです。元来、無属性は【ボージェス】によってインスタントにHP+20の応援を得られていましたが、併用することでさらに土地を維持しやすくなります。
 次に【ゴブリンズレア】と【トケビ】などの即時クリーチャーとのコンボです。空地に止まって即時クリーチャーを配置し、直ちにクリーチャーを隣接地に移動させます。次のターンに【ゴブリンズレア】を使えば、スペルターンにも効率良く領地を確保できます。このような効果を持つカードは少なく、瞬間的に領地を拡大したい場合に有効でしょう。そのため、無理に【レッドキャップ】を組み込まなくても、即時クリーチャーさえいれば、【ゴブリンズレア】を採用する理由としては十分と言えます。

 バンディット    無属性クリーチャー  レアリティ:N
 ST:20 HP:20 コスト:20  配置制限:なし アイテム制限:なし
 援護:攻撃成功時[対戦相手に与えたダメージ×2Gの魔力を相手セプターから奪う]

 安い援護クリーチャーというだけでも利用価値はあるのですが、これに加えて魔力奪取の能力を持っています。広いマップでは序盤の資金繰りが難しく、【バンディット】の侵略を許して150G近くの魔力を奪われてしまうと、最悪の場合は自分の領地を手放すほどの損失を被るばかりか、数ラウンド何もすることができなくなってしまいます。そのため、防御側は【カウンターアムル】や【属性シールド】などの無効化アイテムを使うことも視野に入れた、領地防衛の判断を求められます。

 ブラッドプリン    水属性クリーチャー  レアリティ:S
 ST:20 HP:20 コスト:30  配置制限:なし アイテム制限:巻物
 援護:戦闘開始時、MHP+援護クリーチャーのMHP(最大100)

  【コロッサス】や【アーマードラゴン】のようにSTやHPの高いクリーチャーを援護として使うことで、相手のクリーチャーを排除しつつ、その場に強固な拠点を作り出せます。手札の消耗が激しい、相手に警戒されやすい、などの弱点もありますが、ブックの構成次第では拠点候補のひとつに挙げられます。STが高いクリーチャーのアイテム代わりの感覚で使うと、水属性以外でもブックに採用できます。

 アクアリング    水属性クリーチャー  レアリティ:N
 ST:20 HP:30 コスト:30  配置制限:なし アイテム制限:なし
 無効化[MHP30以下のクリーチャー]

 限定される無効化能力ですが、広いマップで多用されがちな【スペクター】や【スピニーアガマ】、【バンディット】などからの侵略を防げるため、意外と重宝します。特筆すべき能力ではありませんが、真っ当に使えるため、広いマップでの選択肢としては十分です。

 スクワリン    地属性クリーチャー  レアリティ:N
 ST:20 HP:30 コスト:30  配置制限:なし アイテム制限:巻物
 援護

 地属性はHPの高いクリーチャーが多く、それらをアイテムとして使える援護能力は相性が良いです。ただし、HPの低い【スピニーアガマ】や【サクヤ】も採用されやすく、【スクワリン】をブックに投入する際には、他のクリーチャーとの相性も考える必要があり、適当にカードを入れ替えただけでは機能しません。

 ストーンウォール    地属性クリーチャー  レアリティ:N
 ST:0 HP:60 コスト:30  配置制限:風 アイテム制限:防具、巻物
 防御型

 HP60のクリーチャーをたったのコスト30Gで配置できます。単純な領地防衛能力を考えると、同じ防御型の【アイスウォール】と比較して若干(HP10)劣っていると言わざるを得ません。しかし、コストが安い、援護クリーチャーとの相性が良い、MHPが高いため【パラライザー】や【テンペスト】などのスペルコントロールに強い、など弱点は少ないと言えます。基本能力値の高いクリーチャーはそれだけで強いというのが、よく分かるカードです。

 スペクター    風属性クリーチャー  レアリティ:N
 ST:0 HP:30 コスト:30  配置制限:なし アイテム制限:なし
 戦闘中、STとHPがランダムに10~70に変化する

 【バルダンダース】同様、ネタ扱いされるクリーチャーですが、これも高い性能を秘めています。STとHPは平均40となり、【ミノタウロス】や【ファイター】と同程度の強さと読み替えられます。【ミノタウロス】はコスト70、【ファイター】はコスト40なのに対して、【スペクター】はコスト30しかかかりません。属性クリーチャーはおろか、無属性クリーチャーよりもコストパフォーマンスに優れています。しかも戦闘毎に変動するため再生と似た能力です。
 上記に加えて一切の制限がないので、攻防に役立ってくれるでしょう。相性が良いのは先制付与アイテムです。STかHPのどちらか一方が爆発的に高まれば侵略を防げます。

 フォートレス    風属性クリーチャー  レアリティ:S
 ST:10 HP:50 コスト:30  配置制限:なし アイテム制限:武器、巻物
 防御型:領地[30G・対象敵クリーチャーに10ダメージ]

 コスト30GでHP50のクリーチャーです。【ストーンウォール】と比較してHP10劣っていますが、配置制限が無く、防具を使えるため安価な領地防衛が可能です。領地能力も【マジックボルト】等と組み合わせることで、領地のレベルアップを抑制する効果が期待できます。

 火属性の課題

 火属性にはコスト30G以下のクリーチャーで、ばら撒きに適したクリーチャーがいません。低コストのクリーチャーの中には、【ドモビー】のように戦闘力は低いが優れた領地能力を持つクリーチャーや、【ハイブワーカー】のように専用のブックを組めば強力な能力を発揮するクリーチャーがいます。しかし、クリーチャー単体で完結してそこそこの戦闘力を維持できるクリーチャーには欠けています。そのため、他の属性と同様の手法で広いマップに適応しても、火属性は戦略的優位性を欠いているために、敢えて火属性を選ぶメリットがありません。火属性をどのように広いマップで利用するかは、今後の研究が必要です。


 優秀な低コストのクリーチャーは探せば他にもあるので、色々と試してください。