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制御

カルドセプト リボルト戦術論 7-4 ドローカードの役割

 ここまではドローの性質を踏まえたブック構築の解説をしてきました。ドローの性質はルール上避けて通ることができない要素です。しかし、このドローの性質には手を加えることができます。それがドローカードです。
 ドローカードは以下のカード群を指します。なお、密命カードのうち【アセンブルカード】と【ロングライン】は除きました。確かにカードを引く効果はありますが、主目的は密命効果なので、論じないこととします。

 ホープ、フィロソフィー、ギフト、プロフェシー、フォーサイト、ミラクルコール、リンカネーション
 フェイト、トゥームストーン、ネビロス、テンタクルズ
 ワンドロー付きスペル(バイタリティ、グリード、ボーテックス、ディジーズ、リキッドフォーム、デビリティ、ポイズンマインド)

1 ドローカードの役割

 ドローカードの機能は「A 手札枚数の増加」と「B 特定のカードの入手」に分けられます。これらを通じて、手札の質の向上を図ることが本質的な役割です。

A 手札枚数の増加

 1つのラウンドのドローフェイズで引けるカードは1枚なので、スペルフェイズやクリーチャーフェイズでカードを使い続けていれば、自ずと手札は減っていきます。また、供物や合成などのカードを使っても、同じく手札は減ってしまいます。
 そこでドローカードを使えば、手札の枚数を増やしどんどんカードを使うことができます。
 また、機能時間帯が長く、機能率の高いカードほど、使いやすいので手札に残さず使いきってしまう傾向にあります。こうしたカードが多ければ、次第に手札が減っていくでしょうから、ドローカードがたくさん必要になるでしょう。
 反対に、提示効果を持つカードが多ければ、手札に残り続けるので、手札枚数を増やすカードの必要性は薄れます。

B 特定のカードの入手

 カードによっては機能時間帯が限られるものや、機能率が低いものがあります。こうしたカードはゲーム序盤から何度も使うことはできず、必要なタイミングにだけ引いて使えれば事足ります。
 ドローカードを使うことで、機能時間帯が短く、機能率の低いカードの枚数を絞ってブックに投入し、必要な時にブックから引くことができます。

 ドローカードは「A 手札枚数の増加」と「B 特定のカードの入手」により、そのタイミングで必要なカードをブックから補充し、手札の質を高めることができます。例えば、クリーチャーが必要な状況にも関わらず、クリーチャーが手札にない時に、ドローカードを使ってクリーチャーを引いたとします。ドローカードを使う前後の手札の状況を考えると、ドローカードを使った後の手札の方が使う前よりも自分にとって有利な手札と言えます。同様のことがアイテムやスペルにも当てはめられます。これが手札の質の向上であり、ドローカードの本質的な役割です。
 なお、「A 手札枚数の増加」は「B 特定のカードの入手」を兼ねています。たくさんのカードを引ければ、その中に目的のカードが含まれている可能性があるからです。ただし、Bの機能に特化したカードには効率では負けてしまいます。

2 手札の質の向上とプレイングの変化

 ドローカードによって手札の質が向上することで、どのような変化が生まれるのでしょうか。
 ひとつは、そのタイミングで必要なカードが手札に入ることで、特定のカードを引けなかったことに由来する敗北を避けることができます。例えば、拠点防衛用のアイテムが必要なのにも関わらず、いつまでも引けずに負けてしまうことを防げます。これは、試合の勝敗に占める運の要素を減らすための方法と言えます。
 二つめは、目標魔力達成のために必要な手順の進展です。目標魔力の達成のためには、「必要条件A:連鎖の形成」と「必要条件B:レベルアップ(魔力の獲得)」のふたつを満たすことが求められます。特に必要条件Aは、「試合の展開に沿って一定の順序で進むことから、条件を整えるのに時間がかかる」と述べました。これはドローしたカードに由来することも理由のひとつです。例えば、クリーチャーを土地に配置はできたけど地形変化スペルを引かないために連鎖に組み込むことができない、というのは誰しも経験があるのではないでしょうか。ドローカードはこうした状況で地形変化スペルを引いて、手順を進めることができます。
 三つめは機能の選択です。ブックに入れたカードは基本的には試合中に使うことを想定しているものでしょうが、状況によっては使う必要がなくなるものもあります。例えば、アイテム・カードは、自分以外の3人のプレイヤーの侵略能力が低ければ、たくさんの枚数を手札に抱える必要性は低いでしょう。また、高額の通行料が入った後であれば【ランドトランス】を使う必要はないかも知れません。ドローカードがあれば、こうしたカードを捨てて新たなカードを引くことで、その時点で自分に必要な機能のみをブックから抽出することができます。
 ブックはカード50枚のセットですが、その全てを使う必要はなく、状況によって必要なものだけを選択すれば良いのです。ドローカードによって、カード50枚のブックは40枚であるかのように振舞うことができます。

3 ドローカードの枚数

 では、ドローカードはどのくらいの枚数をブックに入れたら良いのでしょうか。
 詳細については後述しますが、リボルトにおける4人戦では【ギフト】を4枚入れるのは必須と言って差し支えないでしょう。【ギフト】はリボルトのゲーム構造の根幹を成すカードであり、これを無視したブック構築はあり得ません。
 そして、【ギフト】4枚でもドローカードが不足するようであれば、そこから追加的に他のドローカードを検討することになります。つまり【ギフト】4枚を前提として、ドローカードが何枚必要なのか、ということを考えます。  私見も混じりますが、【ギフト】4枚に加えて、それ以外のドローカードを0~4枚入れるのが、一般的なブック構築のようです。ただし、これはこの記事を執筆している時点(2017年7月)で一般的な方法論であって、今後は別な方法論が確立される余地は大いにあります。
 また、そのマップ(ルール)における目標魔力の達成ラウンドが短いほど、たくさんのドローカードが必要になります。これは、短いラウンドの間に、「必要条件A:連鎖の形成」と「必要条件B:レベルアップ(魔力の獲得)」のふたつを満たすカードを引かなければならないからです。「カードを引けないから負けた」という状況を回避するためには、ドローカードを多く入れることになります。
 同様に、供物や合成カードが多いほど、減った手札を補填するために多くのドローカードが必要になるでしょう。

4 ドローカードの注意点

 最後にドローカードを使う際の注意点を挙げます。
 まず、ドローカードそのものには、目標魔力を達成する機能も、他のプレイヤーに干渉する機能も無い、ということです。それらは全てブックの他のカードに由来することであって、ドローカードばかりをたくさん入れても意味がありません。ドローカードの機能は、手札の質の向上であって、魔力を得ることでも、他人の連鎖を削ることでもありません。それは別のカードの役割なのです。
 二つ目は、ドローカードを入れすぎると、ドローカードでドローカードを引くような事態に陥ってしまい、「手札の質を向上させる」というドローカード本来の機能率が低下してしまうことです。前述したように、いくらカードを引いても自分の有利につながるかどうかは引いたカード次第なので、ドローカードを引いても意味はありません。闇雲にドローカードばかりを引いても、自分が目標魔力の達成に向かう訳ではないのです。

5 リバイバルの罠

 余談ですが、【リバイバル】を使ってブックをもとに戻しても、ドローにおいて意味はありません。80Gとスペルフェイズ1回、ブックのカードスロットを潰しているだけです。
 ブックを最初の状態に戻すことで、使い切ったカードをもう1度使える可能性は生まれます。しかし、1枚入れのカードを2回使うなどといったことは、【リバイバル】だけでは不可能であり、ブックにおけるドロー機能には何も貢献しません。
 その場合は、【リンカネーション】などのドロースペルが大量にブックに採用されていることが前提であり、そしてそれらのカードがあれば容易にブックを1周できるであろうこと、大量のドロースペルを使うだけの魔力が必要なこと、そしてそれをするくらいなら目的のカードを2枚入れた方が良いだろうことから、極めて非効率と言わざるを得ません。これが【リバイバル】によって陥りがちな「罠」です。
 もちろん、【アネイマブル】や【メタモルフォシス】で消されたカードを復元したり、【ミラクルコール】と組み合わせたり、【コアトリクエ】を強化したり、といった使い方は可能です。
 ただ、闇雲にブックを初期状態に戻してもメリットはなく、コストばかりがかかってしまいます。