Gravity Control
制御

カルドセプト リボルト戦術論 5-4 究極の干渉:通行料

 最も効果的な干渉は通行料の奪取です。目標魔力達成のための行動と、干渉が結びついた一石二鳥の性質もあって、究極の干渉手段と言っても良いでしょう。
 状況によっては1回で2000G以上もの大きな魔力を奪い、これだけで試合の勝敗を決することも可能です。仮にレベル3程度であっても300G前後の魔力を奪えるので、これと同等の収支効果を持つような干渉は少ないです。「1000Gの魔力を持つ相手に【ドレインマジック】を使った時」くらいでしょうか。このような効果の大きさは通行料の特徴のひとつです。

 また、通行料奪取には「使う資源(リソース)が少ない」という特徴があります。
 クリーチャー・アイテム・スペルカードを使った干渉は、当然ながらカードが必要です。カードを使った場合は「魔力」がかかり、スペルターンや領地指示といった「機会資源」も消費します。
 一方で、通行料はカードを用いた干渉と比較すると、領地をレベルアップするための魔力や領地指示などは必要ですが、これらは通行料に関わらず、目標魔力を達成するために必要なものです。つまり、通行料のみを目的として消費されるリソースではありません。目標魔力達成のための資産形成の「ついで」にできる一石二鳥の干渉なのです。

 以上のことから、通行料奪取は、試合の趨勢を決定づけるような「効果的で」、目標魔力達成のための行動と干渉手段が一度に実行できる「一石二鳥の」、究極の干渉なのです。

1 通行料を奪いやすくするためには

 さて、通行料が究極の干渉であることには触れました。しかし、通行料は相手が自分の領地に止まった時に発生するものであり、任意のタイミングで必ず奪えるものではありません。これが通行料の最大のポイントです。
 ここでは通行料を奪いやすくするためのコツについて述べます。

必ず通過する土地をレベルアップする

 マップの形状によって周回する上で必ず通過する土地があります。

 例えば、ゴールドバグには必ず通過しなければならない土地と、通過しなくても良い土地があります。具体的には、Nゲートから司令塔に繋がる土地で、T字路を除いた土地(モーフ土地など)が「通過しなくても良い土地」で、それ以外が「必ず通過しなければならない土地」です。
 必ず通過しなければならない土地をレベルアップすれば、他者が通過する機会――通行料を奪取する機会が多くなります。
 逆にモーフ土地は周回するために通過する必要はなく、通行料を期待するには不向きな土地です。

分岐点土地から遠い場所をレベルアップする

 分岐点に差し掛かると、進行方向を選ぶことができます。そうなると、狙った土地を踏みやすくなり、高額領地は避けやすくなります。反対に、分岐がない一本道の場合は、進行方向の選びようがないので、狙った土地は踏みにくく、意図しない高額通行料が発生しやすくなります。

 ジャンクションを例に取ってみましょう。敵セプターが、Nゲートを回って時計回りに歩いて★の土地(分岐点)に止まったとします。
 ★の隣の地土地Aは、分岐点に隣接しています。この領地をレベルアップしたときのことを考えてみましょう。分岐点土地にいるセプターがダイスで1を振ったら複属性土地方向に進んで通行料の支払いが回避できますし、ダイスで2以上を振れば通り過ぎることができてしまいます。
 逆にSゲート近くの水属性土地Bをレベルアップした場合はどうでしょうか。分岐点土地から十分に距離があります。1歩でも分岐点からSゲートに向かって歩きだしたら、あとは真っ直ぐ歩くしかありません。踏んでしまう可能性が高い土地と言えるでしょう。

等距離に配置されているクリーチャーのレベルを上げる

 分岐から等距離の領地が全て高額領地になれば、通行料の支払いを回避できなくなります。

 ジャンクションで例を挙げてみましょう。Sゲートから時計回りで★の土地に止まったプレイヤーがいるとします。AとBがどちらも高額領地になっていた場合、ダイスで6が出た場合は必ずどちらかを踏んでしまいます。これを意識して配置やレベルアップを行うのです。
 ポイントとしては、必ずしも全部自分の領地である必要はないというところです。敵の高額領地を利用することもできます。高額領地Bが敵プレイヤーのレベル5だったらどうするか?あなたは高額領地Aをレベル4くらいにしておきましょう。もしも★の土地でダイス6を振った人がいたら、レベル5踏みを避けるため、やむを得ずあなたの土地を踏んでくれることでしょう。

相手の5歩先をレベルアップする

 「分岐がない一本道である」「移動系のスペルは使わない」「マップを1周して再度踏む可能性は考慮しない」の3点を前提として計算した結果を表にしてみました。

 5歩先を踏む可能性は、20.3%と、他の土地と比べて高くなっています。【ホーリーワード8】や【マジカルリープ】などの移動スペルを持っていない相手の5歩先付近をレベルアップすれば、通行料を得る可能性が高いです。
 また、複数のプレイヤーが自分の領地の方向に向かって進んでいる時も狙い目です。単純計算で、2人なら確率は2倍、3人なら3倍を見込むことができます。
 さらに、この方法はランドトランス戦術と組み合わせることも可能です。これから通過するところのレベルを4に上げて、何事もなく通過したらすかさず【ランドトランス】で領地を売却します。その後、さらに通過するところのレベルを上げれば、通行料を得る可能性を2回に増やせます。

2 通行料奪取を狙う上での注意点

【クイックサンド】【ケルピー】等

 【クイックサンド】や【ケルピー】等であれば、確実に通行料を狙えます。しかし、通行料が強力な干渉手段であることから、他のプレイヤーからは確実に目の敵にされるでしょう。必要以上に干渉されることはまず間違いありません。
 そうしたリスクを踏まえた上で、これらの戦術を検討しましょう。

ダウン状態を管理する

 敵セプターが通過する時に、クリーチャーがダウン状態ではレベルが上げられません。特に、任意のタイミングで相手の5歩先をレベルアップしようとしたら、不用意にクリーチャーをダウンさせるのは考え物です。
 領地指示機会もリソースの一つであることを意識して、クリーチャー交換や移動などをする際には、本当に必要な行為なのかを検討しましょう。

通行料か領地売却か

 通行料を目的としたレベルアップと、ランドトランス戦術による領地売却を目的としたレベルアップは異なります。
 例えば、以下の2パターンでは、どちらが通行料収入を得やすいでしょうか。

 細かいマップの状況などにもよりますが、パターンAは頻繁に通行料奪取が狙えそうです。パターンBはレベル5を踏ませれば確実にゲームを決められそうですが、高額すぎて皆が避けようと躍起になることも考えられます。通行料奪取という面から見ると、一長一短といったところでしょう。
 しかしランドトランスの項でも述べたように、パターンAは、ランドトランスなどで領地売却してもレベル5を2個作るだけの魔力は手に入りません。増資の効率のという面で見れば、パターンBの方が優れています。

 このように、レベルアップの手法には一長一短があります。状況によってはパターンAとBを使い分けましょう。通行料に限らず、全ての干渉は勝利のための手段に過ぎません。勝利のために何が必要かを選べるようにしたいものです。

3 通行料への対処

 ここまでは、通行料を奪うための手法について論じてきましたが、ここからは敵の通行料にどう対処するかを考えます。

通行料を奪われないためには

 通行料を奪われない・軽減する方法はいくつかあります。

  1. 高額地を避けるように進行方向を選択する
  2. 【マジカルリープ】や【ホーリーワード】系スペルで回避する
  3. 高レベル領地を侵略する
  4. 連鎖を切る
  5. 通行料を減らす(【ピース】【ブラックアウト】【ユニフォーミティ】【スキュラ】【バーナックル】【ムーンシミター】)
  6. レベルを下げる(【アステロイド】【デバステイター】)
  7. 通行料を補填する(【ドリームテレイン】)

 1は特にカード等を用いずに、マップの進み方を選択してできることです。
 2は通行料の回避のみを目的としたカードではありませんが、そういう使い方もできるカードです。
 3,4はやや状況が限定されます。高レベル領地を侵略するにはそれなりの条件(自分の手札や相手クリーチャーとの相性)がありますし、移動侵略で連鎖を切れるような位置に自分のクリーチャーがいるのか、という問題もあります。ただし、侵略する力のあるブックを使うと、不用意なレベルアップ自体を抑制できるので、踏む可能性がある領地が減るという効果もあります。一方で、試合自体は長引き、致命的な通行料奪取が発生するまで試合が終わらない(通行料奪取が発生するまで試合が終わりにくい)ことにも繋がります。
 5,6,7は通行料にフォーカスしたカード群です。対処の仕方としてはシンプルですが、都合よく高額領地を踏みそうなタイミングで必要なカードを引けないことも多いですし、全てのブックで採用できる手段ではありません。

 そうなると、どんなブックでも採用できる方法としては「2 【マジカルリープ】や【ホーリーワード】系スペルで回避する」が有力となります。  そもそも踏んでしまう確率はどの程度あるのでしょうか。再度表を見てみましょう。

 これを見ると、前述の通り高額領地の5歩手前に止まるのは危険です。逆に1歩前の高額領地を踏んでしまう可能性は非常に低いことがわかります。分岐を使って高額領地を回避できなくても、5歩未満に距離を縮めることができれば、それだけでも踏む確率を下げることができます。

領地売却に向けての下準備

 高額の通行料を奪われてしまうのは大きなデメリットではありますが、奪われたからと言って必ず負けてしまう訳ではありません。通行料を支払っても、相手より早く達成すれば良いのです。
 そのためには、天然ランドトランス等によって領地売却するための準備をすることです。

 例えば4411(4連鎖・レベル4×2個)の相手のレベル4を踏んでしまった時のことを考えてみましょう。
 960Gの通行料を支払うことになりますが、こちらが5111(4連鎖・レベル5×1個)を持っていれば(あるいは支払うタイミングでレベル5を作れれば)、レベル5を売却して2560Gの魔力を得て、通行料を差し引いた1400G以上の魔力が残ります。これを使ってレベル5を再度作成してから連鎖を伸ばせば、十分に勝負に絡めるでしょう。もちろん通行料を得た相手がどのくらいのラウンド数で目標魔力を達成してしまうかという問題はありますが、レベル4の通行料を支払ったことが直ちに敗北に繋がる訳ではありません。
 言葉を換えれば、4つ以上の連鎖とレベル4以上の領地は、通行料に対する保険とも言えます。

 逆に踏ませる側の視点に立つと、十分な連鎖とレベル5領地がある敵プレイヤーがいる場合に、レベル3を量産して通行料を得ようとすると、相手が土地を売却し、一気に目標魔力を達成することを手助けしてしまう可能性があります。