6日目の朝だ。
相変わらず外は気持ちいいほどの快晴。
俺は昨夜の姉貴のアドバイス通りに直美さんへのプレゼントを探しに駅前の商店街へやってきた。
しかし…女性に贈り物をしたことがない俺は、何を買っていいのか全然見当がつかない。
ぶらぶらしてるだけで、ただ時間が過ぎるばかりだ。
「あれ? 宇佐美さんじゃないですか」
声を掛けられて振り向く。
ナイスタイミング! 恵理香ちゃんだ。
ここは直美さんをよく知っている彼女に聞いてみるのがいいだろう。
「恵理香ちゃん、ああ助かった。実は少し相談があるんだけどいい?」
「え? 私が相談にのれることなら…」
「あのね、女性に贈り物がしたいんだ。でも何を贈っていいのか…」
「ええ!! 私に何か買ってくれるんですか!?」
目を輝かせて俺を見る彼女。
「い…いや、そうじゃなくて…」
「あはは、冗談です。分かってますって。直美先輩へでしょ?」
「あ、ああ。お昼くらいおごるから、買うのつき合って欲しいんだ」
「本当ですか!? やったぁ!」
ニコニコしながら俺の隣を歩き出す恵理香ちゃん。
意外と、現金なんだね…。
「で、なにがいいと思う?」
「う〜ん。直美先輩かぁ。先輩はちょっと普通の女の子の好みとは違いますから…洋服関係はやめておい方がいいですね。じゃあ花なんかは?」
「いや、あとあとまで残るようなものがいいんだ」
「造花…っていうのも先輩嫌うだろうから。う〜ん、なら、オルゴールなんかはどうです?」
「オルゴール? …そう!それだ!」
そういう訳でファンシーショップに来たのはいいが…種類がけっこうでてるな。
「直美先輩はけっこう聴く曲が片寄ってるから、古めの名曲の方がいいかも…」