■真澄編■
3日目【7月23日】


 
 
Marine Blue Serenade
3日目

【 朝 /  / 夕 /  】


◆7月23日<朝>◆
『サイクリング』


 

 サイクリングロードは海沿いの国道と平行して走っていた。昔は三本松港への貨物列車の引き込み線だったらしい。廃止されてしばらくは放っておかれたのだが、例のリゾート化計画で自転車専用道として整備されたそうだ。

 俺と真澄ちゃんはレンタサイクルを借りてサイクリングコースを西へ西へと走る。
 さすがに夏なので陽が当たれば暑いけど、海風がきもちいい。

 一時間くらい走っただろうか。道は国道から離れいつの間にか松林の中を走っていた。ジョキングや犬の散歩をしている人たちとすれ違う。
 風に乗って潮の香りが漂ってくる。

 うむ〜、意外と気持ちいいもんだな。
 俺は誘ってくれた真澄ちゃんに感謝した。

「ね。こういうのもたまにはいいでしょう? 先輩」

 真澄ちゃんはウインクしながら俺を追い越していく。

「おいおい、あんまりはしゃぎ過ぎるとあとで疲れるよ」

 いきなりペダルを踏み込んでスピードをあげた真澄ちゃんを俺は慌てて追いかけた。

「大丈夫です! あたしこう見えても体力には自信があるんですから」
「まったく、しょうがないなぁ」
「えへへ…きゃ!」

 真澄ちゃんは道に落ちていた空き缶を前輪で引っかけてしまい、転びそうになる。
 必死に姿勢を立て直す彼女。

「ほら、ちゃんと前を見てなきゃ、危ないって」
「ごめんなさぁい」

 舌を出して笑う真澄ちゃん。
 それにしても、なんか今日はいきいきしてるな〜。