旅の事始め


 
 高校生の頃は、「初めての海外旅行は新婚旅行」、そんな風に漠然と考えていました。それがこんなにのめりこんでしまったのは大学二年とき、ある友達の言葉がきっかけでした。  

   「20万円あれば夏に中国に行ける」  
       ※友達によると「10万ではなく20万と言った」そうです。スイマセン。 

 春休みに彼はアジアを旅行して帰ってきました。僕の大学はアジアからの留学生がとても多い学校で、その留学生の家をまわってきたのです。ちょうど先輩が中国に行って来たこともあって、いやがおうにも興味がわいてきました。かくして集まったのは、僕をいれて四人。とにかく「地球の歩き方」を買ってながめてみます。 
  「ふ〜ん、中国か〜」 
みるところはたくさんあるらしい。なんせ広い。おいしい中華料理は待っている。広州から北京まで電車で二泊三日。げっ!そんなに長い電車、日本にはないぞ。中国では「没有」という言葉を連発されるらしい。などなどなど、、、。 

 初めてパスポートを作ったのはその夏休みの直前でした。結局このパスポートは一ヶ月もしないうちに中国の広州でなくしてしまい、北京で二冊目を作ることになります。 

 そして夏、三週間の香港、中国でカルチャーショックを受けて帰ってくることになりました。 
 

それから
 
 海外に行って思ったのは「こんなにおもしろい遊びはない」ということでした。いままでのどんな遊びよりも刺激的でした。 
 顔つきも文化もそれほど変わらないと思っていた中国でさえ、びっくりするほど考え方、文化が違います。世界っておもしろい。小さな島国の日本にいたらわからないことがたくさんある。みんな、どんな生活をして、どんなものを食べて、何を考えて生活をしているのだろう。もっともっと知りたくなりました。 

 それからは長い休みになるとザックを背負ってあちこちを飛んでまわることになりました。親は「また行くのか」「ふらふらしてばかりいて」と呆れていましたが、そんなことはおかまいなし。 

 88年にはじめて中国に行ってから、今年は10年目。その間に300日を越える日数を旅してきたがいまだに飽きません。世界は広い。まだまだ行きたい国、みたい国はたくさんあります。 
  「行って、見てどうするの?」 
ときかれたら、「どうもしない」と答えるしかないでしょう。ただ、自分の好奇心、知識欲を満足させるために行き続けるのでしょう。一度知ってしまった以上、知らないままではいられないと思うから。 

 行き続けられる間(生き続けられる間)は、バックパッカーでありたいと思う今日このごろです。