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第20回 Mac OS X環境で試すAdobe製RIAランタイムエンジン「Adobe Apollo」〜概要からランタイム、サンプルアプリケーションのインストール等〜

Webアプリケーションにおける次世代サービスプラットフォームとしてAdobe Systemsより提供されているRIA(Rich Internet Applications)ランタイムエンジン「Adobe Apollo」(コードネーム)。各方面より多大な期待と関心を集める同ランタイムエンジンに関して、米国時間3月19日付にてリリースされたFirst Public Alphaを用いたMac OS X環境におけるファーストインプレッション等を纏めてみたいと思います。第1回目に相当する今回は、テクノロジの概要、及びアプリケーションランタイム、サンプルアプリケーションにおけるインストールプロセス等を採り上げてみたいと思います。


●待望のFirst Public Alphaが開発者向けにリリース

デスクトップベースのスタンドアロンRIAにおいて、Microsoftによる「Microsoft Silverlight」(旧WPF/E(Windows Presentation Foundation/Everywhere))と覇権を争うであろうと目されているAdobe製RIAランタイムエンジンAdobe Apollo。Webブラウザの枠組みを超えた次世代サービスプラットフォームの一つとして「XHTML」「Adobe Flex(Flash)」(注1)「PDF」「Ajax(JavaScript)」等が持ち得る各種スキルセットを包含し、デスクトップにおけるリッチな表現力、及びインターネット、ローカルリソースに対する自在なアクセス等の実装をコンセプトに掲げつつ開発が進行されていますが、米国時間3月19日付にて同ランタイムエンジンにおける待望のFirst Public Alphaが開発者向けにリリースされ、現在Adobe Labsにおける当該ページを通じて、以下のコンポーネント、及び関連資料等が入手可能となっています(入手する際には、Adobe Membershipのアカウントが必要となります)。

現時点ではクロスプラットフォーム対応として、Mac OS X(Universal Binary)、及びWindows版が提供されている他、将来的にはLinuxへの対応予定も表明されています(この度のApollo SDKは英語版のみの提供)。


●実行環境「Apollo Application Runtime」のインストール

ここからは実際のインストールプロセス、及びサンプルアプリケーションの利用等を通じたMac OS X環境におけるAdobe Apolloのファーストインプレッションを確認してみたいと思います。まずは実行環境(ランタイム)に相当するApollo Application Runtimeのインストールプロセス等を追ってみたいと思います。

※既存のWebブラウザがFlashやPDF等の各種テクノロジをプラグイン(アドオン)の一つとして実装しているのに対し、Apollo Application RuntimeではWebブラウザにおける処理系統を内包する事により、各種コンテンツを独立したスタンドアロンアプリケーションとして実行可能としています(Apollo Application Runtimeに含まれる処理系統には、Flex 2、JavaScript等が用意されているため、同ランタイムエンジン上ではFlash、及びAjaxベースのWebアプリケーションがプラグイン不要にて実行可能となっています)

  1. 上記に記したAdobe Labsより当該ファイル(「apollo_mac_alpha1_031907.dmg」約8MB)をダウンロード(ファイル名は時事的に変更されるかと思われます)
  2. ダウンロードしたdmgファイルをデスクトップにマウント
  3. マウントされた仮想ボリュームに含まれる「Adobe Apollo.pkg」(Installer package)を実行
  4. Apple純正「Installer(インストーラ、/Aplication/Utilities/Installer.app)」の指示に従いインストール

Adobe Apollo 1.0 Alpha 1のインストール画面
↑Adobe Apollo 1.0 Alpha 1のインストール画面(クリックで拡大します)

尚、Apollo関連の主要リソースは、

以下の階層にインストールされる事となり、上記ディレクトリ直下の「Resources」(エイリアス、シンボリックリンク)が、カレントバージョンにおける主要リソースの格納先となります(実際の格納先は、エイリアスのリンク先となります)。尚、上記ディレクトリ内に格納されている各種リソース「ApolloWebKit.framework」「WebCore.framework」「JavaScriptCore.framework」等からも察せられますが、Apollo Application Runtimeにおけるフレームワークには「Safari」「Dashboard Client」「Shiira」「OmniWeb」等における採用でMac OS Xユーザに馴染み深い存在となっている「WebKit」が用いられています。


●Apollo Application Runtimeを実行環境としたサンプルアプリケーションのインストール

続いて、同様にAdobe Labsより公開されている、Apollo Runtime Alphaを実行環境としたサンプルアプリケーションのインストールプロセス等を追ってみたいと思います。

Apolloアプリケーションは「Development Package」と称されるパッケージ単位でApollo Application Runtimeにデプロイされる事により、各クライアント上において実行可能となります。上記Adobe Labsより公開されているサンプルアプリケーション中、ここでは比較的馴染み深いインターフェイスを用いたアプリケーションの一つとして「Google Maps」における各種リソースと、IMC(Internet Mail Consortium)によって策定された電子名刺(vCard)の標準ファイル形式「VFC」との連携をApollo Application Runtime上にて体現可能としている「Maptacular」を利用してみたいと思います。

Apollo Application Runtime上で動作するアプリケーションは、独立した単一プロセスのVirtual Machine(仮想マシン)上で動作する事となり、アプリケーションのインストールはダウンロードした拡張子「air」ファイル(zip形式)を実行し、促される指示に従うのみで完了します。
サンプルアプリケーション「Maptacular」におけるインストール画面
↑サンプルアプリケーション「Maptacular」におけるインストール画面

尚、拡張子airのインストーラファイルの実態はzip形式のアーカイブファイルとなっているため、Mac OS X標準アーカイブユーテリティ「BOMArchiveHelper(/System/Library/CoreServices/BOMArchiveHelper.app)」等を用いて展開する事により、その内包物が確認可能となっています。Maptacularにおける主な構成ファイルは以下の通りとなっています。

インストールされたApolloアプリケーションは、標準状態において「~/Applications」にBundle形式のパッケージ(.app)にて格納される事となります(インストール場所は、ユーザの任意によって変更可能。尚、前記ホームフォルダ直下のApplicationsフォルダは、最初のApolloアプリケーションインストール時に生成されます)。
インストールされたApolloアプリケーションは(最初のApolloアプリケーションインストール時に生成される)ホームフォルダ直下のApplicationsフォルダ(~/Applications)に格納
↑インストールされたApolloアプリケーションは(最初のApolloアプリケーションインストール時に生成される)ホームフォルダ直下のApplicationsフォルダ(~/Applications)に格納

尚、上記のairファイルは、Windows環境においては「*.exe」の実行ファイルとしてインストールされ、各Apolloアプリケーション単位に、

に登録される事となります。

今回はここで一区切りです。次回は、インストールしたサンプルアプリケーション(Maptacular)を試しつつ、Apolloの世界の入り口を簡易的に覗いてみたいと思います。


●本文訳注

(注1)Adobe Flex

Adobeより提供されている、FlashテクノロジをベースとしたRIAのための開発、実行環境。フレームワークは「MXML(Macromedia Flex Markup Language)」「ActionScript」「Flex Class Library」等から構成されており、軽快な動作、及び容易な開発環境の提供等を特徴としている。2007年4月には「Adobe Flex SDK」、及び関連ドキュメントの「MPL(Mozilla Public License)」に基づくオープンソース化が発表されている。


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Created Date : 07/05/15
Modified Date :