Apple純正Webブラウザー「Safari」

Mac OS X標準のWebブラウザーとして、大きな期待を背に

初版作成日 2005年2月27日
最終更新日 2005年2月27日

Macにおけるインターネット環境の大きな転機

米国時間2003年1月7日付にて開幕した「Macworld Conference & Expo/San Francisco 2003」における Steve Jobs, CEOによるキーノートスピーチ(基調講演)にて、最初のBeta版(パブリックベータ)が発表された「Safari」は、久しぶりに登場したApple純正のWebブラウザー(注)として、様々な期待と憶測を持って迎えられました。

この発表から数週間後には、Classic Mac OSの時代からシステム標準のWebブラウザーとして採用され続けてきた「IE(Internet Explorer)」がMac OSプラットフォームからの撤退を表明し、後を追うように「Opera for Mac」「Camino」も開発終了を示唆する等(実際には2004年2月現在も開発継続中)、Macのインターネット環境における大きな転機の一つとなりました。

しかしながら、その後の機能追加を含むアップグレードは、GA版のリリース時以外には殆ど行われず、セキュリティーアップデート(セキュリティー関連の修正)の配布時や、オペレーティングシステムのアップデート時にマイナーアップデートを繰り返すばかりと、Mozilla Foundationによる「Gecko」レンダリングエンジンを搭載するWebブラウザー(Mozilla、Firefox、Camino等)や、livedoorが国内でサポートしている「Opera」がアクティブにアップデートを繰り返している状況と比べると地味な印象が拭えない感があります(一部のメディアからは「IEの開発と同様に、オペレーティングシステム標準の安心感があるのではないか?」といった論評を受けたりする事もあります)。

シンプルにて軽快、スタイリッシュにてハイセンス

そんなSafariに関してですが、機能の詳細に関しては Appleの公式サイトに譲るとして、大まかなコンセプトとしては「シンプル、軽快、先進性、ハイセンス」といった点が挙げられるかと思います。

レンダリングエンジンには、KDEオープンソースプロジェクトによる「KHTML」をフォークし、WebKitプロジェクトが独自の改良を加えた「WebCore」を搭載。細部に渡るチューニングによって、起動時間、HTMLとCSSのレンダリング、JavaScriptの実行時間等、何れもMac OS Xに対応したWebブラウザーの中では「最速」と称して差し支えのないパフォーマンスを示しています(ページのレンダリングは、Firefox、Camino等と甲乙付けがたい面もありますが、全般的な体感で感じる限りにおいては、僅かながらSafariが最も快適なように感じます)。

インターフェイス全般も、Webブラウザーにおける従来までの標準を覆すようなアイデアがふんだんに盛り込まれています。

例えば、タブブラウジングは Mozillaの二番煎じのような形で導入されましたが、上付きの省スペース設計は斬新さと効率の良さを感じさせ、同様のインターフェイスを有するFirefoxのテーマは Windows版でも広く普及していますし、リロード(再読み込み)とストップ(読み込み中止)を 状況に応じて切り替わるワンボタンにて兼用する等、ツールバーをシンプルにした設計は 非常にすっきりとした印象を与えます。また、インコンテンツにて表示されるブックマーク関連のインターフェイスも 従来までの常識を覆すような斬新さを有していると言えるでしょう。

その他にも、ツールバーに実装されたGoogle検索フィールドや、検索結果のページにダイレクトに遷移可能なスナップバック等は、インターネットの普及によって生じた検索需要の高まりに、Appleらしい豊かな発想とトレンドへの柔軟なアプローチにて応えた様子が見て取れます(後に、多くのブラウザーが これらの機能に追従する姿勢を見せる事になる等、ブラウザーマーケットにおける新たな牽引者たる役割をも果たしています)。

しかしながらVer. 1.xの現在、レンダリングの正確性には 未だ課題を抱えている部分が見受けられます。特に、文字コードの自動判別に関しては適切に機能しないケースが確認されており、ソースコードにおいてエンコーディングが宣言されていないページでは、文字化けを起こす事が多々にあります。

上記のような現状からも、現存するWebページを 如何に制作者の意図した通りに表示する事ができるか、といった観点で評価すると、Windows版のInternet Explorerには及ばない事になり、時にはGeckoで正しく表示できるページが Safariでは崩れて表示される事もあります(逆もまた然りではありますが)。

そしてこの件に関連して、一般のパソコンユーザーがMacを敬遠する大きな理由の一つとして、「Windows版のInternet Explorerを使用しないと閲覧できない(動作しない)ページが数多く存在する」という問題が顕在しますが、この点においてはSafariも例外ではありません。

公的な機関や金融関係を筆頭に、一部の資格試験の申し込みやブログの投稿、或いはActiveScriptが使用されているページや、Windows Mediaによるストリーミング等、閲覧する事ができないでは済まされず、「Macでは用が足りない」といった悲しい現実が存在する事も確かなのです。

しかしながら、上記のような現状の要因が一方的にMac OS X、或いはSfariの側にあるのかというと、決してそうとは言い切れない部分も多く、SafariやMozillaが提供するWebブラウザーは「W3C(World Wide Web Consortium)」が提唱しているWebの標準規格に準拠する形でレンダリングエンジンの開発が進められています。

近年において普及の進んでいるXML(注)、CSS(注)、或いはIDN(Internationalized Domain Name、国際化ドメイン名)等を積極的にサポートする等、掲げているコンセプトが正しい方向に向かっている事は確かでしょう。

しかしながら、惜しむらくは多くのWebデベロッパー(コーダー)、特に 時間とコストに追われる実務レベルでの製作者は、圧倒的なシェアを有するInternet Explorerでの表示、動作を重要視して開発を進めるケースが多く、そのInternet Explorerが 比較的に独自で閉鎖的な要素を多く実装している事が、前記のような非生産的な現状を生み出している要因として、大きな比重を占めている事は否定できません。

スタンドアロンである事の優位性

オペレーティングシステム標準の純正Webブラウザーという立ち位置で、Windows版のInternet Explorerと比較して語られる事が多々としてありますが、顕著な相違の一つとして「スタンドアロンである事」が挙げられます。

独立したアプリケーションの一つとして実装されていながら、オペレーティングシステムにおける機能の一つであるかの如くに Windowsと密接な関係を有するInternet Explorerは、通常のフォルダーウインドウから「Favorites(お気に入り)」の項目を選択する事によって、当該ウインドウがそのままWebブラウザーとして機能する辺りの利便性は非常に高いと言えます。しかしながら一方では、ブラウザーのセキュリティーホールが オペレーティングシステムに連動してしまうといった危険性も想定され、特にハッカーによるターゲットとして狙われ易く、セキュリティーホールと修正パッチの鼬ごっこが繰り返されている WindowsとInternet Explorerにおいては、非常にリスクの高い仕組みであると認識しています。

一方で今後の躍進が期待されるFirefox等は、Internet Explorerとの比較においても 安全性の高さがアピールポイントの一つとなっていますが、これもスタンドアロンであるが故の要素も多く、Safariの未来もスタンドアロンであり続ける事が重要な事であると考えております。

本文訳注

久しぶりに登場したApple純正のWebブラウザー

稀に、「Appleとして初の」といった形容を耳にする事もあるが、「Mac OS 7.5.5(System 7.5.5、漢字Talk 7.5.5)」の時代に「Cyberdog」と称される OpenDocコンポーネントのインターネットソフトウェアスイートが提供されていた。

XML

Extensible Markup Languageの略称。HTML(HyperText Markup Language)と同様のマークアップ言語で、SGML(Standard Generalized Markup Language)のサブセットの一つで同言語からの移行を目的として開発された。ユーザー独自のタグを定義する事を可能としており、データ交換を主用途とした汎用的なデータ形式として確立している。開始タグから終了タグの間で要素をネスト(入れ子)にする事ができる等、柔軟性の高い仕様を特徴とし、RSS(RDF Site Summary、Really Simple Syndication、Rich Site Summary)を配信する場合にも用いられている。

CSS

Cascading Style Sheetsの略称。Webページにカラムやフローティング等のレイアウト的な機能や、カラーやウェイト等の装飾的な要素を指定するための仕様で、W3C(World Wide Web Consortium)によって取り纏め、勧告が行われている。表現と構造の分離を推進する流れにおいて、デザイン的な要素を定義しており、ブログサービスのデザインテンプレートにおいても採用されている(htmlは、文章構造を定義する)。level 1(CSS1)は、1996年12月に勧告されている。

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