中国新聞特集記事よりの抜粋です
新聞記事を利用して芦田川のご案内です(3/3)
  
福山市は河口堰の放流を国に要請

--- '00/10/3 中国新聞 ---

 福山市は二日、芦田川河口堰(ぜき)に蓄えられた水を定期的に放流するよう、堰を管理する建設省に要請した。中国地方の一級河川で二十七年間ワースト一位を続けている芦田川の水質の改善が期待できるためで、建設省は過去の流量データを基に実現可能性を検 討していく考えを示した。福山市が河口堰からの放流を国に求めたのは初めて。

 同市水道局の小林清二工務部長が建設省福山工事事務所の広田豊副所長を訪ね、河口堰で同市が取水している工業用水が十分確保できることを前提に、一度にまとまった量の水を海側に流す「放流」を前向きに検討するよう求めた。建設省側は「芦田川の流量や水門の開閉状況など過去のデータを総合的に分析し、どういう放流形態が望ましいかシミュレーションする」と答えた。

 芦田川はもともと流量が少なく、河口堰は十門あるゲートを上下できるが、洪水を防ぐための全面開放はめったにない。中央の四門を底から約二十センチ上げる部分開放も増水時に限られ、少雨だった今年八月の場合、延べ三日間だけだった。普段は、貯水量を一定に保つ小型の流量調整ゲートを使う程度。水はよどみがちとなり、富栄養化など水質悪化を招きやすい。

 このため、一時的に水位を下げることになっても水の入れ替えを促進すべきだとして、福山市の三好章市長が九月の市議会定例会で、建設省に放流を働きかける意向を示していた。

 芦田川河口堰は工業用水の確保などを目的に一九七六年に完成し た。当初、日量十七万トンの工業用水を取水する計画だったが、需要は低迷し、昨年度はほぼ半分の同八万三千八百トンにとどまっている。堰からの適度な放流は、特に冬場には魚類の生育に必要な栄養分を海側にもたらすとして、近くの海域で操業する漁業者からも要望が出ている。

   

【写真説明】福山市が建設省に定期的な放流を要請した芦田川河口堰

芦田川の河口ぜき水質改善へ放流推進/福山市

--- '00/9/15 中国新聞 ---

 福山市の三好章市長は十四日、中国地方の一級河川で二十七年間ワースト一位を続けている芦田川の水質の改善策として、河口ぜきに蓄えられた水の定期的な放流について「条件が整えば可能」と述べ、せきを管理する建設省に前向きに働きかける考えを明らかにした。市会本会議で質問に答えた。

 三好市長は「貯水位、潮位、気象条件などが整えば放流は可能と聞いている。建設省と協議していきたい」と答弁。市が河口ぜきで取水している工業用水が十分確保できることを前提に、水質改善につながるとみられる放流を積極的に推進する方針を示した。

 芦田川河口ぜきは開閉式。管理する建設省福山工事事務所によると、貯水量を一定に保つため、通常は流量調整ゲートで少しずつ放流しているが、水量が多い時は十門ある主ゲートのうち中央の四門を川底から二十センチ程度開けて調整し、洪水の恐れがある時には十門を全開する。

 しかし、芦田川はもともと流量が少なく、今年に入って全開した日はない。四門を部分開閉した日数も八月末までで延べ六十一日にとどまり、水はよどみがち。八月下旬にはアオコが大量発生した。大腸菌群数もここ十年で九六年を除き、国の河川の環境基準を大幅に上回っている。

 一方、福山市は河口ぜきで日量八万三千八百トン(九九年度)の工業用水を取っている。経済活動の停滞により、河口ぜき建設時の計画取水量十七万トンのほぼ五割水準。ゲートを全開すれば塩分が交ざって工業用水として使えなくなるため、市は部分開閉で放流水量を増やす可能性について建設省と協議を進める方針である。

芦田川の生物じっくり観察

--- '00/9/3 中国新聞 ---

 水環境の大切さを学ぼうと、福山市柳津町の柳津小学校(表英輔校長、二百十人)の六年生が二日、福山、府中両市内で芦田川の水質や水生生物を調べた。

 福山フラワーライオンズクラブ(信岡恵子会長、五十四人)の主催で、三十三人の児童や教師、福山市環境保全課の職員たち約七十五人が参加した。

 同市御幸町中津原にある建設省の「芦田川見る視る館」で、川の下流や水道水などの水質を、汚濁度を示す化学的酸素要求量(COD)で比べ、生活排水が水質汚染の一因になっていることを学んだ。

 この後、府中市土生町の芦田川中流に移動し、石の裏や砂の中に生息する昆虫などを観察。カワニナやスジエビなどを採集した。福山市柳津町、鎌倉三輝君(11)は「思ったより汚いことが分かった。台所から油などを流さないよう家族で気を付けたい」と話していた。

【写真説明】芦田川中流に生息する昆虫などを観察する福山市柳津小の児童たち(府中市土生町)

芦田川河口湖のアオコ回収作業始まる

--- '00/8/29 中国新聞 ---

 芦田川河口湖でアオコが異常発生している問題で、建設省福山工事事務所は二十八日、専用船でアオコの回収作業を始めた。湖面の浄化が進むまで、二十九日以降も続ける方針。

 この日は、河口堰(ぜき)から上流約百メートル付近の護岸沿いなどを緑色に染めてアオコが発生。作業は、専用船を使ってアオコを水ごとポンプで吸い込み、一九九四年に陸に設置した専用処理場でろ過していった。一日六時間、百二十トンの水を浄化する予定で、アオコは一時保管した後、焼却処理する。アオコの回収作業は一九九四、九六年に続き四年ぶり三回目。

 建設省芦田川河口堰管理支所によると、猛暑のため河口湖の日中の水温は三〇度近くなるなど平年より約二度高め。降水量も少なく、上流からの流入量も毎秒二・四トンと通常の半分以下になって水の富栄養化が進んだため、アオコが大量に発生したらしい。

【写真説明】芦田川河口湖のアオコ回収作業する専用船

猛暑…芦田川河口湖に大量アオコ

--- '00/8/25 中国新聞 ---

 夏場の好天続きで、河口ぜきでせき止められた芦田川河口湖の水質悪化が急速に進んでいる。二十三、二十四日と連続して大量のアオコが発生。水面は緑色の膜で覆われ、一部で悪臭も漂い始めた。水中の大腸菌群数も、国が定める環境基準値を大幅に超える状態が続いている。中国地方で二十七年連続水質ワーストワンの芦田川の水質改善策が、あらためて問われそうだ。

 二十四日の午前中、緑色のアオコが河口ぜき沿いに幅約四百五十メートル、長さ約五メートルの水面を覆った。二十三日よりやや量は少ないが、すえたようなにおいがする。アオコは大量発生すると、魚が窒息死し、プランクトンの死がいが水質をさらに悪化させるという。

 水質悪化の原因は、好天続きによる降水量の減少と水温の上昇とみられる。福山測候所によると、七月十日から真夏日(気温三〇度以上)が四十六日間続き、記録的な大渇水となった一九九四年の四十八日間に迫る勢い。福山市の七月の雨量は七三・五ミリと昨年 (一六七・五ミリ)の四三・九%。八月は二十三日現在、一四・五ミリと昨年同期(一二四・五ミリ)の一一・六%しかない。

 アオコの大量発生は一九九四年八月、九六年八月にもあり、いずれも建設省福山工事事務所が回収している。

 また、同事務所によると、河口湖(水呑橋付近)の大腸菌群数は、ここ十年で九六年を除き、国の河川の環境基準(百ミリリットル中の最確数五千個)、水浴場水質判定基準(適は同千個以下)を大幅に 上回っている。大腸菌群自体に病原性はないが、し尿による汚染を受けている可能性が高く、サルモネラ菌などにで汚染されている可能性もあるという。

 夏休み中でもあり、河口湖でボートやウインドサーフィンなどのレジャーを楽しむ人も少なくない。同工事事務所河口堰管理支所の吉村卓志支所長は「水質がかなり悪化しているので、十分気をつけてほしい」と注意を呼び掛けている。

  

【写真説明】芦田川の河口ぜき付近の水面を覆ったアオコ
一級河川水質、芦田川が中国地方のワースト1

--- '00/8/3 中国新聞 ---

 中国地方を流れる一級河川の水質は昨年、十三河川のうち九河川で前年より悪化したことが、中国地方建設局の調査で分かった。福山市など広島県東部を流れる芦田川は二十七年連続で中国地方ワースト一位、全国でも七番目の汚濁度だった。

 調査は、支流や湖沼を含む十三水系の計百十地点で実施。有機物による汚濁度を示す生物化学的酸素要求量(BOD)や化学的酸素要求量(COD)などを最低毎月一回、調べた。

 本流で最もきれいだったのは佐波川(山口県)。次いで日野川(鳥取県)、天神川(同)、旭川(岡山県)、高津川(島根県)の順だった。

 芦田川は、とりわけ河口付近の汚濁が著しく進行している。汚濁に強いコイ、フナ類の生息限度とされるBOD一リットル当たり五・〇ミリ グラムを上回る地点もあり、平均は二・五六ミリグラム。中国地方の十三河川で最悪、全国百六十八河川でもワースト七位だった。

 前年との比較では、九河川で水質が悪化した。吉井川(岡山県 )、千代川(鳥取県)、斐伊川(島根県)、芦田川などの悪化が目立つ。水質が改善したのは天神川、小瀬川(広島・山口県)、高梁川(岡山県)。日野川は前年と同じ数値だった。

 河川の調査地点八十カ所のうち、BODが環境基準を達成していたのは八三%の六十六カ所。前年の八九%に比べ六ポイント減り、全般的に悪化傾向を示した。達成率は、雨不足で川の水量が低下した一九九四年以来、毎年改善してきていたが、五年ぶりに前年を割り込んだ。

 水質悪化の原因について中国地建河川部は「生活排水が河川に流れ込む量が依然多いうえ、昨年は雨不足で水量が前年より少なかったため」とみている。

 このほか、佐波川水系の島地川ダムでヒ素が一リットル当たり〇・〇一八ミリグラム検出され、環境基準(〇・〇一ミリグラム)を上回った。検出は湖底水に限られ、地殼からの溶出とみられる。河川部は「川に流れ出るのはダムの上・中層の水なので、人体に影響はない」としている。


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