次世代携帯電話

2000/9/20

    「ネットにつながる次世代携帯電話」等の宣伝文句で携帯電話会社、電気・電子 (IT)関連会社は急成長することに期待を掛け、又政府、行政、マスコミも景気 対策の切り札として、力を入れて宣伝している。

 「インターネットにアクセスしカラー表示できる。」「iモード経由でゲームの 対戦が出来る。」「EC(電子商取引)であらゆるチケットが買える。」「小さい物から、大きい 物まで購入できる。」 これらをまともに使いこなせば、いくら金があっても足りない。
  元々携帯電話は、在来型有線電話に較べ、設備費、通話料が高かった。 しかし、仕事等で使うときの費用対効果を考えた時、非常に有効な使い方が出来 た。出先で緊急を要するとき、行き違いになって緊急に連絡しなければならない 時には、トランシーバーのように威力を発揮する。

  これを遊びで使えば、更に楽しい機会が増え、遊びの発展性が出る。デートですれ違いの心配はない。従って、青少年の遊び道具として、今や重要なツールと なってきた。 この利用するための費用負担を、生計を立てるために働く気構え、即ち自分の甲 斐性で、自分の実力の範囲内で使うのは一向に構わない。 しかし、携帯電話の利用者層は、すねかじり族、パラサイトシングル族等の割合 が最近急増している。この割合を電話会社は公表しない。
  これらの層でまだ持っ ていない人も、「もう友達はみんな持っている」と言って親を攻撃し、時には暴 力を振るい、勝ち取っていく。親は多勢に無勢になる。
  携帯電話という便利な手段がなかった従来は「何時にどこで出会う」と予め約束して出会うという、計画性を持って行動していた。最近は思いついた時に携帯電話で連絡して出会う傾向があり、行き当たりばったりの若者が増える傾向がある。
親が強いのは本当に金が無く、無い袖は振れない家庭だけだ。
   かってのテレビゲーム機でも同じような現象が起きていたが、テレビゲームは初 期費用だけで、利用、使用に長時間没頭しても、色々な問題点は発生しても、費 用は殆ど発生しなかった。
   携帯電話は、初期費用よりも、利用料、通話料等の請求書が相当掛かり、時には非常識な額になることさえある。これらは全て親元に行き、本人は知らぬ顔で ある。
  料金を気にしながら使うと言う常識の枠から外れた状態で使われる事を見 越して、メーカーは射幸心を煽り宣伝する。 電話の通話だけでも従来の有線電話に較べて高価であるのに、出会いサイトを利用したり、インターネットに アクセスし画像を取り込んだり、音楽を聴いたり、iモード経由でゲームの対戦 をしたりすれば、通話接続時間が驚異的に増加し、料金は跳ね上がることにな る。 携帯電話に関わるIT産業が急激に伸び、日本の景気対策の牽引車になっている と思っている人が多い。その裏で、前に述べたように、非常に不条理な状態で、 金を払わされている層が居ることを忘れてはならない。しかも携帯電話で潤う会社は、世の中の会社の何万分の一にもならない。
  日本の国自体、景気対策の大義名分と称し、赤字国債を乱発し、借金を膨らまし 続けている、政治・官僚・経済界がある。自分の懐に関係がないので分かっていてもやってしまう。
  一般家庭の台所経済で、返済が難しい状態でどんどん借金を積み重ねることは常識的には出来ない。
次世代携帯電話は、次世代の若者の経済観念を狂わせる恐れがあり、親は安易に 消費に走る余裕が無くなる恐れが出てくる。公共の過剰なPRで、射幸心があお られた若者は、自ら働かなくても、次世代携帯電話を自由に使え、楽しくやって いける世の中がやってきたと錯覚するかも知れない。自由とは何と良いことかと履き違えることになる!! 自由と表裏一体の関係にある「責任」「義務」と云うことを知らない人が自由だけを謳歌する。
   次世代携帯電話で利益を受ける企業はほんの一部でしかない。日本の将来を期待 する健全な若者が育つ事を期待しているのに、小中学生まで路上で携帯電話で話 ながら歩いている将来の姿を想像し、今の内に思い切った対策、行政処置を講ずるべきだと思う。