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夜のタンゴ

訳詞 門田ゆたか
1.小夜更けて	懐かしのタンゴ
  遠く響けば	胸は躍る
  若き日の	わが喜びの
  夢を偲びて	狂うばかり
  時は流れ	花の色香の
  移ろうときも	甘き香り
  永久(とこしえ)に	変わらぬ夢を
  風に乗せくる	夜の調べ
2.紫の	夜のみ空に
  星が	囁き交わす所よ
  遥かなる	わが憧れの
  夢は	清(さや)かな月の如く
  闇を照らし	今もむかしも
  心に陰る	雲を晴らす
  夢のように	うたかたならぬ
  夢を乗せ来る	夜のタンゴ
1937年(昭和12年)

 「碧空」と並ぶドイツ・タンゴの代表作。1937年(昭和12年)のドイツ映画「夜のタンゴ」の主題歌。作詞 Hans Fritz Beckmann、作曲 Hans Otto Borgmann 。
 この歌そのもののタイトルは「Ich hab' an dich gedacht(私はあなたのことをおもっていた)」だが、一般には映画の題名と同じ「夜のタンゴ」という名で親しまれている。
 映画は、夫の誤解を受けて家を出た女性が夜の女に転落してしまい、やがて夫の元に戻ったものの、悩み抜いた末に自殺してしまう、という悲惨なストーリー。主演女優のポーラ・ネグリが独特のフィーリングでこの歌を歌い、大ヒットした。
 メランコリックな美しさをたたえた佳曲であると同時に、往年のタンゴ・ファンにとっては、青春の想い出に繋がる一曲なのではなかろうか?