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十九の春
作詞  西條  八十
作曲  江口  夜詩
唄 ミス・コロンビア
1.流す涙も 輝き満ちし
  哀れ十九の 春よ春
  菫(すみれ)摘みつつ 散る白露に
  泣きし十九の 春よ春

2.君は優しく 涙は甘く
  歌を歌えば 花散りぬ
  乙女振袖 行く白雲も
  我を眺めて 流れ行く
3.我が世淋しと 嘆くな小鳥
  春は又来る 花も咲く
  愛の光に 夜はほのぼのと
  明けて十九の 春よ春





1933年(昭和 8年)

「十九の春」といえば、戦後派の人たちにとっては当然、映画「ナビィの恋」のテーマソングといえる沖縄民謡(島歌)の「十九の春」(わたしがあなたに惚れたのは、ちょうど十九の春でした・・・・)であろうと思うが、私のような戦前派にとっては「十九の春」はこの歌しかない。

この歌を歌ったミス・コロンビアは小樽出身。青山学院を経て、東京音楽学校を卒業後、昭和8年、コロムビアから覆面歌手ミス・コロムビアの名でデビュー。同年「十九の春」、9年「並木の雨」とヒットを続けた。元々、流行歌の吹き込みには前向きでなかったそうだが、相次ぐヒットは彼女を不動のスター歌手の座に押し上げた。松竹映画「愛染かつら」の主題歌「旅の夜風」を昭和13年霧島昇とのデュエットで吹き込み、翌14年、霧島昇と結婚。

おしどり夫婦として知られた二人は公私にわたって仲睦まじく、結婚を機に本名の松原操に改名してからも一緒に歌手活動を続けたが、戦後まもなく、「三百六十五夜」を最後に引退した。育児への専念のために、その後は二度とステージに戻る事はなかった。霧島の四十九日の一週間後に、後を追うようにして他界した。