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新興・入江プロ映画「貞操問答」主題歌
白い椿の唄
作詞 佐藤惣之助
作曲 古賀 政男
唄  楠木 繁夫
1.雪もかがやけ 青春の
  花は涙の おくりもの
  風にさびしく 泣きぬれし
  あわれ乙女の 白つばき

2.宵の酒場に 咲く花は
  燃えてほのぼの 誰を待つ
  ながき睫毛の 横顔も
  夢にやつれし 白つばき 
3.呼べど返らぬ 面影は
  きえてはるかな 山の上
  月にささげて ひとり泣く
  あわれ涙の 白つばき 






1930年(昭和10年)


古賀政男の作曲家人生におけるこの唄の位置づけ
 ・・・昭和十年に入ると、いよいよ、古賀政男はヒット量産体制にはいる。昭和十年二月十五日、古賀・楠木コンビの最初の大ヒット曲《白い椿の唄》が発売された。楠木繁夫は<雪もかがやけ 青春の 花は涙のおくりもの>と感傷的な哀愁を切実に歌っている。菊池寛の小説『貞操問答』が入江プロ、新興キネマによって映画化され、その主題歌が古賀に依頼されたのだった。古賀が早くから映画とタイアップした作品を考えていたのでまさに渡りに船という感じがした。 この頃の映画主題歌は、大正後期の映画小唄や昭和初期の映画と流行歌の関係とは異なっていた。つまり、主題歌だけではなく映画の音楽録音をすべて行う「コンビナート作戦」の始まりである。それは、映画のシーンのなかに流して効果をあげるというふうにストーリーの流れと場面にあわせて主題歌をアレンジしながら挿入しテーマとなる旋律をリフレーンさせることによって効果をあげ、歌の宣伝にもなった。したがって、映画の企画の段階からレコード会社と提携し映画のなかにレコード会社の作る歌を映画のなかに挿入してもらうかわりに、映画の音楽録音はすべて無報酬でレコード会社が手伝うという方式がはじまったのである。この方法を最初に行ったのがテイチク時代の古賀政男であった。・・・
《古賀政男と明治大学マンドリン倶楽部(http://www5e.biglobe.ne.jp/~spkmas/sub11.html)による》