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 亡き母の数少ない愛唱歌の一つで、私には忘れ得ないもの。



小雨の丘

作詞 サトウ・ハチロー
作曲 服 部  良 一
唄  小 夜  福 子
1.雨が静かに降る	日暮れの町外れ
  そぼ降る小雨に	濡れ行くわが胸
  夢のような小糠雨	亡き母の囁き
  独り聞く独り聞く	寂しき胸に

  (台詞)
  『ああ お母さん あなたが死んで三年
	私は この雨にあなたを想う
   雨 雨 泣き濡れる 雨
	木の葉も草も そして私も』
2.辛いこの世の雨	悲しき黄昏よ
  そぼ降る小雨に	浮かぶは思い出
  移り行く日を数え	亡き母を偲べば
  灯火が灯火が	彼方の丘に

3.丘に静かに降る	今宵の寂しさよ
  そぼ降る小雨に	心の涙よ
  ただ独り佇めば	亡き母の面影
  雨の中雨の中	けむりて浮かぶ

1940年(昭和15年)


小夜福子(1909-1989)
 沼津出身。宝塚少女歌劇団を経て、昭和15年、「小雨の丘」でヒットを出すが、結婚し引退。18年にカムバック。 戦後は民芸の女優として活躍。1957年には日活映画「嵐を呼ぶ男」で石原裕次郎が演じるドラマー国分正一の母親貞代役を演じている。 63年の舞台を最後に、芸能活動から引退。( http://www.geocities.co.jp/Bookend/1100/music/singer1/a03.htmlによる)

 NHK紅白歌合戦は昭和26年1月3日に第1回が開催されたが、それより以前、敗戦の年の昭和20年12月31日に 開催された「紅白音楽試合」がそのルーツと言えるかもしれない。「小雨の丘」はその時の紅組の演目に入っており、 小夜福子自身が出演している。参考までに当時の紅白の演目などは次の通り。
(http://www.smart-set-friendly.com/enkadayo/kouhaku2.htmlによる)
紅白音楽試合
『総合司会:田辺正晴』
紅組:出演者『演目』    司会:水の江滝子

芦原邦子『すみれの花咲く頃』、
市丸『天竜下れば』、
川崎弘子『六段の調べ:琴』、
川田正子『汽車ポッポ』、
近藤泉『ユーモレスク(ヴァイオリン)』、
小夜福子『小雨の丘』、
長門美保『松島音頭』、
並木路子『リンゴの唄』、
比留間絹子四重奏団『サンタルチア(マンドリン)』、
二葉あき子『古き花園』、
松島詩子『マロニエの木蔭』、
松田トシ『村の娘』、
松原操『悲しき子守唄』 
白組:出演者『演目』    司会:古川ロッパ  

加賀美一郎『ペチカ』、
霧島昇『旅の夜風』、
楠木繁夫『緑の地平線』、
桜井潔楽団『長崎物語』、
下八川圭祐『ヴォルガの舟歌』、
波岡惣一郎『(曲目不明)』、
平岡養一『峠の我が家(木琴)』、
福田蘭童『(曲目不詳)(尺八)』、
藤原義江『出船の港』、
松平晃『花言葉の唄』、
柳屋三亀松『新内流し』、
二組不明