波浮(はぶ)の港


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波浮(はぶ)の港
作詞 野口 雨情
作曲 中山 晋平
唄  藤原 義江
   佐藤千夜子
1.磯の鵜(う)の鳥ゃ 日暮れにゃかえる
  波浮の港にゃ 夕焼け小焼け
  あすのひよりは
  ヤレホンニサ なぎるやら

2 船もせかれりゃ 出船のしたく
  島の娘たちゃ 御神火(ごじんか)ぐらし
  なじょな心で
  ヤレホンニサ いるのやら
 3 島で暮らすにゃ とぼしゅうてならぬ
  伊豆の伊東とは 郵便だより
  下田港(しもだみなと)とは
  ヤレホンニサ 風だより

4 風は潮風 御神火おろし
  島の娘たちゃ 出船のときにゃ
  船のともづな
  ヤレホンニサ 泣いて解く
1928年(昭和 3年)


 大正13年の春、雑誌「婦人世界」の編集者が一枚の絵はがきを持参して雨情を訪ね、「この写真を雑誌の巻頭にしたいから、それにふさわしい詞を作って欲しい」という依頼で出来たものだという。2番までしかなかったが、レコード化する際に3番以下を追加した。なお、ヤレホンニサの囃子言葉は中山晋平が入れた。

 波浮の港は、火口の跡に水がたまった火口湖であったが、のちに大津波で海とつながり、湾となったもの。野口雨情は、大島に行ったことがなく、故郷・北茨城の平潟港から想を得て書いたものといわれ、そのため実際とは異なる点がいくつかあるという。たとえば、大島に鵜はいないし、「なじょな」は大島弁ではなく、「どんな」の意の北茨城弁だそうだ。波浮の港は東を向いているので、「夕焼け小焼け」はおかしいという人もいるが、夕陽は見えなくても、空一面に夕焼けしたようなときには見えることもあるので、かならずしもまちがいとはいえないだろう。

 御神火は、火山を神聖なものとしてあがめ、その噴火を表現したもの。
【二木紘三のMIDI歌声喫茶(http://www5f.biglobe.ne.jp/~futakoz/versoj/v-senzenkayou/habunominato.htm)などによる。】