愛国行進曲


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 この曲は昭和12年に支那事変勃発後、内閣情報局が『国体観念を高調し士気を昂揚、威厳、力ある 「愛国行進曲」新作』を計画し 一般国民から作詞と作曲を公募してできたもの。まず歌詞を公募したところ57,578編が寄せられ、このなかから鳥取県の23歳の青年森川幸男の応募作が選ばれた。ついで、この歌詞にもとずいて曲を公募したところ、寄せられた9,555の応募作の中に、なんと退役海軍軍楽長 瀬戸口藤吉翁の作品があった。このとき翁は齢70、病床で作曲されたそうである。結局翁の作品が選ばれ、「軍艦行進曲」と並ぶ名行進曲が誕生した。レコードは6社から発売され、当時としては空前の100万枚を売り切った。
 歌詞の補作に当たった佐々木信綱と北原白秋の意見が衝突し、以後死別するまで一切口をきかなかったというエピソードもある。
【天翔艦隊(http://www.d1.dion.ne.jp/~j_kihira/band/midi/aikokuko.html)および 昭和の軍歌(http://www7.ocn.ne.jp/~gunka/showa.htmlによる)】



愛国行進曲
作詞     森川 幸雄
作曲     瀬戸口藤吉
歌  徳山 l、灰田勝彦
   四家文子、中村淑子
1.(男)
  見よ東海の空あけて 
  旭日(きょくじつ)高く輝けば 
  天地の正気(せいき)溌剌(はつらつ)と 
  希望は躍る大八洲(おおやしま)  
  おお晴朗の朝雲に 
  (女)
  聳(そび)ゆる富士の姿こそ 
  金甌(きんおう)無欠揺るぎなき 
  わが日本の誇りなれ 
2.(男) 
  起(た)て一系の大君(おおきみ)を 
  光と永久(とわ)に戴(いただき)きて 
  臣民われら皆共に 
  御稜威(みいつ)に副(そ)わん大使命 

  往(ゆ)け八紘(はっこう)を宇(いえ)となし 
  四海(しかい)の人を導きて 
  正しき平和うち建てん 
  理想は花と咲き薫る 

	(演  奏)  

3.(男) 
  いま幾度かわが上に 
  試練の嵐哮(たけ)るとも 
  断固と守れその正義 
  進まん道は一つのみ 
  (女)
  ああ悠遠の神代(かみよ)より 
  (男女)
  轟(とどろく)く歩調うけつぎて 
  大行進の行く彼方 
  皇国つねに栄えあれ 
1937年(昭和12年)


(用語参考)
「正気」:天地に漲っていると考えられている至公・至大・至正な天地の気
「大八洲」:日本国の古称
「金甌無欠」:傷一つ無い金の瓶のように、完全で欠点のないこと。特に、国家が独立強固で、外国の侵略を受けたことがないこと。
「御稜威」:「稜威」の尊敬語。天皇・神などの威光。
「八紘」:四方と四隅、転じて天下。全世界。「八紘一宇」は世界を一つの家とすること。太平洋戦争期、わが国の海外進出を正当化する為に用いた標語