作詞者の勝田香月(明治32年(1899)−昭和41年(1966))は静岡県沼津町(現在は市)の出身。19歳の時の大正7年(1918)、石川啄木を慕って北国に憧れた旅の途中、たまたま訪れた秋田の能代港で粉雪舞う港の情景に郷愁を覚え、大館市のわびしい宿で詩想を練ってこの詩を完成したという。詩集『心のほころび』所収。 作曲者の杉山長谷夫(明治22年(1889年)−昭和27年(1952年))はバイオリニスト、愛知県出身。「出船」の他にも勝田香月の詞に曲を付けたものは少なくない。「出船」を作ったのは大正11年(1922)の夏。「花嫁人形」(蕗谷虹児詞)、「ねんねのお里」(中村雨紅詞)など童謡も多く作曲した。なお、藤原義江の「出船」のレコードが出されたのは昭和3年(1928)。 【(http://www5f.biglobe.ne.jp/~futakoz/versoj/v-senzenkayou/defune.htm)(http://www.d-score.com/ar/A04062802.html)などによる。】 |
出 船
作詞 勝田 香月 作曲 杉山長谷夫 唄 藤原 義江 1.今宵(こよい)出船(でふね)か お名残惜しや 暗い波間に 雪が散る 船は見えねど 別れの小唄に 沖じゃ千鳥も 泣くぞいな 2.今鳴る汽笛は 出船の合図 無事で着いたら 便りをくりゃれ 暗いさみしい 灯影(ほかげ)の下(もと)で 涙ながらに 読もうもの
1928年(昭和 3年)
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