日本で最も有名なアルゼンチン出身の歌手といえばやはりグラシェラ・スサーナだろう。「天使の歌声」と賞賛され《アドロ》《サバの女王》が大ヒットした(1972)。それで「サバ」の女王」という言葉が日本では定着した感があるが、ポール・モーリアのレコードでは「シバの女王」とあった記憶がある。 英語読みでSheba(シバ)、フランス語読みでSaba(サバ)ではないだろうか。というわけで、どちらでも良いようにおもわれる。 でもグラシェラ・スサーナの歌の場合は、やはり「サバの女王」か。 【蛇足】 シバの女王はシバ王国の支配者で、ソロモンの知恵を噂で伝え聞き、自身の抱える悩みを解決するために遠方の国家からエルサレムのソロモン王の元を訪れたとされる。その来訪には大勢の随員を伴い、大量の金や宝石、乳香などの香料、白檀などを寄贈したとされる。新約聖書ではこの名での言及は無いが、代わりに「地の果て」からやって来た南の女王(Queen of the South)と表現される。 その統治期間はソロモン王とほぼ同時期の紀元前10世紀頃と推定される。シバ王国の所在については有力視される2つの説があり、エチオピア説によればその名をマケダと呼び、イエメン説によればビルキスと呼ぶ。ただし、両説ともこれを裏付ける考古学的発見は未だ皆無である。 |