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 モーツアルトと同じ時代に生きていた作曲家・フリースの子守歌であるが、「モーツアルトの子守歌」とも言う。

 訳詞の第3番の第3節と4節の部分が異なる歌詞もある。*( )で参考までに表示しているが、これは「世界名歌110曲集①」(全音楽譜出版社刊)に収録されている。なお、インターネットで次のような記事も見付かった。【「N.TONOSAKI'S PERSONAL STATION---- 「4月初旬の風物詩」(http://www.asahi-net.or.jp/~FV6N-TNSK/say/sakura.html)】
	今にも咲きそうな桜の木のそばで、モーツアルトの子守歌を繰り返し流すと開花の遅れが顕著に見られた
        とのことです。ブラームスの子守歌でもほぼ同様の効果であったとのこと。また逆に、ビバルディの四季
        の「春」を聞かせたところ、とたんに成長し一気に開花したという報告もあるそうです。

モーツァルトの子守歌(フリースの子守歌)
(Wiegenlied)
作詞  F. W. Gotter
訳詞      堀内敬三
作曲 Bernhard Flies
1.ねむれよい子よ 庭や牧場に
  鳥もひつじも みんなねむれば
  月はまどから 銀の光を
  そそぐ この夜
  ねむれよい子よ ねむれや





2.家の内外 音はしずまり
  たなのねずみも みんなねむれば
  奥のへやから 声のひそかに
  ひびくばかりよ
  ねむれよい子よ ねむれや





3.いつも楽しい しあわせな子よ
  おもちゃいろいろ あまいお菓子(かし)も
  みんなそなたの めざめ待つゆえ
  夢にこよいを
	*(みんなそろって 朝を待つゆえ)
	*(夢に今宵も)
  ねむれよい子よ ねむれや


1. Schlafe, mein Prinzchen, schlaf ein,
   es ruhn Schäfchen und Vögelein,
   Garten und Wiese verstummt,
   auch nicht ein Bienchen mehr summt,
   Luna mit silbernem Schein
   gucket zum Fenster herein,
   schlafe bei silbernem Schein,
   schlafe, mein Prinzchen, schlaf ein!
     
2.Alles im Schlosse schon liegt,
  alles in Schlummer gewiegt,
  reget kein Mäuschen sich mehr,
  Keller und Küche sind leer,
  nur in der Zofe Gemach
  tönet ein schmachtendes Ach!
  Was für ein Ach mag dies sein?
  Schlafe, mein Prinzchen, schlaf ein.
     
3.Wer ist beglückter als du?
  Nichts als Vergnügen und Ruh!
  Spielwerk und Zucker vollauf,
  und noch Karossen im Lauf,
  alles besorgt und bereit,
  daß nur mein Prinzchen nicht schreit.
  Was wird da künftig erst sein?
  Schlafe, mein Prinzchen, schlaf ein.

作詞:1795年、作曲:1796年頃
 モーツアルトは約800曲の作品を残して1791年12月5日に35歳の若さで死んだ。モーツアルトの遺品のなかに他人の曲も混じっていたらしく、例えば有名なモーツアルトの子守歌(K350)の例がそうである。
 この曲は、「モーツァルトの子守歌」として、長いこと親しまれてきたが、20世紀になってから、ハンブルクの図書館でBernhard Flies(1770-?)の初版譜が発見され今ではモーツアルトと同じ時代に生きていた作曲家・フリースという人物が作曲したものであると断定されている。
【モーツァルトの子守歌(http://ww4.enjoy.ne.jp/~aqua98/lullaby/mzrtlul.htm)】および【モーツアルトとX線(http://www.spring8.or.jp/j/user_info/sp8-info/data/2-2-97/2-2-97-6-p37.pdf)】による