ジョスランの子守歌


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 19世紀後半に活躍したフランスの作曲家Benjamin Louis Paul Godard(1849〜1895)が作曲した歌劇「ジョスラン(Jocelyn)」の中で歌われるアリアの一つ。原題は「この隠れ家に隠れて」という。美しく感傷的なメロディーは乙女心を心地よく揺さぶったようで、戦前は代表的な女学生愛唱歌であった。

 訳詞者 近藤朔風(1880〜1915)は詩人。本名は逸五郎。兵庫県出身。東京外語で独英伊語を学び、のち東京音楽学校選科で声楽を研究。(http://www.cnetta.ne.jp/p/pddlib/biography/kota.htmによる。)
 彼には、このほか「野バラ」「菩提樹」「ローレライ」「たゆとう小舟」「モーツアルトの子守歌」など多くの歌曲の訳詞があり、いまだに愛好されている。これら歌曲の発表年度は明治42年(1909)に集中しているが、「ジョスランの子守歌」の発表年は残念ながら確認できなかった。

ジョスランの子守歌


訳詞  近藤  朔風
作曲  B.L.P.Godard
1.むごきさだめ 身に天降(あも)りて
  汝(なれ)と眠る のろわれの夜
  胸のうれい ゆめに忘れん
  祈らばや ゆらぐ星のもと

	夢のまきまきに あこがれよ み空へ
	眠れいとし子よ 眠れ今は小夜中(さよなか)
	あゝ夢ぞいのち マリアよ守りませ
2.愛のつばさに おおわれつ
  わが来し方(こしかた) かえりみれば
  流れたゆとう 波にも似たり
  あわれいく日(ひ) 祈りに泣きぬ

	夢のまきまきに あこがれよ み空へ
	眠れいとし子よ 眠れ今は小夜中
	あゝ夢ぞいのち マリアよ守りませ
1909年(明治42年)