作詞・作曲 さだまさし 唄 グレープ |
1.去年のあなたの 思い出が テープレコーダーから こぼれています あなたのためにお友達も 集まってくれました 二人でこさえた お揃いの 浴衣も今夜は 一人で着ます 線香花火が見えますか 空の上から 約束通りに あなたの愛した レコードも一緒に 流しましょう そしてあなたの舟のあとを ついてゆきましょう 私の小さな 弟が 何にも知らずに はしゃぎ廻って 精霊流しが華やかに 始まるのです |
2.あの頃あなたが つま弾いた ギターを私が 奏いて見ました いつの間に錆びついた糸で 薬指を切りました あなたの愛した 母さんの 今夜の着物は 浅黄色 僅かの間に年老いて 寂しそうです 約束通りに あなたの嫌いな 涙は見せずに 過ごしましょう そして黙って舟のあとを ついてゆきましょう 人ごみの中を 縫う様に 静かに時間が 通り過ぎます あなたとわたしの人生を かばうみたいに |
1974年(昭和49年) |
昭和49年、フォーク・グループの「グレープ」の一員としてさだまさしが歌い、爆発的人気を呼んだが、この歌は彼が兄弟のように仲が良かった一つ年上のいとこへの追悼歌でもあった。47年の夏、さだまさしが19歳の時、長崎市に近い海水浴場で、ガールフレンドとボート遊びをしていて潮に流されたオールを泳いで取ろうとして、心臓麻痺を起こして死ぬという痛ましい事件が起きた。この事件の思い出を下敷きにしたものと言われている。長崎の精霊流しは、観光行事としても殊の外有名である。 |