法明寺鬼子母神堂     

豊島区雑司が谷  



 法明寺などと言うより「雑司が谷の鬼子母神」として有名で、法明寺の本堂は北に少し離れ

た場所にあり、その境外仏堂となっています。鬼子母神堂は同じ重要文化財の根津権現や上野

東照宮と同様の権現造りの建物なので、当初は神社として建てられていた事を窺わせます。し

かし本尊の鬼子母神は仏教を守護する神様なので、明治の神仏分離の時に寺院として残ったよ

うです。なお権現造りというのは、拝殿、相の間、本殿と三つの部分に分かれた建物が一つに

接続された神社建築の様式です。



     鬼子母神堂


 正面の建物は拝殿で、元禄13

年(1700)に建立され、建立

時期が明らかな事が重文指定の拠

り所にもなったようです。一方、

この日も女性の参拝者が多かった

のですが、前面が開放的な吹き放

しになっている事からも、先に挙

げた神社と違って庶民の信仰を集

めていた事を窺わせます。





     扁  額


 鬼子母神は釈迦に諭されて改心

した良い鬼なので、頭の角が無い

とされ「鬼」の字には上部の点が

ありません。そして安産育児の神

様として、左手に子供を、右手に

はザクロを持つ事にちなみ、境内

左手には数本のザクロの木が植え

られ秋には赤い実を成らせます。





     本  殿


 鬼子母神堂の裏手に回ると本殿

が見られます。建物の装飾性では

人目につく拝殿の方が綺麗ですが

築年はこの本殿の方が古く、寛文

4年(1664)に広島藩浅野家

の正室により寄進されました。





     妙 見 宮


 さらに本殿と背中合わせに天明

8年(1788)の建立で、重文

に附指定されている妙見宮が奉ら

れています。妙見宮は北極星を表

す菩薩とされるのですが、仏様と

言うより神様の扱いで寺院なのに

一間社流れ造りの社建築で、また

前面には鳥居も建って、かつての

神仏混合の名残が見られます。





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