永 林 寺

八王子市下柚木 



 大規模な造成で宅地化の著しい多摩丘陵を背にして建つ古刹で、天文元年(1532)多摩

地域を領していた大石定久により永鱗寺が創建されました。その後、八王子城主北条氏照によ

り七堂伽藍が建立され、北条が滅び徳川氏が関東に入府すると、家康から寺領十石と高い格式

を与えられました。この時から永林寺と改称したのですが、元の「鱗」の文字は北条氏の家紋

「三つ鱗」に通じるので徳川家に気を使い「林」の文字に改めたようです。




     総  門


 宝暦元年(1758)に再建

されたもので、朱色の門は徳川

家より公家格式十万石を認めら

れた寺院のみが建てることを許

されました。






     三  門


 当初の門は総門などと同様に

一度焼失しているので、寛文9

年(1669)に再建されたも

のです。正式には三解脱門と称

します。






     中 雀 門


 本堂へ向かう最後の門で当初

は唐破風屋根なのですが、数度

の焼失倒壊を経て、現在の門は

横浜東漸寺より移築されたもの

です。本来なら天寧寺のように

両側の伽藍と回廊で結ばれてい

たものと思われます。






    本 堂(法 堂)


 間口11間の大きな伽藍で三

門などと同様に寛文9年の再建

です。右手の庫裏は(昭和の建

物)中庭を囲むように建ってい

るので、左手に座禅堂があれば

整った伽藍配置になるのですが

現在は豊川殿が建っています。






    柚 木 城 址


 柚木城は多摩地域から狭山丘

陵にかけてを支配した大石定久

の館でした。本堂裏の山の中腹

に城址の石碑が建っていますが

永林寺の境内は正面以外の三方

を丘陵に囲まれた袋状の谷戸に

なっているので、この境内一帯

が城域だったようです。





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