田 中 家 長 屋 門

杉並区下井草   




  田中家長屋門は二階建造り出格子附きの重厚な武家長屋門です。しかし江戸時代の田中家は

 村役人ではありましたが、武家ではなく農家でした。その田中家にどうしてこれほどの武家長

 屋門があるのかは、この地の領主が今川家だったことに関係がありそうです。今川家は駿河の

 国の守護大名だった今川義元の血を引く名家で、儀礼などを司る高家という家柄だった為に、

 二千五百石の旗本にもかかわらず大名の格式を与えられていました。そして将軍の名代として

 高い格式の大名行列をすることもありました。しかし、所詮は二千五百石しかないので内情は

 苦しく、領内の豪農から上納金を出させたり領民を臨時の家来にしたりして、何とか行列を整

 えていたようです。田中家はこのような領主の窮状に度々貢献する事により、この武家長屋門

 を建てることが許されたのだと推測されます。




    武家長屋門


 静かな住宅地の中にあって

時代劇のセットのような歴史

を感じさせる門です。









     武 者 窓


 大田区蓮光院の小大名格の武

家屋敷門にも見劣りしない重厚

な造りで、武者窓が右側に付い

ていますが、ほぼ同じ様な構造

になっています。