このページでは真空管アンプについて日頃感じていることを 思いつくままに書き連ねてみました。 性能の良いアンプとは 私の考える高性能な真空管アンプとは、音質とコストと部品入手のしやすさ、組立易さ、その 後の保守、を兼ね備えたセットであろうと思います。具体的には、6BQ5のUL接続、カソードフォ ロワー直結ドライブ、というような回路構成です。このUL接続はコストと音質のバランスで考え ると最適な回路だと思うのです。現に海外の有名アンプにも採用されていますし、特許の制限が 無くなってからは、各社のアンプにも使われるようです。ただ五極管接続に比べて出力がいくぶ ん下がるので、それを補う為にカソードフォロワー直結ドライブにすれば、出力管に無理を掛け ることなく出力増が計れます。またUL接続の音は好きではないと言う方は、KNF巻線のあるOPTを 奮発してKNF接続で動作させるのも選択種の一つだと思います。何れにしても電源効率がいいので セットも大がかりにはならず、ベテランでなくても組み立てやすいでしょう。また球の値段も安く 店頭に多く出まわっているので予備球の確保も容易で後の保守も安心です。さらに予算の浮いた分 を出力トランスにつぎ込めば、最高のコストパフォーマンスになるでしょう。限られた予算を配分 するのならば、セットの中で一番音質を左右するのは球ではなくトランスなのです。 MJ誌の製作記事に望むこと この頃のMJ誌のアンプ製作記事は、珍しい球を使うことが製作の目的になってしまったよう で、私のような慢性金欠病と戦いつつ、手持ちの部品を生かしたセット製作を信条とする者には、 遠い存在に成りつつあります。また全ての読者が同じ部品の入手が可能だとは限らないのに、入 手困難な場合の代用品についての配慮、説明が全くない記事が増えて、始めから追試をする気が 起きなくなっています。例えば98年2月号に5球ス−パーの記事がありましたので、MJ誌で ラジオの記事なんて何年ぶりだろうと思ってみたのですが、過去に米国で売られていたキットと いうだけで、読者のための部品入手方法については一言も触れられていませんでした。真空管ラ ジオの場合は特に部品入手が困難なのですが、アンプの製作などについても同様なことが言える と思います。 ただ読むだけならこれらの記事も面白いと思うのですが、一方でもっと基本的な事、動作の違 いによる特性の変化といった事をテーマにした実験測定の記事も、平行して掲載されるように望 むものです。例えば五極管とウルトラリニアーと三結、それぞれの動作の違いによる出力トラン スの低域特性の違いを、様々な球とトランスで比較測定して欲しいと思うのです。またカソード フォロワー直結ドライブによる出力増加についても複数の球や動作条件で詳細に比較した記事が あったら多くの読者の参考になると思うのです。 ドライバー管は数種類に絞るべし アンプをいくつも作り続けていると、それぞれ使う球の種類が増えて保守用の予備球の確保も 大変で、例えば最近はドライバー管でも 6267が品薄気味で、あっても高価になってしまいまし た。こうなるとせめて出力管以外の球だけでも、予備球の確保を楽にしたいものです。私のこの 頃の製作セットでの使用ドライバー管は 6AU6、12AX7、12AU7、6FQ7の4種類に絞るように心 がけています。保守を重視するアルテックの業務用のアンプでは、ほとんどのセットが 12AX7、 6CG7、6CA7、5U4GBの4種類の真空管しか使われていないそうです。以前の私の製作セットでは 6267、6AQ8、6BL8他も使っていましたが、これらの球が切れたら上記の4種類の球に変更して いくつもりです。いくら高性能を誇るアンプでも球が切れたらそれで終わりです。真空管は電球 と同じ消耗品であることを心しておきましょう。 |