半導体ドライブ 6BX7PP






 今回のセットを製作するのは、珍しく人

からの依頼に拠るもので、まずはデザイン

を先に決め、回路はデザインに合ったもの

を選ぶという手順で決めました。そのデザ

インについては、ぺるけさんのHPに大変

シンプルで可愛らしく仕上げられたセット

があったのでこれを真似る事にしました。

 ちなみに、本家ぺるけさんも人に頼まれ

て製作したセットだったようです。

 ぺるけさんのセットはシングルアンプだったのですが、一定性能のアンプに仕上げるのならプッシュプ

ルの方が確実なので、どうしたものかと思案していたところ、タイムリーにもこのデザイン構成に合った

回路でアンプを設計された方がいたので、これまた参考にさせて頂きアレンジする事としました。それは

初段を半導体で構成したハイブリッドアンプで、初段FETの耐圧を高める為に高耐圧トランジスターを

カスコード接続するというものです。というような事で以下のような回路になりました。



製作のポイントとしては

 半導体は真空管と違って壊れやすいので予備があった方が安心ですし、またDCバランスや左右の特性

を揃える為に石の特性を測ってペア組する必要があります。必要数の倍くらい入手して以下のような方法

で選別すればいいと思います。


 前段の半導体回路部分は16穴の平ラグ板にぴったり収まりましたので、参考までに私のセットの部品

配置を紹介します。





 諸 特 性


 初段を石で構成した為か、 

きわめてローノイズなセット 

に仕上がり、低出力域の歪率 

も良好な値を示しています。 

一方で100Hzの特性だけ良く 

ないのは定インダクタンス型 

OPTの特徴のようです。 



無歪出力2.7W THD3.7% 1kHz

NFB  約3.8dB

DF=4 on-off法1kHz 1V

利得 16.1dB(6.4倍) 1kHz

残留ノイズ 0.16mV




 このセットで、少量のNFしか掛けていないのに大げさに積分補正まで入れたのは、当初は負荷を解放

にすると発振してしまった為です。通常は負荷解放で使う事はあり得ないので、それほど気にしなくても

良いのかも知れませんが、やはり不安定になっている証拠なので補正を掛ける事にしました。



 雑  感

 今回のセットのように、前段を半導体で構成したセットを組んだのは初めての事でした。現代ではCD

プレーヤーや、送り出し側のレコーデング用機器もほぼ半導体で占められている中で、あえて真空管アン

プを組むのなら、せめて自分の手の届く範囲くらいは真空管で構成したいという思いがあったからです。

今回実際に組んで見て、これはこれで悪くはないと思うのですが、何か一つ自分なりの拘りをなくしてし

まったような・・・そんな事を考える事自体が、私も古い人間なのでしょうか。



一つ上へ 

PCL86(14GW8) 三結 全段差動



目次へ →