このように、手持ちでもなければ出力管としては今一つ魅力に乏しい12BY7Aを選んだのは、無名
の安い球でもチョロQトランスに適した球が多くあるのに、中にはgmが高くて6AQ5の定数のままで
は応用できない球もあるので、そんな球の代表として12BY7Aを取りあげ、チョロQトランスと組合
わせて魅力的なセットが出来ないかと考えたのです。
Ayumiさんの解説によると、QUADU回路ではオーバーオールのNF量が変化すると上下のACバラ
ンスも変わるので、gmの高い球を使う時にはその分の利得をほかで調節するか、前段のACバランスを
改めて取り直す必要があります。ところが、このACバランスを取るのは意外と難しいようで過去MJ誌
に掲載された名だたる先生方のQUADUに関する解説は、そのほとんどが見当外れという有様でした。
そこで利得を調節する事で以前のNF量を維持しようと考えたのですが、とりあえず自己帰還が掛かるよ
うにカソードのパスコンを無くし、また前段のプレート負荷抵抗を変えて利得の違いを補おうと試してみ
たところ、出力管の感度の違いは大半がKNFに吸収され、前段の利得を落とした分だけ全体の利得も下
がってしまったのです。それならと再度修正して一週間ほど聴いていたら、出力管の一本が暴走したので
動作安定の為にカソード抵抗を上下別々にしました。すると、上記の自己帰還がしっかり効くようになり
KNFが減少したので、それに合わせて前段の利得を上げ、また上下のACバランスを取り直しました。
という事で、いつものように二転三転したのですが最終的には以下のようになりました。
|