車庫建て替えていいですか
(前頁より)
「日本でもね、維新前までの徳川時代は武家屋敷とか商家などは、
ある種自主的な景観保護の気風というか、良識があったような気が
するよ。戦争の被害が少なかった金沢や東北の角館、九州の臼杵な
どの城下町とか倉敷の大原美術館界隈の土蔵商家街にはその雰囲
気が色濃く残っているように思うけどね」
「たしかに落ち着きがありますね。川とか橋とか瓦屋根とか土塀前栽
など、気がつかなかったけど調和がとれた町並みですわね」
「明治維新と太平洋戦争の敗戦で、国民の蓄積はなくなり価値観が
激変して、アメリカ的個人主義と拝金主義になって、自分の権利の
主張が強くなったからね。個人の権利が強くなることは良いことなん
だが、私益つまり自分の利益ばかりが優先して、公益とか公共のこと
を考える面がかなり駄目になったのかなあと思うよ。恒産なくして恒心
なしとは良く言ったものだ。日本人もそろそろ飢餓意識から脱却して、
花鳥風月を皆のものとして大事にしなきゃいけないよ」
ご参考までに
英国のどこにでも見られる中流住宅街の風景
(電線の埋設、街路樹、歩道、生け垣、家の側面のガレージ、調和の
とれた建築などの景観をご覧ください。25年前と変化ありませんでし
た。)
「ナショナル・トラストなんか見ましても感心しますわ。こちらの人は
歴史的な建物や文化財を本当に大事にしているのね。自然保護にも
随分寄付をしたり、ボランティア活動したり、立派ですね」
「そうだね、行政がいいのかなあ?公務員は日本ではお役人だろ。
代官様の時代と変わってない。こちらじゃシビル・サーバント、文字ど
おり市民の召し使いだ。
終戦直後『公僕』と訳されて使用された時期もあったが、今では死語
だね。公務員が公正無私で公共の事を日夜考え行動すれば、景観
保護も容易だと思うけどね」
「私たち市民の意識アップと協力もいりそうね」
「そうなんだ。」
欧米カナダ豪州などを旅行された方々は、その住宅街の景観に驚き
ませんか。
中流の市民が、ゆったりとした住まいを楽しんでいるように感じますが、
皆さんは日本の住宅環境をどう思いますか?
明治以来の住宅街が、どんどん破壊されて、醜い街並みになっていま
せんか?
「ロンドン憶良見聞録」の目次へ戻る
ホームページへ戻る