晴耕庵の談話室
NO.93
標題:シエラレオネ・ゲリラ蛮行の心象背景
THANKS & OPINION
2003/12/3
ロンドン憶良様
失礼とは存じますが、感想と御礼を申し上げたく、メールを送信
させていただきます。
私は、福岡県の小都市で精神科医として勤務しているものです。
Okura様の博学ぶりにはいつも、賛嘆の念を禁じ得ません。
私は、少し前からSierra-leoneの内戦に興味をもっておりました。
特に、RUFの行ったamputationの蛮行には驚愕と恐怖を感じており
ました。(憶良注 amputationとは手や足の切断)
しかし疑問に思っていたのは、西側メデイアが報じる一方的内容
に反して、RUFが199T年に結成以来、あのような苦しいゲリラ
戦を戦い続け、また1999年1月はFreetownを陥落寸前まで追
い込む力となった源泉とは、一体なんだったのだろうか、という
疑問を解き明かせてくれるものはございませんでした。
Sierra-Leone webや過去のBBCの内容の一部をななめ読みした印象
では、RUFの少年兵たちの憎悪の源泉、司令官Sam Bockarie(今年
5月にLiveria国境で戦死)の個人的カリスマ性などを注目してお
りましたが、やはり理解できません。
しかし、Okura様の最近の記事を拝読しまして、背後にある根深い
部族対立と貧富の差、それとなによりも教育における格差という
ものが大きな影響をもたらしていることを知ることが出来ました。
誠に有難うございました。
RUFがおこなった、Amputationには、彼らの土着的宗教の影響や、
何よりも識字できない者の怨念がこもっていたのではないでしょ
うか?Sam Bockarieもかろうじて識字ができるが苦労したそうで
すから。
Kamajorについても彼らの背景は知りませんでした。
有難うございました。
今後のOkura様の御発展をお祈りいたしております。
Dr.K.M.
REGARDS
2003/12/3
Dr.K.M.様
メールありがとうございました。
Amputation怨念説はさすがにご専門の見地からの着眼かとも拝読
しました。
私のHPがしかるべき方々にご評価頂き、まことにうれしく思い
ます。
ここ数ヶ月は個人的に忙しい日々で、最近のUK関係諸国の掲載
を怠っていますが、再び開始したいと思っています。
ロンドン憶良
ADDITION
2003/12/5
ロンドン憶良様
御鄭重なお返事有り難うございます。
補足させていただきますが、手というのは、精神分析的に申します
と発達段階では肛門期に発達する高度の感覚、運動器官であり、こ
の時期に幼児は手を使うことにより、例えば粘土遊びや積み木を通
じて大きな知的発達を遂げます。
一方では、両親から触ってはいけないもの、不潔なもの、危険なも
の等、の禁止の抑圧を受け、また他者の所有物へ接触の禁止、つま
り盗みの禁止などの社会的去勢を受けます。
腕をを切断するというのは、この「去勢の暗喩」と解釈されます。
つまり、識字、知の領域から放逐されている非支配者が、「知」を
占有する支配者に対して復讐として倒錯した形での「去勢」を行う、
と解釈されます。
これは、勿論あくまで私なりの「仮説」にすぎませんので、一般化
し過ぎると行き過ぎた根拠のない言説になってしまいますが
今後の憶良様の御活躍をお祈りいたしております。
Dr.K.M.
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