晴耕庵の談話室

NO.89



標題:ヒストリカル・ロマンス小説について

REQUEST

2003/9/3

ロンドン憶良様

初めまして、[ざと」と申します。

憶良さまはご存じかもしれませんが、欧米の女性の間でよく読まれて
いる小説の分野に「ロマンス」があります。
日本でもハーレクイン社をはじめとして、(特に最近では『ブーム』
といえるほど)たくさんの出版社から「ロマンス」が出版されています。

日本では欧米ほどロマンスが一般的ではないので、「ロマンス小説が
好き」と言うと、「ポルノ小説が好き」と言ったのと同じくらいの反応が
返ってくることがあります。(これは日本のマスコミと、本屋の扱いが悪
いせいだと私は思っておりますが。)

というわけで、私は「ロマンス小説の隠れファン」なのですが(上記のよ
うな理由で女性でも「ロマンスファンであることをカミングアウトしている
方は少ないのです)、このロマンス小説の中に「ヒストリカル」という分野
があります。

私はロマンス小説の中でもヨーロッパの歴史が舞台のこの「ヒストリカル」
が大好きで、これを中心としたHPも作っています。
大好きな作品の中に征服王ウィリアム一世のことが出てくるので、彼に
ついて調べHPに載せようと思ったのですが、資料があまりにも少なくて
残念に思っていました。(征服王ウィリアムは中世ヨーロッパ史でも不人
気なんでしょうか・・・。)

ところが憶良さまのHPで、これ以上はないというくらいの「ウィリアム情
報」を発見することができました!
HPの『見よ、あの彗星を』『われ国を建つ』も拝見しましたが、「見よ、あ
の彗星を」(ノルマン征服記)日経事業出版社 を是非拝読したいと思い
ます。どうぞお譲りください。

また、私のHPで「中世ヨーロッパの紹介」をしたいのですが、こちらのHP
を参考にさせていただいてもよろしいでしょうか?
まだまだのHPなのですが、よろしければご覧ください。
「HISTORICAL*HISTORICAL」


                            ざと


ACKNOWLEDGE

2003/9/3

ざとさま

メールありがとうございました。
中世の吟遊詩人がロマンス語(つまりラテン語を基本とした古いフランス
語など)で抒情的に物語を語ったのでしょうが、宮廷で語る時には、勇壮
な騎士と華やかな貴婦人の恋の物語や、騎士たちの戦勲などが主題に
なったでしょう。

つまりロマンスのもともとは歴史物語と関係が深いと思います。
日本は本当にジャーナリズムやマスコミの思想や表現が貧困であり、
また国民も全般的にレベルが高くないように思います。

どうぞ小生のHP及び著書を参考にしてください。
HP拝見しました。相互リンクしましょう。


                       ロンドン憶良


ESPIONAGE

2003/9/4


ロンドン憶良さま

こんばんは、ざとです。
早速のお返事、どうもありがとうございました。

宮廷や城で吟遊詩人が、貴婦人の恋の物語や騎士たちの戦勲などを
歌うシーンは、小説にもよく出てきます。(スパイ活動をしている騎士や
貴族が吟遊詩人に身をやつしているなど。いかにも作り話でしょうか?)

ロマンスのもともとは歴史物語と関係が深いとのこと。
特にヒストリカルを好まれる方は、歴史に興味をお持ちの方が多い
ように思います。
私自身もヒストリカルを読み出してからのほうが、熱心に世界史関連
の本を読んでいます。
(生々しいお話や、残酷な事件も多いので、大好きとはいえないので
すが・・・)

                           ざと


KNIGHT-ERRANT

2003/9/6


ざとさま


吟遊詩人に身をやつして情報を集めたのは事実と思います。更には
武勇を磨く為や、仕官を求めて騎士たちが諸国を訪れ、あちこちの
武術試合に出たようです。体格のよいスポーツ選手に張りのある美声
の持ち主がいるように、生きる術としてもハーブを弾き、詩歌を朗々と
歌った者もいるでしょう。

ウィリアム征服王に抵抗したヘリウォード(「われ国を建つ」に掲載予定)
も、ロマンス小説の主人公的的な華やかな経歴の持ち主です。

諸国漫遊の騎士(KNIGHT-ERRANT)や吟遊詩人たちは、当然諸国の
情報を豊富に持ったでしょう。
日本では芭蕉が間諜であってもおかしくありません。奥の細道を歩いた
速度は「忍びの者」並みとの話もありますから。地方の句会で得た彼の
情報量は莫大だったでしょう。


                       ロンドン憶良


ADDITION

2003/9/20


ロンドン憶良さま


こんばんは、ざとです。メールありがとうございました。

  こちらは一雨ざっときて随分涼しくなりました。
虫の音はまだ聞こえませんが、朝夕はもう秋の気配です。
「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったものだと毎年2回は感心します(笑)

ヒストリカルロマンスについて少し補足を・・・。

現在ヒストリカルロマンスは、定期的にはハーレクイン社から月2冊、
不定期ではMIRA文庫、villagebooks、二見文庫などから出版されてい
ます。

その全てが中世ではなく、19世紀以前か20世紀初頭までの時代設定
となっています。
舞台もイギリス(やはり1番多いのですが)をはじめとして、ヨーロッパや
アメリカなどです。

読者に人気があるのは「中世イギリス」と「摂政期時代(19世紀)イギリ
ス」だそうです。

歴史上実在した人物の性格や容貌は、それぞれの作品で多少作者の創
作が加えられているとは思いますが、歴史上の出来事についてはほぼ間
違いはないのではないかと思います。
(もちろん、日本の時代劇のように「王様の御落胤」のような登場人物は
います!笑)

「ロマンス」ですから、男女の恋愛が中心となる物語ですが、作品によって
は国同士の関係や、イングランドとウェールズの確執などが興味深く描か
れているものもあります。

「補足」のつもりが大変長くなってしまいました・・・。
季節の変わり目です。お風邪など召されませんように。
(自分はちょっと鼻声気味なのですが・・・)


                           ざと




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