晴耕庵の談話室

NO.33


TOPICS

99/5/16
標題:名画盗難事件


Nご夫妻様

お元気でお過ごしと思います。
本日テレヴィ(作家ジェフリー・アーチャーが解説する名画盗難事件)を
見ていましたら、見たことの有る屋敷が画面に出ました。



そうですChatworthのデボンシャー公爵邸とその所蔵する肖像画が
ずらりと掛けられてある邸内でした。

アーチャーの解説では名画盗難事件は、身代金目当ての誘拐事件に
例えられると・・・・(人気番組の再放送で短くされていましたが)

デボンシャー邸から盗まれたのは、5代デボンシャー公爵夫人の
肖像画でした。その肖像画の夫人の目は、すべての男性を魅了する
といわれたようです。
夫人はなんと故ダイアナ妃のスペンサー家の出身で、当代きっての
豊満な美女でしたが、不倫をして身ごもりパリに追放されました。
(が、後に許されて戻ったそうです)

その肖像画は売りに出され、ロンドンのAGNEW画廊が1万ギニー
で入手しました。
ところが一夜、大胆な泥棒が天窓を破り侵入、この名画を切り取り逃走
しました。名画泥棒の名前はアダム・ワース。ワースは公爵夫人の絵
と共にアメリカに駆け落ちしました。



写真で見るこの泥棒は、いかつい風貌ながら丸高帽子をかぶり、
八字髭をつけた紳士風をしています。アメリカではホテル住まいを続け
たようですが、遂に所持金に困り、アグニュー画廊に身代金として金貨
1万5千ドルを要求しました。
しかしその後ぷっつり連絡が絶えました。

アダム・ワースがこの名画を盗んだのは金のためではなかったのです。
描かれているデボンシャー公爵夫人が、彼のなくした愛人キティ・フリント
にそっくりだったからでした。
アダム・ワースは二十数年の逃亡中この絵をベッドのマットの下に敷いて
寝ていたそうです。



この絵を持ち主に返却するよう勧めたのは、彼の晩年の面倒を看ていた
私立探偵ピンカートンでした。
(探偵と泥棒の関係は省略されていましたが・・・)

返却されたデボンシャー公爵夫人の肖像画は、その後モルガン家に
渡り、1994年のオークションに出されました。
この話を聞いた現11代デボンシャー公爵が邦貨換算6千万円ほどで
買われ、名画の公爵夫人もなんと「240年ぶりに」再びデボンシャー邸
に戻っています。

現11代デボンシャー公爵は肖像画のコレクターとのことで、テレヴィでは
その邸内の一部が放映されていましたが、実に見事でした。

昨年のレポートでは、小さなお子様がいらっしゃるのでお屋敷の拝観は
見あわせたとのことでしたが、機会があれば再度ご訪問されご覧に
なられてはいかがでしょうか。

この名画盗難の話を第九回談話室のレポートとからめてまとめて見たいと
おもいます。
もしお手元のパンフレットにこの盗難事件のことや5代デボンシャー公爵
夫人の不倫騒動が記載されていましたら、該当部分をメール送付いただけ
ませんでしょうか。

先般のお写真がなければ、このまま見過ごしていた番組でした。
チャットワース訪問記・ダイアナ妃のスペンサー家・デボンシャー公爵夫人
肖像画盗難事件と点が線につながる面白味を感じます。

                       ロンドン憶良


INFORMATION

99/5/17

ロンドン憶良様

メールありがとうございました。
私どもで持ち帰ったパンフレットにはこの件は一切触れられていませんでした。
邸宅見学をしていたら、そちらの方のパンフレットには出ていたかもしれませ
ん。 HomePageを見たところ、これに関するものがありましたので御参照くださ
い。

http//www.chatsworth-house.co.uk/Collection/CoP5.htm

5代公爵夫人の時代と言うと、19世紀前半。体面を重んじる貴族のことですか
ら、この不倫事件は大変なスキャンダルだったことでしょう。それとも、別の理
由をつけて密かにパリに追放になったのでしょうか。このHPでは、さすがに
(?)このあたりの事情には触れていません。

それにしても、現実は小説よりも奇なり、一枚の絵画から、いとも面白い物語が
生まれたものです。
(ずいぶん前に日本で放送になった、三十六歌仙絵巻き切断をめぐる番組を思い
出します。)

お役に立てず申し訳ありません。急ぎ御返事まで。

                               N.N.


INFORMATION

99/5/17

ロンドン憶良様

今、先のHPのNEWの欄を読んでいましたら、5代公爵夫人の伝記が出版され
ているそうです。
NEW の欄の最後の項をご覧ください。(amazon.com.ukを参照したところ、書評
と夫人の肖像画で飾られた本の表紙が出ていました。)

では・・・

                                N.N.


BELATED APOLOGY

99/6/27

Nご夫妻様

ご無沙汰していますが、お変わりありませんか。
先日はいろいろ貴重な情報を頂きありがとうございました。
お礼が遅くなりましてすみません。

身辺に多忙なことがあってほかのメールフレンドの方々にも
ご無礼をしていましたが、やっと平常にもどりました。

                           ロンドン憶良

INFORMATION

99/6/27

ロンドン憶良様

こちらこそ御無沙汰いたしまして。
HP, 御元気にお忙しくしていらっしゃるご様子、楽しく拝見いたしました。

5月の半ばから私の両親が遊びに来ていて、短い期間にあちらこちらと出歩きま
した。 こうして離れていますとなおのこと、70近い親が元気でいてくれるのは
本当にありがたいと思ったことでした。

名画盗難事件

例の公爵夫人の 伝記は今も結構な人気で、Amazon.com.uk の売り上げ 上位にラ
ンクされていました。 パリでは、マリーアントワネットの友人(取り巻き?)の
ひとりだったとか。フランス語、どこで勉強したのでしょうか。ラテン語みたい
に良家の子女の常識的教養だったのでしょうか。女性でも?
私もちょっと読んでみたいと思います。

ではまた・・・

                                 N.N.
                 
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